日本社会の消滅に今後も拍車がかかる
ってホント!?

地方から消える老人

 少子化による人口減少、高齢化社会という問題は1990年代から話題にはなっているものの、今ひとつピンと来ている人が少ないように思う。住人の過半数が65歳以上で占められている集落を、共同体として維持する限界だとし、子供や若者がいなくなった集落を「限界集落」なんて呼ばれ話題になったりもしていたが…。
 しかし現実はもっと深刻化している。
 今現在、集落に住んでいる65歳以上の高齢者が地方からどんどん姿を消している。寝たきり介護や痴呆徘徊などの状態になった親を、都会に住む子供が面倒を見ていけなくなり、都心の養老施設に預けるケースが増えた結果、地方では老人の姿さえも消えつつあるらしい。
 すると地方都市では若者世代にとって大きな就職先であった養護老人ホームなどが立ち行かなくなって都心に進出、それに伴って若い世代も都会へ出て就職せざるをえない状況に…。こうして地方からは若い世代が消えていき、子供がいなくなり、地方は成り立たなくなってきている。

都会でも進む高齢化

 東京、大阪、名古屋といった都会だけに人口が極端に集中していく「極点社会」は深刻な問題だ。
 東京大学大学院の人口問題の専門家グループによると、2040年には896の市町村で30代以下の女性が現在の半分以下になるとの予測データを発表している。さらに、都会に職を求めた女性たちは住環境や仕事の忙しさで未婚率が上がり、出産率はさらに低下していくともいわれている。
 つまり都会でも高齢化が進んで、このままだと人口減少は免れようのない事実らしい。
 政府の経済財政諮問会議の下に設けられた「選択する未来」委員会は5月13日に、急激な人口減少に対応するため「50年後の2060年代においても人口1億人は維持する」と政府の目標を盛り込んだ報告をまとめた。
 その内容は1人の女性が生涯に産む子供の数を、今の1.41人から2.07人に引き上げるとの目標値を提示しただけだ。「具体的にどう対策するの?」という疑問には答えていない。

 晩婚化が進み30代後半か40代で初婚の女性も珍しくなくなってきているのに、子供の数が増える訳がない。
 結婚しない、結婚できない人たちをどうにかしていかないと、今後も子供の数は増えない。明るい未来を提示できない日本に、子供の数が増えていくという未来はなかなか見えそうにないのだけれど。

(文・旅人世之介)

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