電王は剣士に、ラスボスはウルトラマ
ンへ!10周年を迎える『仮面ライダー
電王』キャストたちの今に注目!

テレビシリーズの放映から、もうすぐ10周年を迎える『仮面ライダー電王』。出演者や制作者の10年間を振り返ります。

2000年代のライダーシリーズにおいて、特に高い人気を誇った『仮面ライダー電王』がテレビシリーズの放映開始から、まもなく10周年を迎えます。
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平成ライダーシリーズ第8作目として放送をスタートした『電王』は、未来からやってきた謎の怪物「イマジン」と、「仮面ライダー電王」へと変身する能力を得た主人公・野上良太郎との間で巻き起こる戦いを描いた作品です。
劇中には、良太郎に味方をする「モモタロス」や「ウラタロス」「キンタロス」など個性豊かなキャラクター性を持つイマジンたちも登場。彼らの声を、関俊彦さんや遊佐浩二さんといった人気男性声優が担当したことも相まって、歴代シリーズの中でも特に女性からの人気が高い作品としても知られています。
また、お伽噺をモチーフにした斬新なキャラクターデザインや、過去と現在、そして未来が交錯するスケールの大きなシナリオもファンから高い評価を受け、本編の放送終了後も劇場作品が何本も制作されるなど、長いスパンでシリーズが継続された、まさに「名作」と呼ぶに相応しい作品です。
そんな『電王』から10年。当時、番組に参加していたキャストやスタッフの皆さんも、活動の場を広げられ、現在では様々な分野で大活躍をされています。
史上最弱のライダーから明治最強の流浪人へ! 野上良太郎役の佐藤健さん主人公・野上良太郎を演じた佐藤健さん。佐藤さんは、この『電王』が初の連続ドラマ主演作であり、当時17歳という若さで「仮面ライダー」としてのデビューを果たしました。
番組スタート直後の良太郎は、モモタロスやウラタロスといった味方のイマジンを身体に憑依させ、彼らに肉体を貸すことで代わりに戦ってもらう……いわばイマジンの「憑り代(よりしろ)」のような存在として描かれており、そのユニークな設定も本作がライダーファンから注目を集める要因の一つとなっていました。
イマジンがいない状態では、極々普通の人間なので、戦闘力は皆無。更に、ありとあらゆるシチュエーションで災難に巻き込まれてしまう不幸体質の持ち主でもあり、誰が呼んだか、そんな良太郎に付けられたあだ名は「史上最弱のライダー」。
とはいえ彼も仮面ライダーとなった選ばれし人。強くなる為、そして、敵のイマジンに狙われた人々を救う為ならば、日々の努力を惜しまず、危険な戦いにも身を投じる勇気と覚悟を持った「正義のヒーロー」としての資質を持った人間。
そんな良太郎を見事に演じきった佐藤健さんは、現在は、数多くの映画作品に出演する売れっ子俳優に。特に、映画『るろうに剣心』での緋村剣心役は代表作として知られています。
『週刊少年ジャンプ』誌上で連載されていた同名の漫画を映画化した本作は、これまでに全3作が公開(3作目は前後編による分割上映)されています。
その劇中で、肉弾派の剣劇アクションを披露し、不殺の流浪人を演じている佐藤さん。『仮面ライダー電王』では、最弱と呼ばれる主人公を演じていた役者さんが、時を経て、明治最強の剣士を演じることになるわけですから、役者という仕事は本当におもしろいものです。
まだまだあどけない雰囲気を残していた『電王』から10年。今では、精悍な顔立ちで、ハードなアクションシーンもこなせる俳優として大人気の佐藤健さんの活躍を目にする度に、『電王』ファンとしては、感慨深い思いを抱いてしまいます。
ラスボスが正義のヒーローに変身!?
