L→R 柿沼清史(Ba&Vo)、根本 要(Vo&Gu)、寺田正美(Dr&Vo)、林 ”VOH” 紀勝(Percussions&Vo)

L→R 柿沼清史(Ba&Vo)、根本 要(Vo&Gu)、寺田正美(Dr&Vo)、林 ”VOH” 紀勝(Percussions&Vo)

【スターダスト☆レビュー
インタビュー】
60歳を超えたおっさんたちが作った
という意味ではかなり活気的な作品

スタレビならではの
面白いものが作れる確信があった

そんな中、40周年を飾るニューアルバム『年中模索』が完成しましたね。

多くのアーティストがこのような周年ではベストアルバムをリリースしますが、僕らがそれをやってもきっと10年前とあまり内容が変わらないだろうから(笑)。取り立ててヒット曲が出たわけでもないし(笑)。だったら40年分まとめて新しいものを作ろうと。それに踏み出せたのも前アルバム『還暦少年』(2018年6月発表)が大きかったです。あのアルバムで従来のスタレビ観を一度リセットできたと自分的には感じていて。それまでは過去に培ってきた一般的なスタレビ像や自分たちの基盤を、いい意味で裏切らないように進んできた面もありましたから。でも、それは今や自分たちの血や肉となり、拭い切れないものとして確立しているから、今さら意識する必要はないことに改めて気づけたんです。逆に前作で得た、もともと自分たちの素養として持っていたコミカルさや楽しさを出すことをもっと突き詰めてみようと思えました。

確かに『還暦少年』からはスタレビの新フェイズも感じました。現行のライヴでのスタレビ観とでもいうか。

半信半疑で出したものの、結果的に新たなスタレビらしさや新しいロックバンドとしての新鮮な切り口も含め、想像以上に浸透度が高かったですからね。何も飾る必要はない自分自身に立ち戻れたことが大きくて。加えてプロデューサーの佐橋佳幸のおかげで、音楽的にも非常にナチュラルさが交えられた。40周年を迎えてもなおまだできる手応えを得られましたから。

それを踏まえ、さらに特化させて踏み込んでみた面もうかがえます。

世の中に発信したい想いもたくさんあったし(笑)、僕は作るだけ作り、佐橋がそれを吟味し仕上げていけば、今のスタレビならではの面白いものが作れる確信はありました。結果、僕らが僕らなりに今できることを詰め込めた作品になったかなと。世の中におけるスタレビのポジション、僕らが持ってるポテンシャル、さらには新しい音へのチャレンジ精神、この3つがなんとなくハマったと自分でも感じてますね。これまで以上に等身大だし。そこそこのアルバムかもしれないけれど、これを60歳を超えたおっさんたちが作ったという意味ではかなり活気的な作品かなと(笑)。

私も今作からはこれまで以上に“今だから伝えられる”“今だから遺せる”といった“今だから”を感じました。それをいい意味で軽く楽しく伝えている。中にはかなりポリティカルな内容もあり、考えさせられたり、答えを聴き手に委ねたりする歌詞も見受けられますからね。

僕はラジオ番組でも日々言いたいことを語らせてもらってます。でも、それを伝えるために歌を作るんじゃなくて、まずはサウンドを探すんです。メロディーの中に僕らが影響を受けてきたサウンドが見つかったら、そこにメッセージとして言葉を乗せていく。もしこれが言葉だけがビンビンくるタイプだったら、重いし、トゥーマッチに響くかもしれないし、“どこまでそれが伝わるのかな?”っていうのが自分にはあって。僕らはあくまでも歌で伝えるタイプだから。サウンドの中に言葉を乗せて、それがうまく伝わるといいなと。まさに軽い感じで聴いてもらえた、その感想は嬉しいですね。

現政批判にもとらえられる「おとなの背中」にもある意味驚きましたが、この曲もサウンドやメロディーや歌い方に、今作のようなアプローチを施すことで、逆に信憑性や身に覚えを感じました。

あの曲に関しても世の大人たちを批判するだけでなく、“では、自分はどうなんだ?”との自問自答や自分への投げかけも含めています。批判できるほど立派な人間じゃないけど、言いたいことはある。ただ、それを相手に突きつけるだけでなく、“果たして自分はどうなんだ? できているのか?”との問いも大事ですから。

「約束の地へ」も子供たちの未来のためを思って歌いながら、“果たしてそうするには自分はどのようなことをしなければならないか?”的な自問も擁してますしね。あとは、ダブルミーニング。「センタクの人生」なんてまさに。

あの曲も昔だったら、いわゆる“選択”オンリーな意味の歌詞だったでしょうね。でも、これだけ長く歌っていると、説教くさい人生訓みたいな歌は避けたいんですよ。そんな時にもうひとりの僕が、“センタク”と言えば“洗濯”もだぞと。人生、洗い流したいこともたくさんありますから(笑)。そこから右か左かに加え、“間違っても洗い直せばいいんだよ”というメッセージも織り込んでみたんです。それによって本来重い言葉も、うまく響いてくるような気がするし。まぁ多少、昔よりは歌詞の書き方も進歩し、深みが増したかなと思いますね。

しかも、親近感を持って伝えられている点は特筆すべきです。特に「同級生」や「メシでも食おうよ」は最後にオチをつけることで、より歌のメッセージが身近に感じるレトリックを感じました。

“ここまで歌っていて最後にこれかい!”っていう歌が多いかもね、今作は(笑)。“こうやりゃいいんだよ”と散々言っておいて、“まっ、俺もできていないけどな”みたいな(笑)。それこそ等身大の自分なので。よく周りから“要さんいいこと言いますね”と感心されるんだけど、その度に“でも、それが自分ではできていないんですよ”って引っくり返すタイプ。まさに有言不実行(笑)。

それゆえのシンパシーがたまらないです(笑)。

誰でもそんな感じでしょう(笑)。「メシでも食おうよ」は新聞のコラムを読んで感心したことがあって、それをもとにタイトルを考えて歌詞を書き始めました。これも僕の中でのよくあることを書いただけなんだけど、それをちゃんと歌詞として成立出来るようになったのは嬉しいですね。思い返すに、デビューの頃は、歌詞の内容はあまり考えずサウンドから発想する言葉だけで書いていたんです。まぁ、全然売れなかったので(笑)、その後、歌詞は作詞家さんにお願いしていたんですが、こうやってまた自分で歌詞を書き始めた時、作詞家さんから学んだ色合いと自分の実体験が重なって、仮に実体験がなかったとしても、そう思える自分がいれば自分の脈絡として歌詞を完成できるようになっていたんです。そう考えたら歌詞を他の作詞家さんに任せていた時期を経たことも良かったなとは今になって感じますね。

OKMusic編集部

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