【RUSH BALL 2018 クイックレポ】流
れる汗と涙が光る、満月の夕。BRAHM
ANの怒涛のステージに細美武士も登場

RUSH BALL 2018 BRAHMAN
終盤にさしかかったステージに、降り立ったのはBRAHMAN。「AFTER-SENSATION」でライブがスタートすると、早くも高まりきった会場のボルテージが爆発。TOSHI-LOW(Vo)が「20年分の喜びと悲しみを思い出して……、20年分の出会いと別れを思い出して……、20周年の『RUSH BALL』を一緒に祝うのは俺たち。BRAHMAN始めます!」と宣言した後は、もう頭が真っ白。KOHKI(G)が分厚いフレーズをかき鳴らし、MAKOTO(B)とRONZI(Dr)が泉大津の地形を変えてしまうのではないかというぐらいのリズムを畳みかける。
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気づけば、TOSHI-LOWが観客の上で神輿状態に。「警醒」では彼の元になだれ込んでくる観客を、次々となぎ倒しながら熱唱。圧倒される観客もいれば、拳を突き上げ熱気を高める観客も。もみくちゃ騒ぎどころではない、とんでもない光景が目の前に広がる。
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興奮の沸点がぶち上ったところで、ビジョンに映し出されたのは東日本大震災で、事故が起きた原子力発電所で働く人たちの写真とコメント。先ほどまでとは打って変わって、「鼎の問」をじっと聞き耽る観客たち。汗を拭う人に混じって、涙を拭う人もいた。被災地に限らず、この世界には、自分の身の回りには、誰かが前に立ってやらなければいけないことがある。「その誰かになるのは誰だ」と己に問いかけるような時間は、胸がざわつき背筋が伸びる想いになった。
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「『RUSH BALL』が始まる3年前に作られたこの歌は、阪神淡路で歌われた。23年前にその種は植えられた。それから23年後、大阪北部地震……。京都、岡山、広島、愛媛……傷ついた日本。さぁ、その種の芽は出たのか、腐っちまったのか……。俺に答えを教えてくれ、西日本!」(TOSHI-LOW)……。始まったのは、「満月の夕」のカバー。陽が落ち、オレンジに染まり始めた空に、どこまでもどこまでも歌が広がっていく。会場を見渡し「芽が出てるよ」と浮かべた温かい笑顔が、頭から離れない。

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「20年ずっとずっと変わらないことをやってるのかなと思って来てみたら、全然違ったよ。当時は対バンしてもめちゃくちゃにして、自分たちだけが輝けばいいと思ってた。でも、20年経ったら違うのさ。一緒にこのステージを繋ぐ仲間が愛おしくて。特に、この『RUSH BALL』のステージは、頭から最後まで音を繋ぐ、今日は最後にDragon Ashにバトンを渡す。20年前の意固地な俺に言ってやるよ。20年経ったらいいことあるよって。一生の親友ができるって」(TOSHI-LOW)と、「今夜」へ。曲中、MONOEYESのステージを終えた細美武士が登場。共に裸になり、想いを馳せるように歌を届け、最後はハグ。なんとも愛おしい時間に、盛大な拍手と歓声が贈られた。ラストは、「真善美」で《一度きりの意味を/お前が問う番だ》とマイクを投げ捨てステージを後にした。轟音鳴り響く圧巻の連続から、胸に直接訴えかけるような身に詰まるステージングまで、たくさんの想いが詰まった重厚なライブだった。ステージが暗転すると、空には月が登り始めていた。偶然か必然か、この日は満月だった。

文=大西健斗 撮影=田浦ボン
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