『FM802弾き語り部 秋の収穫祭』でテ
レン松本大、トライセラ和田唱、ビッ
ケブランカらが熱いライブ

『FM802弾き語り部 -秋の収穫祭- ~MINAMI WHEEL EDITION~』2018.10.16(TUE)大阪・心斎橋BIGCAT
アコースティックライブイベント『FM802弾き語り部 -秋の収穫祭- ~MINAMI WHEEL EDITION~』が、10月16日(火)に大阪・心斎橋BIGCATにて開催された。LAMP IN TERREN・松本大がFM802へのゲスト出演の際、「弾き語り部を作って部長になりたい!」と発言したことがきっかけで生まれた『FM802弾き語り部』。『MINAMI WHEEL』『RADIO CRAZY』といったイベント内での課外活動を経て、今年は『新春発表会』『夏季演奏会』と銘打ちライブハウスでも行われ、今回の『秋の収穫祭』は3回目にして過去最大キャパでの開催となった。
満員御礼のBIGCATに、弾き語り部・宣伝係のFM802DJ・飯室大吾と、同じく女子マネージャーのFM802DJ・田中乃絵、そして部長の松本が登場し、まずはご挨拶。今回の出演者は、竹内アンナビッケブランカ、松本大(LAMP IN TERREN)、横山直弘(感覚ピエロ)、和田唱(TRICERATOPS)の5名で、松本以外は新入部員というフレッシュな顔ぶれで、ライブにトークにセッションにと盛りだくさんの内容で行われた。なお、この日は『MINAMI WHEEL EDITION』ということで、ミナホパス持参の来場者には特製ピック型ステッカーもプレゼントされた。
竹内アンナ
トップバッターは、この日唯一の女性部員である、LA生まれ京都在住の若きシンガーソングライター・竹内アンナ。1曲目の「BLUE」から、小気味いいカッティングにボディタップを交えた躍動感のある演奏とガーリーな魅力でオーディエンスを虜に。続いて、メロウなイントロに乗せて「FM802さんでもよく流してもらっているこの曲を」と披露したのは、この夏にリリースされたメジャーデビューEP『at ONE』に収録されている「ALRIGHT」。弱冠20歳ながらBIGCATの大きなステージにも物怖じすることのないパフォーマンスには、観客もグイグイ引き込まれていく。「弾き語り部はすごく素敵だな、入りたいなと思っていたので、参加させていただいて嬉しいです。今日は入部届を持ってきたので(笑)、部長さんにハンコを押してもらえるように頑張ります!」と意気込んだ後は、彼女が生まれた翌年、1999年の世界的大ヒット曲である、TLCの「No Scrubs」のカバーを。アコースティックアレンジされた名曲に新鮮味を感じつつ、彼女のネイティブな発音による歌唱にも聴き惚れる。ルーパーを駆使した最後の「TOKYO NITE」では、オーディエンスの手拍子もフレーズの1つとして重ねていくなど、人懐っこいキャラクターと共にシンガーソングライターとしての可能性を存分に感じさせてくれたステージだった。
竹内アンナ

横山直弘(感覚ピエロ)