ラスボスを演じた役者さんが、正義のヒーローに変身! カイ役の石黒英雄さん『電王』におけるラスボスの一人である「カイ」役を演じた石黒英雄さんも、佐藤健さんと同じく、10年前の放映当時は想像もできなかった意外な役どころを現在では演じられています。
何と、ウルトラシリーズの最新作である『ウルトラマンオーブ』で、ウルトラマンオーブへと変身する主人公、「クレナイ・ガイ」として、日々、地球の平和を脅かす怪獣や宇宙人と激闘を繰り広げているのです。
時間を改変する為に未来から襲来し、配下のイマジンを使役して、良太郎たちを苦しめた悪の親玉を演じていた石黒さんが、今では、仮面ライダーシリーズと並ぶ、特撮ヒーロー作品の二枚看板であるウルトラシリーズで主役にキャスティングされているという巡り合わせに、時の流れを感じずにはいられません。
なお、他の特撮ヒーロー作品でラスボス役や黒幕役を経験した俳優さんが、ウルトラヒーローを演じるのは、50年以上の歴史を誇るウルトラシリーズにおいても初のできごとであり、石黒さんの「変身」は、日本の特撮ヒーロー作品の歴史に残る快挙といえます。
冷徹で非情な悪の首領である「カイ」から10年後、ミステリアスな風来坊で、普段は飄々とした態度ながらも、実は、優しく熱い心を持つヒーローの「ガイ」へ。
『電王』に出演していたメインキャストの中でも、石黒さんは、ずば抜けてユニークな配役の変遷を経験している役者さんといえます。
高い演技力に加えて、端正なルックスとモデル体型の長身という恵まれたビジュアルを持ち、映画やドラマで活躍中の石黒さん。近年では、大の綺麗好きというキャラクターを活かして、バラエティ番組に出演したり、掃除方法をまとめた本を出版するなど、まさにマルチな活動をされています。
石黒さんには、悪役とヒーローの両方を演じた特撮俳優として、これからも様々なメディアで活躍をしていただきたいですよね。
デンライナーの客室乗務員はグラドルでブレイク!
デンライナーの客室乗務員は、グラビアイドルとして大ブレイク! ナオミ役の秋山莉奈さん『電王』に出演した女優さんの中でも、高い人気を誇ったのが秋山莉奈さんです。
『電王』の前にも、『仮面ライダーアギト』(2001年-2002年)でメインヒロインの「風谷真魚」役に大抜擢を受け、「ライダー女優」としてのデビューを果たした秋山さんは、時を駆ける能力を持った特殊な烈車「デンライナー」の客室乗務員「ナオミ」を演じ、その愛くるしいルックスとキャラクターで、更なる人気を得ました。
また、その「美巨尻」を武器にグラビアアイドルとしての活動でも大ブレイクを果たし、人気グラドルの仲間入り。その女性美溢れる身体的特徴に自身の名前を掛け合わせた「オシリーナ」という秀逸な愛称で、ファンから親しまれることになります。
こんなにも可愛く、そして、肉感的なグラドルが、ピッチリと身体に張り付くフェティッシュなコスチュームに身を包み、毎週、日曜日の朝にチャーミングな笑顔を見せてくれていたわけですから、アイドルファン的な目線から観ても、本当に『電王』は贅沢な特撮作品でしたよね。
実際、モノトーンを基調とし、そこにヴィヴィッドな色合いの小物を加えたナオミのコスチュームは非情に完成度が高く、歴代ライダーヒロインの中でもトップクラスに入る素晴らしい造型です。演者である秋山さんのボディーラインを最大限に強調し、活かすことができる素晴らしい衣装なんですよね。
そのコケティッシュなビジュアルと美しいヒップで、世の男性諸氏を魅了し、そして、特撮作品のキュートなヒロインとして、全国の子どもたちの人気者となった秋山さん。
2015年のご結婚と出産に伴い、今ではグラドルを卒業されていますが、またいつの日か、ライダーシリーズにご出演をされる姿を、特撮ファンとしては観てみたいものです。
スーパー戦隊シリーズでも「列車」をモチーフにした作品でファンを魅了! 脚本家の小林靖子さん佐藤健さん、石黒英雄さん、秋山莉奈さんという主役級のキャラクターを演じたお三方の10年を振り返ったところで、次は、本作でメインライターを務めた脚本家の小林靖子さんに注目してみましょう。
