絶賛再起動中、2年ぶりのオール新作
ジョビジョバライブを、構成・演出の
マギーが語る

2002年に活動停止していた演劇ユニット・ジョビジョバが、15年ぶりにフルメンバーの6人で復活を果たしてから2年。その再起動時に今後も活動を継続することを宣言していた彼らが、オール新作のステージ『LET’ S GO SIX MONKEYS』を上演する。構成・演出を手がけるリーダー、マギーに再起動のこと、メンバーのことなど、たっぷり語ってもらった。
――2年前の前回、再起動してみての手応えやお客さんの反応はいかがでしたか。
これが、すごく楽しかったんです。作品の出来に、お客さんの「待ってたよ!」という気持ちも加わって、いろいろなことが奇跡的にいい形になってくれたというか。あまりライブでこういう感想ってないと思うんだけど“多幸感があった”という感想をいくつかいただいたんですよね。その理由はもしかしたらカーテンコールでかかってた曲の雰囲気かもしれないけど(笑)。実際に、やっている俺たちも楽しかったし、なにしろ面白かった。そして、俺たち、また一緒にやれて良かったよねという気持ちにもなったし。そういう意味でも、とても幸せなライブでしたね。
――そうやって幸せに思っている演者の気持ちが、きっとお客さんにも伝わったんでしょうね。
そうですね。その前の「再集結」として集まった『U-1グランプリ』が同窓会的な意味も含めてものすごく楽しかったのが大きいです。だから前回の再起動はさらに気負いみたいなこともなく、自分たちが楽しむことにまっすぐ進めたというか、ただひたすら、自分たちが面白いと思うことをやろうぜ!という気持ちが強かったです。
――6人全員が無事に揃ったということもあったのかもしれないですね。これって、奇跡的なことでもありますから。
そうですね、だから同窓会がU-1だったとしたら、前回は「ジョビジョバ、また始めるよ!」と宣言する公演だったので。その高揚感も、幸せな感覚につながったんだと思います。
――その再起動から2年ぶりの公演となる今回の公演では、どんなことをやろうと思われているんですか。
前回はこういうネタをやりたいなとか、こんなことを今面白いと思っているんだとか、もしくはお客さんが「ジョビジョバってこんなライブをやってたよねー」っていう懐かしさみたいなものも含め、それらすべてがビターッと合致したステージができた気がしているんです。それでいうと今回は、俺たちが今後もジョビジョバを続けていく以上は挑戦というか、新しい角度、新しいアプローチから考えたコントもいくつか作りたいなというのがあります。もしかしたらお客さんからは「久しぶりにあのコントが見たい、あれも見たい!」という期待もあるかもしれないけど、そんなに楽ばっかりもしてられないというか。毎回同窓会をやってるわけにはいきませんからね。
――せっかく再起動したんだから。
だから「これはどうだろう?」とか「これはこれでやる意義があるんじゃない?」というものも、どんどん発表していきたいんです。
――新作として。
もちろん。前回もそうでしたが、今回も基本的にはオール新作でやるつもりです。その新作の中に、今までにないアプローチのものであったり。
――ちょっと毛色の違う新しいものを入れていく、ということ。
そうですね。とはいえ「新しいものをやろうぜ」「この面白がり方はなかったね」とか言いながら作っていくうちに、結局いつもジョビジョバらしいコントになるかもしれませんけど。でもそれはそれで今、俺たちが面白いと思って作ったものになっていればOKなので。そこは大事にしていきたいですね。
――客層としては、どんなお客さんがいらしている感じでしたか?
20代にやっていた時よりも、男性のお客さんが増えた印象がまずありました。もちろん、ずーっと応援してくれていたんだろうなという方も多く、うれしいのは、そういう方々が子供さんを連れて、来てくださる方もいて。その子供さんというのももう高校生だったりして、なんだかすっげー若い子が来ているなと思ったらその隣にお母さんらしき人がいたりして。そういう風になってきているというのも、すごくうれしかったです。
――また、今回はちょうど元号が変わる時期というのも面白いことになりそうですね。
ま、公演時期を決めた頃には、まさかこのタイミングで元号が変わるとは思っていなかったんですけど(笑)。だけどまあ、節目ではあるから、この先もたびたび思い出してもらえるきっかけにはなりそうですよね。自分たちもきっと「時代が変わった時に俺たちは品川にいたなあ」って、ずっと覚えていることになるんだろうな。でもせっかくですから、チラシにも書きましたけど、平成の終わりと新しい時代の幕開けにジョビジョバと一緒に過ごせて良かったと思っていただけたら。とにかく、きっかけはそれでもなんでもいいので、ぜひ大勢の方に劇場に来てほしいです(笑)。
――では改めて、ここでマギーさんからメンバー5人のことを、こういう魅力のある役者でもあり仲間なんだということをひとりずつ紹介していただきたいのですが、いかがでしょう。
まず、長谷川(朝晴)さんは『真田丸』の伊達政宗であったり、さまざまなドラマに出ているから、ジョビジョバではない角度から長谷川を知った方って多いと思うんですよ。そんな方々にも、ぜひジョビジョバの中にいる長谷川を一度見てみてほしい。この人ってこんなに面白くてツッコミもボケもできて、笑いの部分でオールラウンドな人なんだ!って、きっとビックリしてもらえると思うんですよね。
