朝夏まなと&実咲凜音、ハッピー・コ
メディ『モダン・ミリー』で宝塚退団
後初共演

1920年代、モダンガールをめざしニューヨークにやって来たミリーが繰り広げる恋と冒険を明るく華やかに描くブロードウェイ・ミュージカル『モダン・ミリー』。4月に上演されるこの舞台で、宝塚時代、宙組でトップコンビを組んでいた朝夏まなとと実咲凜音が退団以来となる共演を果たす。主人公ミリーとその親友になるドロシーを演じる二人に話を聞いた。
――役どころについておうかがいできますか。
朝夏:舞台は1922年、田舎からニューヨークに出てきた主人公ミリーを演じます。タイピストですが、玉の輿に乗りたいという夢をもっていて、社長が素敵な会社を自分自身で選ぶという(笑)。ちょうど、女性が変化していって、男女平等ということも言われ始めた時代の物語なんですよね。そんな時代の、すごく前向きに自分の夢を追いかける女の子が、都会でさまざまな人と出会い、愛なのか、お金なのか、何が一番大切なのか葛藤して、最終的に選ぶものは果たして…という物語です。
朝夏まなと
実咲:私が演じるドロシーは女優志望で、少し世間知らずのお嬢様です。下宿先でミリーと出会い、いろいろな出来事が起きていく中で、ミリーと親友になって。ドロシーが女優になる夢をみて頑張っている姿は、私自身、宝塚に入りたいという夢があったので、共感できる部分でもありますし、今リアルに感じている部分も生かしていきたいですね。
――宝塚でトップコンビを組んだお二人が、退団後に親友同士の役どころで共演するというのも、あまりないことなのかなと。
朝夏:前例がないことに挑戦です(笑)。
実咲:本当にそうですよね。
朝夏:だから、本当に頑張らなきゃいけないなと思いますよ、私の方が。お客様の中には、宝塚を好きで観ている方、宝塚時代から観てくださっている方もたくさんいらっしゃるでしょうし、私たち二人が男女を演じていた残像がきっとあると思うんですね。そんな残像を感じさせないような舞台にしたいなと。普段の私たちはけっこう、ミリーとドロシーみたいにざっくばらんな感じなので、そんなところが役を通していい感じが表現できるといいな、と。今はトップコンビではないけれども、この二人が醸し出すものはやっぱりいいねと言ってもらえるようになったらいいなと思っています。
実咲:私も新しいことに挑戦する気持ちです。まあ様(朝夏)がおっしゃったように、観る方にもイメージがあるかもしれないので、それを払拭するような舞台にしたいなと。女優さん同士として立ったときに、新しいものが見えて、いいなと思っていただけたら「よっしゃあ!」という感じですね。今回、役どころ的にも新たな挑戦をさせていただくんです。ドロシーのように、世間知らずのお嬢様で、おっとりしていてちょっと抜けているところがある役柄を演じるのは初めてなので。どこまで役に寄り添えるか、挑戦だなと思っています。
実咲凜音
――退団後、お互いの舞台を観に行って、一緒に舞台に立っていたときと違う一面を発見したりということはありましたか。
朝夏:私は『ライムライト』が印象深かったです。すごく難しい役だったと思うんですけれども、お芝居の質が宝塚時代と全然違っていて、いろいろなものを抱えた女性をこういう風に表現できるようになったんだなと、繊細な部分がかなり垣間見えて。娘役さんって、宝塚を退団した後もそのまま同じ女性を演じるわけで、逆に難しいのかなという気もしたりしていて。でも、こういう芝居もできるんだなと、うれしい発見でした。
実咲:退団後のまあ様の舞台を色々拝見してきていて、その都度お伝えしてきたんですけれど、まあ様、かわいいんですよね。もともともっていらっしゃるチャーミングな部分が、さまざまなキャラクターを演じる際にいろいろと見えてきて、すばらしいなといつも思っています。宝塚にいたときは男性を演じる男役さんとして近くで見ていましたが、そのときとは全然違う面を、客席から見ることができて。
朝夏:今回、ミリーの方がドロシーにけっこう使われる役どころで、演じる上ではそれが新鮮かも(笑)。私の方が世話焼きみたいな関係性がすごく新鮮。
実咲:私は、3年ぶりに、お稽古場で一緒に舞台を作り上げていく過程を過ごせることが、どんな感じなんだろうと思っていて。まあ様が役を作り上げていく姿、舞台上での姿を、宝塚時代に一番近くで見てきていて、いつもすごく勉強させていただいてきたんですよね。その姿に影響されて、私も頑張らなきゃと思っていつもついて行っていたので。今回も、いい作品にすることを一番に考えて、自分がやるべきことをやって、私自身も楽しんで舞台を務められたらいいなと思います。
左から 実咲凜音、朝夏まなと
――宝塚時代、どんなところが一番勉強になりましたか。
実咲:役柄としてですが、まあ様は舞台上でもその日その時の感情を大切にされるんです。私は、慣れてきてしまうといつも同じタイミングで言ってしまったりとかがあったのですが、そういった小さいところも、まあ様はいつも新鮮にされていて。そういうことを、一番近くで言ってくださってたじゃないですか。その方がいなくなっちゃったんですよ~。
朝夏:(笑)。
実咲:今、自分、合ってるのか? というのがわかっていない部分が多々ありながらここまで来たんですけど(苦笑)。でも、今回こうしてまたご一緒させていただけるので。
