カラスヤサボウ「goodnight, wonder
end」コンセプトは絵本

感傷を誘い世界観に共感する聴き手が多い、カラスヤサボウが作る新たな世界は〝絵本〟がコンセプト。アルバムの聴き所を直撃した。
―アルバム『goodnight, wonderend』のコンセプトを教えてください。
カラスヤサボウ
アルバムのお話を頂いた時は本当に驚いて不安だったのですが、せっかく作るのであれば〝音楽〟というものを自分なりにしっかり解釈し、それを形にしたいと思いました。そこで、どんなアルバムにするかを考え、テーマを整理していきました。カラスヤサボウというイメージから離れすぎず、それでいて新しいものと考えた時に浮かんだのが〝絵本〟というコンセプトだったんです。楽曲や歌詞は、今までで一番自分を正直に書いたものになっていると思います。12曲全て新曲ということもあり、アルバムのお話をいただいてから発売までに１年ほどかかりましたが、納得の出来る仕上がりになりました。〝絵本〟というテーマはありますが、曲それぞれの関係性は想像していただけたらと思います。ブックレットもカードになっているので、聴きたい順に並べ替えて聴いてみる、というのも面白いかもしれません。

―今回はギター、ベース、ドラムを打ち込みではなく、生録されたとのことですが、いかがでしたか？
カラスヤサボウ
DTMの打ち込みと生録はそれぞれ違った魅力がありますが、全国流通でアルバムを発売させていただくということなので、今回は前々からやりたかった生録をさせてもらいました。今回は人間の音のほうにあわせてVOCALOIDを歌わせる、ということをしています。演奏者それぞれの呼吸感を最大限に生かせるように、ドラムを叩いてくれた「虚弱。」のドラマーまにょさんのリズムに合わせて、ギターで僕と和田たけあきさん、「My Eggplant Died Yesterday」のベーシストyu-kiさんが音を入れ、リズム隊すべてが仕上がってから僕がVOCALOIDを合わせていくといった感じです。人間が奏でたリズムなので、今回は波形を細かくみながら VOCALOIDを調整させていきました。結構、地道な作業でしたね。実は、まにょさんとは大学が同じだったんですよ。でも、お互いに音楽活動をしていると知ったのは４年生の終わりごろ（笑）。僕は「虚弱。」を知っていましたし、まにょさんも VOCALOIDを知っていたので「今度何か一緒に作りましょう」と誘ったのが今回のアルバムに参加してくれたきっかけです。仮音源を渡したら、まにょさんらしい独特の世界で表現をしていただけて嬉しかったですね。和田さんとは僕が VOCALOIDのイベントでCDを頒布するときにご一緒させていただいた縁がありました。僕もギターを弾くんですけど、僕の音は丸い感じ、和田さんのギターの音は鋭くて刺さるようなサウンドなんです。自分とは音作りも演奏の特徴も違うから、驚いたり圧倒されたりしました。ベースのyu-kiさんにも作り込んだ音楽をお渡ししてから、ベースを入れてもらったのですが、もともとあったベースラインから、さらに曲が活きるようなベースラインにしてくれました。自分でDTMで打ち込んだベースとは全然違う仕上がりになってるんです。ドラムのまにょさんのリズムを生かしつつサウンドを作りあげる力がすごかったです。
―ジャケットイラストもカラスヤサボウさんのイメージにぴったりです。
カラスヤサボウ
イラストを手がけてくださった葉守碧さんは、ボールペン画を主体とした絵本作家さんなんです。ニコニコ動画で活動している方ではなかったのですが、展覧会で絵を拝見したときに、どうしても描いていただきたくて、オファーをしました。イラストに関してはテーマと歌詞などを渡してあとは自由に描いていただきました。
―アルバム『goodnight, wonderend』の聴き所をおしえてください。
カラスヤサボウ
今回は〝夜〟がテーマなので眠れない時とか、落ち込んだ時に聴いてください。また、このアルバムに正解はありません。聴く順番も聴いて頂く方にお任せしています。そして、〝絵本〟というコンセプトなので、ひとつひとつの曲にある物語も自分で思い描いたものを大切にしてほしいと思います。これがカラスヤサボウだ、と胸を張っていえるアルバムになったと思うので、是非聞いていただけたらと思います。