L’Arc~en~Ciel「yukihiro」参加g
eek sleep sheep第一弾主催イベント
開催

彼らの約3カ月ぶりとなる待望のライヴはもちろん、ゲスト・アクトにKlan Aileen、オープング/エンディングおよび転換中のDJチームとしてFREE THROWを迎えた一夜となった。開場してほどなくすると会場は満員状態へ。FREE THROWがVJも交えつつレディオヘッド/ニルヴァーナ/レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンといった洋楽ロックをかけて会場のテンションを高め、まずはKlan Aileenがステージに登場。松山亮(ギター&ヴォーカル)と竹山隆大(ドラム)の若手デュオだが、2人とは思えないほど出音は非常にラウド。松山の内省的な世界観をディストーション・ギターで表現するようなステージは、今度のさらなる飛躍を予感させるクオリティだ。
FREE THROWのDJを挟み、オープニングBGMが流れる中、いよいよgeek sleep sheepの面々がステージに登場。今さら説明は不要だとは思うが、geek sleep sheepはMO'SOME TONEBENDERのkazuhiro momo(ギター、ヴォーカル)、凛として時雨の345(ベース、ヴォーカル)、そしてL’Arc~en~Ciel/acid androidのyukihiro(ドラム)といった第一線のミュージシャン3人によるバンドだ。昨年12月に1stアルバム『nightporter』をリリースし、今年1月には東名阪を回るツアーを敢行、今回はそのライヴ以来となるステージとあって、オーディエンスのテンションも非常に高い。
yukihiroのカウントで1曲目「Weekend Parade」からスタート。345のメロディアスなベース・ラインと百々のカラフルな歪みギターをyukihiroが軽快なドラムで支える。アルバムよりも速めに感じるテンポもライヴならではの醍醐味だ。続いてはアップテンポなナンバー『SANPO』。ユニークな歌詞を345と百々が掛け合うBメロ、そしてサビの高揚感が最高。攻撃的なリフがグッと来る『Jesus wa gokigen naname』ではいつも以上に百々のシャウトに熱がこもっており、コンディションも上々のようだ。ライヴは345がメイン・ヴォーカルを取る『Teardrop』『frame』へと続く。前述したように345のベースはルートをなぞるだけでなく、フレーズの一部とも言えるメロディアスな動きをする。こうした静かめな曲ではそれがより顕著となって非常に興味深い。

3ピースという少人数でもこれだけ豊かな響きが得られているのは、きっと345のベース・ラインによる部分も大きいのだろう。ここで恒例のカバー曲タイムに。geek sleep sheepはライヴごとにストロベリー・スウィッチブレード(『SINCE YESTERDAY』は1stシングルにも収録)をはじめ、ニルヴァーナやマイ・ブラッディ・ヴァレンタインなど洋楽ファン垂涎のカバー曲を披露してきた。
今回取り上げたのは伝説のオルタナ・バンド=ピクシーズの『Gigantic』で、momoのMCによると「カバーの選曲はいつも悩むが、今回はすんなり決まった」とのこと。ピクシーズには『Monkey Gone To Heaven』という大名曲もあるが、そこを外してきたのが彼ららしい。ちなみに当時のピクシーズもベースはキム・ディールという女性だった……という話は置いといて、特徴的なベース・フレーズから一気にサビの爆発に流れ込むこの曲を3人とも非常に楽しんで演奏している様子。
パンクのセオリーに沿った3コード構成ながら、起伏あるメロディとアンサンブルの妙で飽きさせない。続いて、そうした「シンプルでも良い曲」を念頭に、百々がライヴ前日に作詞したという新曲も披露。エモーショナルなAメロとサビの爆発という、静と動のコントラストがはっきりしたミドル・テンポな曲で、歌詞も従来と違ってシリアス。geek sleep sheepの次なる方向性を示唆するものなのかは分からないが、深みのあるロック・ナンバーだった。
345のMCタイムを挟み、今度は5拍子の軽快なリズムが心地良い『GOHAN』。演奏者にとっては一筋縄ではいかない変則ビートだが、百戦錬磨の3人だけにサラリと弾きこなす姿はさすが。続く「IMAGINATION」はAメロの途中でテンポがハーフになり、その次の『Strange Circus』に至っては変拍子が入り交じる曲だが、yukihiroのドラムはどこまでも安定している。最近はL’Arc~en~Cielのライヴもあるだけに恐らく“ドラマー・モード”なのだろう、非常にキレのあるビートをたたき出していた。
ラストは甘美なメロディとノイズ・ギターの洪水が心地良いキラー・チューン『hitsuji』。一定のギター・フレーズに対してベース・ラインを動かして作る“ステイ感”は、往年のシューゲイザーを感じさせる玄人好みのアレンジだ。あらためて、ニューウェーブ~UKロック~オルタナティブをオリジナルなサウンドへと昇華させた完成度の高さを感じるばかりである。こうして、今回の彼らのライヴは幕を下ろした。
イベントを振り返って感じるのは、洋楽ロック好きが純粋に楽しめる内容になっていたということ。geek sleep sheepはもちろんのこと、Klan AileenやFREE THROWもそうしたテイストで一貫しており、洋楽をあまり通ってこなかった人たちにとっても、良い音楽に触れられる絶好の機会になったのではないだろうか。7月19日には第二弾イベント【geeks vol.2】の開催も決定しているということで、今後もgeek sleep sheepの動向に注目していきたい。次回のカバー曲にも期待!(レポ/篠崎賢太郎 (サウンド&レコーディング・マガジン)カメラ/石川浩章)

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