朝夏:みりおん(実咲)とはトップコンビになる前からいろいろな作品で一緒にやって来て、いい作品にしようということは常々話し合っていました。私のそういう考えを一番伝えていたポジションの人なので、そう思っていてくれたことがうれしいなと思います。今はもう二人とも独立して、お互い、女優さんとしていろいろな舞台をさせてもらっているので、いい意味でプロ意識をもって、みりおんから何をもらえるんだろうとか、それも楽しみなところでもありますね。私の知らない現場もいろいろ経験しているわけで、そこで学んだこともあって、一緒にやっていたときとはまた違うものが生まれるだろうから、稽古場も楽しみだなと。
――1920年代という華やかなイメージのある時代が舞台の作品です。
朝夏:センスがいい時代ですよね。髪の毛を切ってショートにしたりとか、ドレスも丈が短くてストンと身体の線に合う感じだったり。舞台や映画でも観ていて好きな時代だったんです。宝塚だと宙組でよくやっているイメージがあるんですけれども、私自身は現役時代、縁がなくて。服装的には女性の方がきらびやかだったりするので、今回それもとても楽しみで嬉しいです。
朝夏まなと
実咲:本当におしゃれな時代ですよね。ロー丈のスカートだったり、ショートでちょっと前髪があってというのも、観るのは楽しいし好きなんだけれども、自分は似合うのかなという不安があるかも。
朝夏:でも、あなた今回髪の毛切らないわよ。
実咲:あ、そうだった(笑)。
――朝夏さんは、タイプライターを打ちながらのタップダンスのシーンもありますね。
朝夏:いったいどうなるのか、未知の世界ですよね(笑)。それ以外でもチャーミングなナンバーがいっぱいある作品なんです。曲も、衣裳も、セットも、ハイセンスでかわいくてチャーミングなものがいっぱいつまっている作品になると思います。演出の小林香さんもすごくセンスのいい方なので、作品の世界観をどう表現されるのか、すごく楽しみで。
実咲:香さん、私は初めてなんですよね。演出を受けるのが楽しみです。
――楽しみなシーンはありますか。
実咲:まあ様と一緒に歌うところが楽しみです。
――即答ですね(笑)。
朝夏:(笑)。
実咲:(笑)。どうなるんだろうと思って。どうにかなりますかね?
実咲凜音
朝夏:え、私のことが不安?(笑)
実咲:そうではないんです!(笑)宝塚時代、『風と共に去りぬ』で、まあ様がスカーレット、私がメラニーを演じたときは、女性の役柄同士で一緒に舞台に立っていましたが。
朝夏:デュエットはなかったね。
実咲:宝塚時代、男役さんとして接していたわけじゃないですか。でも、今回、目線にしても全部違ってくるんだろうなと思ったら、リアルまあ様と舞台に立つっていったいどうなるんだろうって…。そういうの、ないですか。
朝夏:ない(笑)。
実咲:私から見える景色は変わるから。
朝夏:そうか! 私から見える絵面はあまり変わらないんだけど、昔の感覚が甦るとすると、あなたが一番違和感を覚える人なのか。
実咲:何だか、感覚として。
朝夏:確かに。その感覚、おもしろいかも。
左から 実咲凜音、朝夏まなと
――朝夏さんはハッピーなミュージカルが続きますね。
朝夏:明るくて、最後何か心が温かくなるような作品に出会うことが多いんです。演じる側としても、役が、何かに向かって頑張り、挫折したり、悩んだりがありながらも、最後に行き着くところがあると、ある程度救われるので、私自身、元気をもらえるところがありますね。この作品も、明るくて、個性豊かなキャラクターがたくさん登場して、ミリーは振り回されながらも、大事なものに気づく。キャリアを築きたいという彼女の思いも、今の女性の方にもすごく共感していただける部分だと思うのですが、最終的に愛が描かれているところが普遍的なテーマなのかなと。
実咲:いい作品ですよね。
朝夏:力をもらえるよね。
実咲:ハッピーなミュージカルは観るのも好きですし、今回出演できてすごくうれしいです。女の子なら誰もが夢見るような、誰もが共感できるようなところが描かれている作品だと思うので。
朝夏:コメディ、お得意ですもんね。
実咲:いやいやいや。
朝夏:『タカラヅカスペシャル2015』での『王家に捧ぐ歌』のパロディ場面、私たち、頑張ったもんね。二人の間がよいとおほめいただいて。
実咲:お稽古中は不安でしたが。コメディって、お客様が入らないとわからないところがあるので。
朝夏:そこはもう、香さんを信じて。
実咲:考えないのも、考えすぎてもいけないんですよね。
朝夏:狙っちゃいけないよね。
実咲:役柄が濃いので、そこに身を委ねながら(笑)。頑張りたいです。
左から 実咲凜音、朝夏まなと
取材・文=藤本真由(舞台評論家) 撮影=荒川潤
<朝夏まなと>スタイリング:加藤万紀子/ヘアメイク:タナベコウタ
<実咲凜音>スタイリング:Yoshino/ヘアメイク:長野一浩(MARVEE)
※衣装クレジット
・ホワイトノースリーブワンピース 26,000円+税/ ottod’ Ame (ストックマン)
・ブルーパンプス 17,500円+税/ダイアナ(ダイアナ 銀座本店)
・ピアス 28,000円+税/STAR JEWELRY(スタージュエリー表参道店)
※読者お問い合わせ先
・株式会社ストックマン:151-0051東京都渋谷区千駄ヶ谷2-30-1/TEL:03-3796-6851
・ダイアナ 銀座本店:104-0061東京都中央区銀座6-9-6/TEL:03-3573-4005
・スタージュエリー表参道店:東京都渋谷区神宮前4-12-10 表参道ヒルズ西館 1F/TEL:03-5785-0201

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