『平川祐樹―映画の見る夢』展、ポー
ラ美術館の現代美術展示スペース「ア
トリウム ギャラリー」で開催

ポーラ美術館(神奈川県・箱根町)の現代美術展示スペース「アトリウム ギャラリー」にて、『平川祐樹―映画の見る夢』展が、2018年9月30日(日)〜12月2日(日)まで開催される。本展覧会では、平川が2017年に制作した3点からなるシリーズ作品「Nitrate Dreams」を日本で初めて展示する。
平川祐樹は、これまで映像を主軸として、場所やモノに宿った時間をテーマにした作品を制作してきた。近年は特に、映画やフィルムといった題材を扱いながら、「記憶」や「記録」、「生」と「死」といった普遍的な美術のテーマを強く感じさせるような作品を制作している。
Grains of Film - Silver Nitrate / 2017 / ビデオインスタレーション / 4K / 11分11秒ループ / サイレント
「Nitrate Dreams」シリーズの制作の発端は、作家がアンティーク・マーケットで見つけた一片の映画フィルムだった。ひどく傷んだフィルム片はただれ、画像は今にも溶け出してしまいそうな状態。平川はそれらの画像を丁寧に水中ではがし取り、銀の粒子を抽出した。かつてフィルム上で画像を構成していた銀粒子は、映像作品《Grains of Film – Silver Nitrate》(2017年)において、金色に輝く水中を漂い、新たな画像を構成してゆく。また作家は、その映画フィルムからはがし取った銀粒子を小さな塊へと再鋳造した。光り輝く銀塊の中に映画のワンシーンを見ることはできないが、3分間というフィルムの時間尺がおさめられた小さな銀塊《Three Minutes of Silver》(2017年)は、鑑賞者の想像力を掻き立てる。
Three Minutes of Silver / 2017
また、これらの一連のプロセスは、かつての映画産業が1940年代まで一般的に行ってきた、映画フィルムのリサイクルと銀の再鋳造を連想させる。また、錬金術で行われてきた「蒸留」や「還元」といったプロセスをも思い起こさせる。映画とは、映像を未来に向けて記録し記憶するために人間が生み出したメディアだ。しかしその意図―夢に反して、古いフィルムは長い年月に耐えうることなく劣化が進み、いつかは消滅する運命にある。本展覧会『映画の見る夢』では、その壮大な夢の一端が託された小さなフィルム片から、映像(=非物質)と、 結晶(=物質)を抽出し、夢のありかを呈示することを試みる。

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