嵐・大野智のボーカルはどう進化した
か 新シングル『誰も知らない』の楽
曲&ダンスを分析

 パフォーマンスは5人が円陣を組んで手を合わせるところからスタート。もの悲しげなピアノの前奏で幕を開けると、そこに壮大なストリングスが加わり、ミュージカル調のミステリアスな雰囲気で曲は進行する。Aメロはまずはドラマの主演である大野のソロから。「どれくらいまだ此処にいられるかは誰も知らない」と本曲のテーマを歌い上げると、それに二宮和也と松本潤、そして櫻井翔と相葉雅紀のユニゾンが続き曲は加速していく。Bメロに入ると再度加わったストリングスが曲をヒートアップ、歌はAメロと同様の組み合わせに大野が加わり盛り上がりは最高潮へ。そしてソロ。の真骨頂である5人のユニゾンでスピード感あふれるメロディがドラマチックに展開される。

 ライブのセットも相まって「誰も知らない」はドラマ『死神くん』の世界観を忠実に再現したパフォーマンスであった。曲のテイストは同じく大野が主演を務めたドラマ『魔王』(TBS系)の主題歌である『truth』(2008年)に近い。ただし「truth」が全編4つ打ちなのに対し「誰も知らない」はソロとそれ以外で起伏のある作り。もちろん両曲ともダンスナンバーという点では変わりないのだが、「誰も知らない」の方が「嵐の歌唱を楽しむ」という意味では聴き応えがあるかもしれない。メンバー自身、とりわけソロを務める大野の歌もこの間で大きく深みを増している。

 あと触れておかなければいけないのがこの曲のダンス。細かい振り付けで縦横無尽に動き回る様子は『Endless Game』(2013年)のものを更に高度化した印象。まるでミュージカルを観賞しているかのように見入ってしまった。これは早くライブで生のダンスを観てみたい。

 シングル『誰も知らない』は通常盤の他に、ミュージックビデオを収録したDVDと歌詞ブックレットが同梱された初回限定盤も発売される。初回限定盤には『誰も知らない』のカラオケバージョンおよびカップリング曲、通常盤には別のカップリング曲が2曲収録される予定(カップリング曲はすべてタイトル未定)。CDのジャケットも初回限定盤と通常盤でそれぞれ異なるものとなり、ファンなら是非とも両方ゲットしたいところだ。
(北濱信哉)

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