【majiko インタビュー】
暗い場所から明るい場所を
夢見るような世界観を目指した
“私の作るもの=私の世界観”を
どんどん拡大させていきたい
でも、当初と圧倒的に違うのは聴きやすさや分かりやすさを兼ね備えている面だと察します。
そうなんです! 聴きやすさは特に大切にしました。過去の経験からもっとも重要なことだと気付いたので。以前は好きなことを好きなように吐き出していただけでしたが、その後、学びました(笑)。さまざまな方の意見も参考にして、“じゃあ、こうやってみよう”的な答えが出たんです。それらが特に自分で作詞作曲した曲には反映されてます。
確かに、今作は言いたいことのメリハリがかなりついてます。あとは、サビ重視な楽曲ばかりで。
かつては“サビがどれかよく分からない”なんて言われたりもしましたから(笑)。すごくストイックで、まさに暗黒みたいなとらえられ方をされて、救いがまったくないような印象があったらしくて。それだとどんなに内容が良くてもイメージだけで拒絶されてしまいますからね。
私もかつては聴き手を選ぶ音楽性や歌の印象を抱いてました。
それはそれでありなんでしょうけど、広がるチャンスを逃してましたね。だから、私の好きな部分を残しつつ、もっと興味を持ってもらえる…そんな折衷を模索してました。その結果が今作だったんです。
キャッチーさを意識した曲も多くて。
その辺りはむちゃくちゃ考えました! 今までは内省的な歌でそのまんま内に秘めてましたけど、もう少し外に出して行こうと。暗い場所から明るい場所を夢見るような世界観を各曲で目指しました。ここまでいろいろとやってきた今の時点の私には合ってるし、そこに近い作品ができたかなと。
ラストの「WISH」は今おっしゃった境地がそのまま歌われてますね。
まさにもう、これは職人技ですね。横山裕章さんがアレンジしてくれて、“さすがagehaspringsやな~”と(笑)。この曲はアニメ『7SEEDS』のエンディングテーマなんですけど、原作の番外編まで購入するぐらい、それこそ“大好きなコミックベスト3”に入るほど好きで。自分としてもこのようなJ-POPタイプの歌詞を書くのは初めてだったので、伝えたいことはたくさんありましたが、いちファンとして書かせてもらいました。
《きみと二人で進もう》というフレーズも印象的でしたが、この曲で意外だったのは結論までバシッと歌っているところで。
これまでは結論が出ない袋小路や出口が見えない歌詞ばかりでしたからね(笑)。作品の内容がかなり辛辣だったから、せめてエンディングだけでも希望を感じて救われるようにしたくて、あえてここまで書きました。これほど明るい歌詞を書いたのは初めてかも。この楽曲の歌詞をきっかけに今作が始まった感覚もあります。
majikoさんの同期たちもここにきて頭角を現し、ステージも大きくし出していることだし、負けてられないですね。
最近、その辺りを考えることがあるんです。でも、やっぱりみんなと私は違う…“私は私だよな”って思って。その辺りもアルバムを作って改めて気付けた面でした。私はこれからも自分の芯を大事に活動していくだけですね。
そう考えると、今作は立ち戻れた感があったのでは?
ありましたね。芯の部分は変わってませんけど、それを纏う衣が分厚くて強靭になったというか。もっとキラキラしたものになったと自負しています。
確かに、1周回って大きくなって戻って来てくれたように思います。
嬉しいです。それこそ、めっちゃ美味しいパン粉をふんだんに付けて揚げたみたいな(笑)。もうこうなったら、“私の作るもの=私の世界観”だと言い張って、“これが私だ! majikoだ!!”と、その世界観をどんどん拡大させていきます。核さえ変わらなければ、それを包む衣はパン粉でもチョコレートでも大丈夫だと思いますし。きっとそれぞれで美味しく召し上がっていただけると信じているので。
取材:池田スカオ和宏
アルバム『寂しい人が一番偉いんだ』
全曲クロスフェード
「エミリーと15の約束」MV
「春、恋桜。」MV
「パラノイア」MV
「ひび割れた世界」MV
「狂おしいほど僕には美しい」MV
関連ニュース