筒井あやめ×秋田汐梨インタビュー 
いとこ役で初共演の2人が語る、舞台
『目頭を押さえた』に挑む思い

パルコ・プロデュース『目頭を押さえた』が、2021年6月4日(金)~7月4日(日)、東京芸術劇場シアターイーストにて上演される。
今作は、緻密な会話劇の中にユーモアを交えて人間の葛藤を丁寧に描く手腕で高い評価を受け、劇団俳優座で昨年1月に上演された『雉はじめて鳴く』が「CoRich舞台芸術アワード!2020」で1位を獲得、自身が主宰する演劇ユニットiakuで昨秋上演した『The last night recipe』が第65回岸田國士戯曲賞最終候補作品に選ばれるなど、今後の活躍にますます期待が高まる劇作家・横山拓也がiakuで2012年、13年、18年と上演した作品だ。
山間の村を舞台に、村の林業と古くから行われてきた葬儀という2つの伝統をめぐる人々の心のすれ違いやぶつかり合いを描いた今作で、写真を撮るのが好きな遼を筒井あやめ(乃木坂46)、村の伝統を守って来た中谷家の長女で遼のいとこにあたる修子を秋田汐梨がそれぞれ演じる。
高校3年生というほぼ実年齢に近い役柄で共演する2人に、今作に挑む思いを聞いた。
お互いの印象は「笑顔が素敵」(筒井)「年下とは思えないオーラ」(秋田)
ーーまずは今作へのオファーが来た時のお気持ちを教えてください。
筒井:私は演技の経験が少なくて、舞台は乃木坂46の4期生公演『3人のプリンシパル』以外にやったことがないので、お話をいただいた時はすごくビックリしました。そのときからずっと緊張と不安が頭にあるんですけど、たくさん学べる機会だなと思うので、いろいろ吸収できたらいいなと思います。
(左から)秋田汐梨、筒井あやめ
秋田:私は舞台に出たことがないので、どんな感じになるのかも全く想像ができなくて、今からとても緊張しています。稽古期間があって本番もあってと、長い期間、役としっかり向き合うことができたり、勉強できることがたくさんあると思ったので、ぜひ挑戦してみたいと思いました。
ーー今作への出演が決まったときの周囲の方の反応はいかがでしたか。
筒井:家族に一番最初に伝えたんですけど、すごくびっくりしながらも喜んでくれました。同期の子たちも「すごいじゃん!」と言ってくれました。まだ先輩方には言えてないんですが、いろいろアドバイスをいただきたいので、これからお話ししたいと思っています。
秋田:母親には「舞台が決まったよ」と報告したら「頑張ってね!」と言われました。事務所の方からは「初舞台がパルコ・プロデュースでできるってすごい幸せなことだよ」と言われたので、その幸せを噛みしめて頑張りたいと思っています。
(左から)秋田汐梨、筒井あやめ
ーーお2人は今日が初対面とのことですが、お互いの印象を教えてください。
筒井:私は元々秋田さんのことをいろいろな作品で拝見していて、笑顔が素敵で印象的な方だな、と思っていました。いとこ役でまさか一緒にやらせていただけるとは思っていなかったのですごく嬉しいです。
秋田:お仕事の現場に行くと一番年下のことが多かったんですけど、今回筒井さんの方が年下なので、私が年上の立場になるんだ、というのが嬉しかったし、新鮮な気持ちです。でも、筒井さんはアイドルもされているので、生のステージを経験されているという点では大先輩だと思うので、足を引っ張らないようにしたいです。今日お会いして、年下とは思えないくらいオーラがあって、おしとやかで品のある方だなと思いました。
筒井:いやいや、そんなこと……私は人見知りで今日もすごく緊張しているので、そう見えたんだと思います。
(左から)秋田汐梨、筒井あやめ
「遼は一途でまっすぐ」(筒井)「修子は明るく人見知りしない」(秋田)
ーー台本を読んでみて、それぞれご自身の役についてどう思われましたか。自分との共通点、あるいは逆に全然違うところなどあれば教えてください。
筒井:遼はあまり自分の気持ちを表に出さない性格で、ちょっと物静かな子かな、と思いました。私も、どちらかというと自分の気持ちを表に出すのが苦手なタイプなので、そういう部分はすごく似ているなと思います。あと、遼はカメラという夢に向けて一途でまっすぐな所があって、私も小さい頃から習い事を結構長く続けているので、そういう一途というか物事に取り組む姿勢は似ている気がします。
秋田:修子ちゃんは元気で誰に対しても明るくて人見知りもしない子だと思うんですが、以前の私は結構人見知りしだったので、そういうところはすごく尊敬できます。写真を撮られるのが好きっていうところは、私もモデルをしているので似ているな、と思いました。
ーー今作では、子どもの進路や将来について悩む親の姿も描かれています。お2人がこのお仕事の道を進むことになってから、ご家族はどんなふうに応援してくれたり、支えてくれていますか。
