迫力の刀剣男士そろい踏み! 撮影:小林裕和

迫力の刀剣男士そろい踏み! 撮影:小林裕和

【撮りおろし】俳優陣の熱演に大興奮
! 舞台『刀剣乱舞』濃密レポート【刀
ステ】

若手俳優が文字通り乱舞した舞台『刀剣乱舞』。チケットは即日完売、豪華若手キャストがそろった舞台の前評判は上々だった。5月20日に大阪メルパルクホールで千秋楽を迎えるこのステージ、ゲネプロに潜入してきた筆者が撮り下ろし写真とともに舞台の魅力をレポートする。

『刀剣乱舞-ONLINE-』といえば、DMMゲームスがリリースし、ニトロプラスがキャラクター及びシナリオを担当した大人気ゲームのことだ。ブラウザゲームから始まり、スマートフォンアプリ化、ミュージカル化など多数のメディアでミックスされ、2016年秋にはTVアニメ化も決定している。
【写真】撮りおろし満載!『刀剣乱舞』美麗舞台カットをギャラリーで見る
そんな『刀剣乱舞』通称“とうらぶ”が、豪華キャスト陣にて舞台化されると言うことであれば、これはぜひ観に行かぬわけにはいかない。
そもそも噂の“とうらぶ”とは何か?
『刀剣乱舞』を知らない人のためにザックリとした説明をすると、この作品では名だたる刀剣が刀剣男士(とうけんだんし)と呼ばれる個性豊かな男性キャラクターとして登場し、歴史上の戦場を駆けめぐりながら部隊を編成・育成していく。
西暦2205年、歴史改変を目論む「歴史修正主義者(れきししゅうせいしゅぎしゃ)」が過去への攻撃を開始すると、対峙する時の政府は歴史の守りとして「審神者(さにわ)」なる者を過去へと派遣する。
物の心を 励起(れいき)する審神者の力によって生み出された、刀剣に宿りし付喪神「刀剣男士」たちは、審神者と共に歴史を守る戦いへと身を投じるのである。
さて、本舞台は「舞台『刀剣乱舞』虚伝 燃ゆる本能寺」というタイトルで上演されており、タイトルの通りストーリーの主軸は織田信長が暗殺された“本能寺の変”だ。信長の所持していた刀剣や、歴史の謎などを絡めたストーリーラインは、観ていて引き込まれる、それでいてわかりやすい脚本になっている。
鈴木拡樹氏のすばらしさとは
鈴木拡樹は至宝である
レポートで舞台のストーリーをあまり語るのもどうかと思うので、本記事では俳優陣の熱演について述べさせていただく。まずは、三日月宗近役の鈴木拡樹氏について。
三日月宗近はある意味この舞台の主要人物でもあり、作品のファンの間でも人気のキャラクターだ。鈴木拡樹氏はいわずと知れた2.5次元界の至宝で(私がそう思っているだけだが……)、さまざまな舞台に出演、座長経験も多数ある実力派俳優だ。
演じるキャラクターが憑依したかのごとくピッタリくる演技を毎度披露してくれる鈴木氏は、ある意味一番注目度の高い三日月宗近にはベストキャスティングだったと思う。キャラクターヴィジュアルはもちろん衣裳の再現度、殺陣におけるフワリとした空気感、他のキャストとのやりとりで繰り出される笑顔……全てが素晴らしかった。
そして、劇中ではさまざまな葛藤を見せつつも物語の軸を担う山姥切国広役を演じた荒牧慶彦氏も、名演だったと個人的には思う。鈴木氏をはじめとした他キャストとの絡みも多かった中、コンプレックスを抱えた頑なな面を見え隠れさせつつも、他の刀剣男士たちをまとめ上げていこうと奮闘する山姥切国広の姿はとても魅力的だった。
刀太刀の個性が殺陣に出る!?
“兄弟刀”たちの絆にも注目
また、舞台『刀剣乱舞』を鑑賞する上で、同じ刀派の刀同士の絆という設定も注目しておきたいところだろう。刀にはその刀を鍛えた刀工というものがいるのが一般的で、その刀工を同じくする刀や、刀鍛冶の流派を同じくする刀は同じ銘をもっていたりすることも多く“兄弟刀”とも言える。
