ステージレポート ミュージカル『刀
剣乱舞』 加州清光 単騎出陣 アジア
ツアー、フィナーレ!

ミュージカル『刀剣乱舞』から派生したソロライブ形式のステージ、“加州清光 単騎出陣”が早くも3度目の公演を実現! しかも今回は爆発的人気を受け、上海~バンコク〜マカオ〜日本凱旋とシリーズ最大規模のアジアツアーを敢行した。ここではそのフィナーレを飾った日本凱旋公演の模様をレポート。幕張メッセに渦巻いた熱狂の余韻をお届けしたい。
灯りが落とされ、客席はシン……と期待いっぱいのサイレント状態に。やがて場内に静かに流れていた水音のボリュームが次第に大きくなり、不意に断ち切られる! さあ、『Overture』に乗り、ゴシック調のコスチュームに身を包んだ加州清光の登場だ。
(c)ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会
客席はすでに加州清光のイメージカラー「赤」のライトが一面に揺らめいている。その情熱的な煌めきはジャジーなサウンドにもぴったり。数々のステージを共に踏んできたダンサーたちとのフォーメーションも美しく、また、初っ端から惜しみなく放出される白・青・緑のレーザーによるゴージャスな空間演出も圧巻! 特に会場の広さを生かした『星の彼方へ』での光の洪水の連打はまるで銀河に包まれているような幻想的な光景が一面に広がり、観る者を異空間へと誘ってくれる“魔法”に満ちていた。
(c)ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会
加州清光役の佐藤流司は自身が率いるバンドでもライブ活動を重ねているだけあって、歌のメッセージで場を掌握していくパワーがしっかりと備わっており、これだけスケールの大きな会場でも隅々にまで思いを飛ばしてくれるのがどの席にいても感じられるのが頼もしい。これまでの単騎出陣でももちろん抜群の吸引力を持っていたが、このアジアシリーズではさらに存在の在り方が深化、変化した。
例えばダンサーとの関係性。これまで加州清光を華やかに盛り立てるよう積極的なアピールで脇を固めていた彼らが、今回はいわば「加州清光の想いの残像」とでも言おうか、加州清光に影のように寄り添い支えながら信頼感を持って存在しているように感じられたのだ。それは、メインである加州清光がより“真ん中”としての大きさを手に入れ、現代の戦い=主を楽しませるための歌とダンスでもさらなるレベルアップを果たしている証拠でもあるのだろう。
「初めましての人もいるよね」と、加州清光の正式な挨拶も披露しつつエレガントでドラマティックなナンバーが続いた前半から、赤いファーのキュートなコートに衣装替えをした中盤へ。ここは『Jackal』ほか、重めのビートにファイティングポーズを繰り出すようなダフで男っぽいナンバーでたたみかける、ビジュアルとサウンドの競い合いが愉しい。そこからしっとり聴かせる『NO LIFE WITHOUT YOU』への流れも流麗だ。
そしてMC&給水タイムを挟み会場通路をトロッコステージに乗って移動すると、さらに客席がヒートアップ! 上着を脱ぎ捨て思いを放ち、四方に手を振り続ける加州清光の「少しでもたくさんの主の近くへ……」というその気持ちがまた嬉しい。トロッコを降り、再びメインステージに戻る際にも場内通路を細かく走り回ってくれたため、定位置に着く頃には流石にちょっと汗だく&息切れ(笑)。おもむろに床へ寝っ転がり、「頑張って〜って言ってくれないと立てないっ」と、声援をおねだりする甘えモードも発動。さっきまでのエレガントでスタイリッシュなパフォーマンスを反芻しつつ、強気なはにかみやさんなところも垣間見られ、微笑ましい気持ちにさせてくれるのも心憎い。
(c)ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会
ほっこりとした交流タイムの後は後半戦! 華麗でキレのある和太鼓演奏を響かせた後の『獣』はもう「ここで盛り上がらなければドコで!?」というくらい、頭よりも先に心が昂ぶる“燃え”ポイント。文字通り炎も立ち昇り、ビジュアルポイも披露しつつ、いよいよ戦闘モードに入った加州清光の本気が、佐藤流司に根付くROCK魂を内包してガンガンに伝わってくる。と同時に、ステージ上はミュージカル本編を想起させるドラマ仕立ての構成に。時間遡行軍も登場し、壮絶な殺陣と歌とが繰り出されていく。
勇壮な空気を纏う『選ばれぬ者』にオーバーラップする「誠」の一文字。これが、新撰組の戦い。これが、加州清光。ギリギリの戦いの中で一瞬見せる不敵な笑みすら妖艶だ。闘争心は『刀剣乱舞 〜加州清光 単騎出陣〜』でピークを迎え、無数の花びら舞う中で刀を振るい続ける彼の勇姿に万雷の拍手が重なっていく——。
アンコールも惜しみなく。『見つめてくれるなら』『情熱のSymphonia』など、単騎出陣に欠かせないナンバーを次々に披露。ラストの『解けない魔法』まで、お別れの時を惜しむようにパフォーマンスは続いた。
(c)ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会
最後の言葉は「それじゃ、またねっ」。その晴れやかな表情に、トライアル公演でまっすぐ主を見つめながら褒められたそうに屈託のない笑顔を向けていた加州清光とのファーストコンタクトを思い出す。いつも変わらず全身全霊、主のためにこんなにも戦い続けてくれる愛すべき存在を……。
(c)ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会
加州清光がステージから去り、満足感と余韻に満たされている会場に佇みながら、早くも次の再会が待ち遠しくなった。
取材・文=横澤 由香 写真=オフィシャル提供

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