二番手には、感覚ピエロの横山直弘が登場。いきなりスガシカオの名曲「黄金の月」のカバーをしっとりと、そして艶やかに歌い上げ、会場のムードは一変。ステージに灯されたランプとブルーの照明に照らされながら切々と言葉を重ねる光景は、まるで眼前に夜空が浮かぶかのようだ。続く「幽霊 in the mansion」や「イマスグ」では、バンドでのライブとはまた異なるアプローチで、彼のしなやかな歌声と楽曲の世界観を届けていく。ここで再びザ・ビートルズの「Blackbird」を披露するなど、洋邦のカバーの選曲にもルーツとフェイバリットを垣間見るようで、改めて彼の歌い手としての魅力を再発見。
横山直弘(感覚ピエロ)
後半戦は、タイトなストロークから感エロのライブではおなじみの鉄板チューン「Japanese-Pop-Music」を。自然発生した手拍子と共に会場をあたためたかと思えば、「この人、ずっと喋らへんねやと思って聴いてたでしょ?(笑) 俺だけ畑違いかと思ったけど、松本大に誘われて出たよ」とユーモアを交え観客を煙に巻く横山。「弾き語りのライブは今年初めてだし、ライブハウスでやるなんて4~5年ぶりじゃないかな? 今ここで味を占めている俺がいます。それじゃあ最後に、日本一カッコいい下ネタを(笑)」と歌った「O・P・P・A・I」は、間に「真夏の夜の夢」(松任谷由実)~「丸の内サディスティック」(椎名林檎)を挟みつつ、アコースティックの生々しさでエロさ増大(笑)。横山直弘の音楽人生全部乗せのような弾き語りは、今後ももっと観たいと思わせる素晴らしいパフォーマンスだった。
松本大(LAMP IN TERREN)
そして、弾き語り部の部長であるLAMP IN TERREN・松本大は、ピアノで奏でた「花と詩人」からスタート。バンドでのライブはギターを持つことが大半だけに、冒頭から弾き語り部ならではハイライトとも言えるシーンに。言葉を宙に放つかのようにBIGCATに響かせオーディエンスを釘付けにし、ギターに持ち替えた「ボイド」でも、空間自体を共鳴させるような歌声とアコースティックで際立つメロディに、テレンの楽曲のスケールをまざまざと感させられる。音源ではアンビエントな打ち込みをベースに構成されていた「Water Lily」も、彼が弾き語りでたくましく、肉感的に歌うことにより楽曲の新たな解釈を提示するようで、まさに弾き語り部の醍醐味とも言えるパフォーマンスが続く。
松本大(LAMP IN TERREN)
ここで「今日は事前に(飯室)大吾さんからリクエストがあったので、それをやろうと思います」とMr.Childrenの「箒星」を、「せっかくこんなにでっかい会場で歌えるので、みんなが知っている曲がいいなと思って、友達の曲をやります」と米津玄師の「Lemon」のカバーを披露。この2曲の持つエネルギーもさることながら、松本の歌声や佇まいに見事にハマった選曲に、会場からは大きな拍手が沸き立つ。最後は、昨日マスタリングが終わったばかりという12月リリースのニューアルバム『The Naked Blues』から新曲を。アルバムへの並々ならぬ想いを語り、「目を開くといろんなものに影響されるけど、目を閉じて心から願うことが本当の自分」と歌い上げたその曲は、まだ会場にいる誰もが知らない曲にも関わらず、心臓を掴まれるような感動が押し寄せる名曲。全6曲、まさに部長の面目躍如のライブとなった。
和田唱(TRICERATOPS)
「もうすぐ出るニューアルバムからやっていいですか?」と、新曲「地球 東京 僕の部屋」から幕を開けたのは和田唱(TRICERATOPS)のライブ。デビューから22年目にして初となるソロアルバムの表題曲は、非凡なソングライティングセンスは言うまでもなく、和田唱のパーソナルでフォーキーな横顔を覗かせる。そして、「はじめましての人も多いと思いますが、楽しんでいますか? 今日の出演者の方々はほとんど20代、ビッケくんでも30歳、俺がもうすぐ43だよ!(笑) なかなかこういう機会もないので緊張もしたし、今もそわそわしていますけど、誘っていただいてありがとうございます!」と大型新人からのご挨拶の後は、「1998年、当時のFM802のヘビーローテーションは宇多田ヒカルさんの「Automatic」だったんですけど、それ並みにかけてくれていた曲を(笑)」と、名曲「FEVER」を。20年の時を越えてもまるで色褪せないこの曲には、彼の重ねてきた時間とそれを生き抜くメロディの強さを改めて感じさせられる。
和田唱(TRICERATOPS)
続くカバー曲は、映画『オズの魔法使い』の劇中歌として知られる「Over the Rainbow」をインストで聴かせるという斬新なアイデアで、ギタリストとしての手腕もいかんなく発揮。終盤も、「いくつになってもはじめましての人の前で演奏すると最初の頃を思い出す」と、ソロの始まりとなった配信限定1stシングル「1975」、「弾き語りって自分磨きの試練的なところがあって。でも、歌も言葉もダイレクトに届くから。最後は、自分の帰るべき場所について歌った曲です。すごく特別な曲になったと思うので、心を込めて」と、「Home」を披露。大事な1曲を鍵盤弾き語りでしっかりとオーディエンスの胸に届け、貴重な大阪ソロライブで新たな一歩を刻んだ和田唱だった。
ビッケブランカ
新入部員にしてトリ、しかも久々の弾き語りということで、オープニングトークから緊張を隠せないビッケブランカだったが、そんな懸念を吹っ飛ばすように「SLAVE OF LOVE」、「ファビュラス」といきなり代表曲を連発! バンドセットではハイパーなポップソングと化す両曲も、弾き語りではそのメロウな旋律に改めて耳を奪われる。MCでは、当初はバンドライブ時の衣裳で出演しようとしたものの、他の出演者と見比べあまりに浮いていたため(笑)、急遽別の衣装を買いに走ったというドタバタのエピソードを語るビッケブランカ。続いては、「FM802でヘビーローテーションに選んでもらった曲があって、最近は披露することがめっきりなかったんですけど、今日こそやるべきだな」と、「秋の香り」を。関西において自身の名を知らしめるきっかけとなった、胸を締め付けるような切なさと美しさが共存する名曲に、オーディエンスもグッと息を呑む。
ビッケブランカ
ここで、小学生の頃に聴いて衝撃を受けたというTRICERATOPSの「GOING TO THE MOON」をカバーすると観客も大いに盛り上がり、これにはビッケも思わずガッツポーズ! そして、いよいよ最後の曲へ。「今日は、自分がちょっと忘れかけていたものがあったんだなと感じました。本来、音楽を作っている1人をヤスリで、いや、ピーラーで削って削って出てきた想いとか願いとか悔しさとか……そういう1人の人間の賜物こそが音楽で。そういうドロドロとした人間味も、皆さんに伝わることで存在していいものになる。シンガーソングライターとして、とても大事なものを気付かせてもらいました」。そんな真に迫るMCの後は、新垣結衣・松田龍平主演のテレビドラマ『獣になれない私たち』の挿入歌である「まっしろ」を本邦初披露。彼の奥底にあるピュアネスが宿ったような弾き語りライブは、ファンにもたまらない内容であっただろう。
最後のセッションのコーナーでは、部長の松本大が再びステージへ。ここでは松本がビッケのファンになったきっかけの曲だという「WALK」を共に歌うスペシャルコラボが実現! それぞれのアーティストの活動の芯となる歌声とメロディの魅力、『FM802弾き語り部』ならではの化学反応が起きた濃厚な3時間半は、「もう1回最初からやりたい」と部長の松本が漏らすほどの充実感に包まれながらエンディングを迎えた。
取材・文=奥“ボウイ”昌史 撮影=FM802提供(井上嘉和)

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