『刀剣乱舞』内では、佐々木喜英氏演じる宗三左文字と輝馬氏演じる江雪左文字、納谷健氏演じる小夜左文字が刀工の左文字一派を同じくする兄弟刀だ。彼ら左文字三兄弟の絆の描き方も舞台上では注目ポイントとなっているだろう。
三振りともに麗しい見目の兄弟だが、性格はそれぞれに違うし、刀としての形態も違う。特に筆者が注目したのは、小夜左文字役の納谷健氏だ。
小夜左文字は“短刀”なので、原作ゲーム内のヴィジュアルではとても少年らしい見目で描かれている。その少年らしい魅力を損なわず、さらに少し陰を背負ったような小夜左文字の表情を、2.5次元舞台には初出演だという納谷氏がとても魅力的に演じていた。
また、殺陣のシーンでは、太刀と打刀、短刀ならではの違いが出ていたのも面白かった。
おそらく劇中の殺陣はそれぞれの刀の特性が出るように考えられて振り付けられており、太刀なら刀身が目立つように優雅に大きく、打刀は激しく攻撃的に、短刀は小回りをきかせたアクロバティックな動きで、それぞれの刀の魅力を存分に見せていたように思う。
そこに、それぞれの刀剣男士の性格が加わって、本当に“十二振十二色”の殺陣を魅せていただいた。鑑賞する際には、ぜひ殺陣のシーンに注目してみて欲しい。
ここでも、小夜左文字役の納谷氏が良い仕事をしていたことも特筆しておこう(推しになったからの贔屓目では決してない……はず)。
ストーリー、他キャストは?
脚本家・末満健一氏が腕をふるったストーリー
そもそも原作であるゲームにはストーリーたるストーリーがないので、ある意味脚本が難しかったのではないかと思う。しかし、そこは脚本・演出の末満健一氏の手腕によって、違和感のない舞台作品に磨き上げられていた。私が見たところ、原作ファンからも脚本への賞賛コメントが少なからずあったようだ。
個人的には物語中でのポイントとなる不動行光役の椎名鯛造氏が、また良い味を出していたと思う。明るいキャラクター、その陰に隠れた鬱屈とした想い、刀剣男士としての意識の芽生え……。正直、舞台のあらすじを読んだときは感情移入して見られるストーリーだとは思っていなかったため、かなり意外な物語進行に新鮮な驚きを覚えた。その驚きは、ぜひライブビューイングや配信、DVDなどで実際に確認していただくのがよろしいだろう。
とにかく豪華なキャスト陣を見よ!!
他の刀剣男士についても、例えば薬研藤四郎役の北村諒氏の半ズボン姿が美しかったとか、鯰尾藤四郎役の杉江大志氏のひらひらと動く殺陣に釘付けになったとか、一期一振役の廣瀬大介氏のアンニュイな微笑みがっ……! とか、燭台切光忠役の東啓介氏から大人の色気が感じられたとか、和田雅成氏演じるへし切長谷部が底光りする存在感を発揮しているとか、鶴丸国永役の染谷俊之氏の衣裳あしらいがさすがすぎるとか、書きたいことはたくさんあるが……とりあえず、直接観ていただくのがこの感動をわかちあっていただく一番の方法だと思うので、まずは観劇をオススメしておく。
manzo氏とテルジヨシザワ氏の舞台音楽も、衣裳のクオリティも、脚本も、総じてクオリティはかなり高いと筆者は思う。
舞台『刀剣乱舞』通称“刀ステ”は、20日(金)を千秋楽として公演終了となる。チケットはソールドアウトだが、千秋楽当日は全国でのライブビューイングが行われ、27日(金)からはDMM.comにて公演の配信も行われる予定だとのこと。もちろんBD/DVDの発売も決定している。
まずは奇跡のキャスト陣がそろったこの舞台を、一度確認して欲しい。この筆者の情熱が、読んでいる方に届けば幸いである。

ウレぴあ総研

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