筒井:オーディションを受けて乃木坂46に入って、家族から離れて1人で東京に出て来たときに、きっと親もすごく寂しかったと思うんですけど、あまりそういうことは私の前では言わず、明るく「頑張ってね!」と送り出してくれました。最近は毎日電話したり、実家にいる愛犬の写真を「今日の癒しです」と送ってくれたり、すごく優しさを感じます。
秋田:私はこの春までは高校もあったので京都から通ってお仕事をしていて、夜遅くに京都駅まで迎えに来てもらったりとか、家族には負担をかけているところもたくさんあったと思います。でも、家族みんなで応援してくれていて、例えば雑誌に出たときは保管する用と読む用を買ってくれたり、表紙をやらせていただいた時は部屋に飾ってくれたりしています。今年から大学生になるので、それと同時に上京するのですが、大学を東京にするか京都にするかについては、この作品みたいに家族でいろいろ話し合ったりしました。家族の存在は本当にありがたいなと感じています。
(左から)秋田汐梨、筒井あやめ
ーー今作はセリフが関西弁ですが、方言でのお芝居についてはいかがでしょう。
筒井:方言でのお芝居は初めてです。同期の早川聖来が大阪出身で関西弁を普段から話しているので、イントネーションとか教えてもらおうかなと思っています。女の子の使っている関西弁は個人的にすごく好きで、可愛らしいなって思っていたので、今回自分もしゃべれるのが嬉しいです。
秋田:私は京都なので、家族とか友だちとかと普段話しているときは関西弁なんですけど、お仕事で東京に出てきた瞬間、なぜか関西弁が出なくなっちゃうんです。関西弁をしゃべる機会があっても、自分の中ではぎこちなさを感じてしまって……。だから今回もちょっと不安なんですが、京都出身者としては頑張りたいところです。
見どころは?「テンポ感」(秋田)「思いが爆発するところ」(筒井)
ーー先ほど筒井さんは演技の経験が少ないとおっしゃっていて、秋田さんは映像のお仕事はされてきましたが舞台は初めてとのことですが、“演じる”というお仕事についてはどういう思いをお持ちですか。
筒井:乃木坂46の先輩方が映像のお仕事も舞台のお仕事も幅広く活躍されていて、そこに対する憧れがありました。一番憧れている先輩は生田絵梨花さん。生田さんは舞台でも映像でも活躍されていて、自分にストイックでカッコイイ先輩です。なので今回、舞台のお仕事をできるのがすごく嬉しいのですが、やっぱり今は不安が大きいので、これから稽古などをしていく中で、共演者の方々からいろいろなことを学んで私も成長できたらなと思います。
筒井あやめ
秋田:今までずっと映像のお芝居しかしたことがなかったんですけど、舞台はお客さんが目の前にいて、その反応とかがダイレクトに伝わってくると思うのですごく楽しみです。映像のお仕事をしているとき、段取りを決めるときが結構好きなんです。この間、ドラマ『賭ケグルイ 双』という作品に参加させていただいたとき、みなさん自分のプランを撮影の日に持ってきて、それを段取りのときにぶつけ合って一個のシーンになっていくところが楽しいなと思いました。舞台だと稽古の期間が長いので、そうやってみんなで一緒に考えて作っていくことがいろいろできるのかな、と楽しみです。
ーー東京公演だけでも1ヶ月あって、稽古期間も含めるとかなりの長丁場、同じメンバーでひとつのお芝居に取り組むことになります。現時点で何か楽しみにしていること、あるいは逆に不安に思っていることなどありましたら教えてください。
秋田:私はすごく滑舌が悪くて、舞台は毎回その一回きりなのでちゃんと表現できるか、それが少し不安です。私は舞台をまだ観たこともなくて、このお仕事が決まってから観に行きたいと思っていたんですけど、コロナ禍でなかなか観に行くことが難しくなってしまって……それも不安要素のひとつです。稽古が始まる前には一度劇場に観に行って、舞台の雰囲気を体感してきたいと思います。
(左から)秋田汐梨、筒井あやめ
筒井:乃木坂の舞台のときはずっとメンバーが一緒にいましたが、今回は“はじめまして”の方ばかりなので、そこはいろいろ不安もあります。でも舞台をやったとき、自分の殻が割れていってるな、という瞬間がすごく楽しいと思えたので、今回もきっと「初めての自分」が見える瞬間がたくさんあると思うと楽しみです。長い期間稽古の中で、共演者の方々とたくさんコミュニケーションを取れたらなと思います。
ーーご自分が考える今作の見どころを教えてください。
秋田:遼と修子はいとこ同士で、母屋での場面などは家族とか親戚同士でワイワイしているので、そのテンポ感とかも楽しんでいただけると思います。最後まで展開が予想できないような作品だと思うので、ぜひ楽しみにしていて欲しいです。
筒井:遼とお父さんが言い合うシーンは、遼の今まで言えなかった思いが爆発するところなので、そこの演技が今はちょっと心配に思っているんですけど、頑張るのでぜひそこも注目して観ていただけたらと思います。
(左から)秋田汐梨、筒井あやめ
取材・文=久田絢子  撮影=寺坂ジョニー

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