特撮ヒーロードラマやアニメ作品を中心に活動されている人気脚本家の小林さんですが、『電王』では、そのロングランな人気を受けて、テレビシリーズ放映後も映画シリーズの多くで引き続き脚本を担当。また、ライダー関連の仕事でいえば、『仮面ライダーオーズ/OOO』(2010年-2011年)では、再びメインライターとしてライダーシリーズの脚本を執筆されています。
『侍戦隊シンケンジャー』や『ジョジョの奇妙な冒険』に『進撃の巨人』など、『電王』の後も人気の特撮、アニメ作品でメインライターとして、その才能をフルに発揮されていますが、本記事でピックアップしておきたい作品が、『烈車戦隊トッキュウジャー』(2014-2015)です。
『トッキュウジャー』は、『電王』と同じく、「列車」や「鉄道」をモチーフにした戦隊ヒーローであり、ライダーシリーズのファンの間でも話題となりました。
また、作中では「時間」が物語における重要なキーになっており、「イマジン」ならぬ「イマジネーション」を武器に、主人公たちが悪の組織と戦う……と、作品を形作る重要な要素の多くに、『電王』と共通するモチーフやキーワードが使用されており、両作品を重ね合わせて観るファンも多かったシリーズです。
『トッキュウジャー』も『電王』と同じく素晴らしいドラマとエンターテインメント性を有した特撮ヒーロードラマであり、小林脚本の妙技(人間臭い登場人物たちの描写や、物語終盤におけるどんでん返しの巧さなど)をタップリと味わえます。
当時、『電王』を夢中になって観ていた読者の中で、もしも『トッキュウジャー』を未見の方がいらっしゃいましたら、是非ともチェックをオススメします。
決して忘れない、名デザイナー韮沢靖さん
決して忘れられない『仮面ライダー電王』を支えた名デザイナー、韮沢靖さん2000年代のライダーシリーズにおいて高い人気を誇り、まさに「特異点」の一つとして、今も語り継がれる名作『仮面ライダー電王』。そのドラマ性の高さや、登場キャラクターの魅力は勿論のこと、佐藤健さんや石黒英雄さんといった、後の人気俳優を輩出した特撮作品としても、今後も特撮作品のヒストリーに、その名前を残す作品であり続けることでしょう。
最後に、『電王』の10周年を振り返る上で、決して欠かすことができないクリエイターについても触れておきましょう。そのクリエイターとは、本作でクリーチャーデザインを務めた、韮沢靖さんです。
見た目こそ恐ろしい異形の存在であるものの、その内面は愛すべきキャラクターの持ち主というモモタロスたちの「ギャップ」による親しみやすさは、韮沢さんのキャラクターデザインと出演声優陣の好演が見事に融合したことで生まれ得たものでしょうし、敵のイマジンたちのおどろおどろしさと美しさが混在するビジュアルは、韮沢さんだからこそ生み出すことができた「作品」です。
平成ライダー作品で沢山の怪人を生み出し、シリーズにおける重要なクリエイターとして、歴代作品を支え続けた韮沢さん。その突然の訃報を聞いた際に、イマジンたちの姿を反射的に思い浮かべた特撮ファン、アニメファンも多いことかと思います。
韮沢さんの独特な美意識とデザインセンスによって生み出されたライダー怪人たちはいずれも、この先、更に10年、20年という時を経ても、決して、その輝きを失うことはないでしょう。
10周年を機会に、『仮面ライダー電王』を観返す、或いは、これから初めて触れる方々は、この名作に出演していた役者さんたちの未来に輝かしい未来が待っていること、そして、「韮沢靖」というクリエイターが特撮作品にとても大きな功績を遺したことを是非とも念頭に置いて、作品世界へと飛び込んでいただければと思います。

ウレぴあ総研

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