――ドラマでしか知らない方なら、絶対に驚きそうです。
坂田(聡)は、うちのメンバーの中で最もきちんとおじさんになっていて、その最もきちんとおじさんとしての笑いを取れる技量があり、さらにある種の人間力みたいなものも持っているから、昔以上に面白い。これからもっと面白くなるんじゃないかなっていう期待もあるので、『アウトレイジ』でのコワモテしか知らない方は、同じくジョビジョバでの坂田の姿も見てほしい。六角(慎司)はドラマでやったMr.オクレさんの役(『Jimmy~アホみたいなホンマの話~』)とかで注目してくださった方もいるかもわからないですが。……だけどホントのところ、彼の良さは俺にもまだわからないので、みなさんと一緒に見つけていこうと思います(笑)。
――未知の魅力がある、と(笑)。
これからお客さんと一緒に、なんとかして僕も見つけていきたいです(笑)。(木下)明水と石倉(力)は、ちょっとあえてこの二人はくくって語らせてもらいますけど。僕がジョビジョバを再起動して、一番変わったなと思うのが、この二人なんですね。やっぱりそれは今、素人であるということを二人が最大限に面白いほうに利用して舞台に立っているので。それは舞台上だけではなく、たぶんメンタルの部分で、非常にいい方向に作用していると思うんですよ。そして、いつもはお坊さんである明水、いつもはサラリーマンである石倉が、この期間だけジョビジョバに戻るということを、二人ともすごく楽しんでくれている。僕自身にしても、20代の頃に彼らに求めていたものと今とでは明らかに違うので。今は、超面白い素人さんだと思っているから。
――そうなんですね(笑)。
不器用な役者じゃなく、面白い素人だと思っているので(笑)。だからこそ不器用だったりしても、今の俺には全部がプラスに見えている。それに、この二人が前向きにこの再起動に乗っかってきてくれているということが、今のわれわれ6人の空気を作ってくれている大きな要素だとも思うんです。当然、毎日稽古に来てくれるわけではないんですけど、週末に6人揃う時の稽古ではやはり「おぉう!」って感じるものがたくさんある。今のジョビジョバの強さは、この素人が二人いるということでもあるんですよ(笑)。
――最強の素人が。
しかも、面白めの素人が(笑)。俺にとっては、このことが特にオモシロの強みになっているんです。
――そのバランスが、ジョビジョバならではの面白さにもつながっている。
そうです。この二人が一度辞め、また復活したことで、新しいフォーメーションになれた気がするんですよ。しかもこのフォーメーションが、改めて全員が居心地よく思えている形になっているんです。
――そういう居場所で、マギーさんは出る側の人間としてはどういう立ち位置でやっていこうと思われていますか。
20代の頃はやっぱり6人組のリーダーであると同時に、立場としてはプロデューサー的な立ち位置でライブを作っていたように思うんですね。つまり、彼のこういう面をもっと出したいとか、今のジョビジョバだったらこういうコントをやったほうがいいんじゃないかとか。だけど、再起動後はもっと純粋に「ただ、おもしろいコントをやりたいんです!」ってだけのことなので。今後の方向性も特に何も考えず、単に6人で面白いコントを演り続けていたい、という感覚になっています。
――みんなで集まった時に、面白いことだけを考えていたい。
それに関しては、純粋に取り組めています。演者として、ピュアに向きあえている。だから楽しいものだけに向かって走れているので。俺も明水や石倉と同じくらい、マインドがチェンジしているのかもしれませんね。
――それは年齢を重ねたから、ということも影響しているんでしょうか。
うーん、いや、それよりは一回辞めているのに、またできているということのほうが大きいですね。あのままずっと続けていたとしたら、こういう関係性にはなっていなかっただろうから。だから「もう一回みんなでやろうぜ」って俺が声をかけた時、みんなも「やろう!」と言ってくれた時点ですでに俺の中はハッピーでいっぱいになっているので。
――今も、マギーさんの中は純粋にうれしいと思う気持ちでいっぱい。
そうなんです。2014年のU-1の時から数えれば今回は3回目になるんですが、まだその幸せ感に関しては今もずっとホットですね。
――では今回も、そのモチベーションのまま。
そのまま、稽古に入れるんじゃないかなと思っています。
――では最後に、ぜひお客様へお誘いのメッセージをいただけますか。
僕らの写った宣伝写真を見て「このおじさんたち、なに?」とか「あ、こいつらまだやってたんだ」とか、なにかしらのビックリマーク!やハテナ?がちょっとでも頭に浮かんだ方は、その、ご自分のビックリマークやハテナを信じて、ちょっとチケットを買ってみてください、損はさせませんから! 評判を聞いてからにしよう、なんて方も多いですが、もちろんそれでもいいんですけど「わあ、やっぱり私の直感は正しかった!」とか、そんなチケットの買い方もすごくいいと思いますよ!(笑)
マギー
取材・文=田中里津子

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