FUJIROCK(フジロック)私的ベストア
クトまとめ

フジロックで人生変わっちゃったよ

「また大仰なことを・・・」とのお声を頂戴しそうな文言ですが、こちらとしては至って真面目。フジロックに行って価値観が変わった人、その後の人生に大きく影響した人、今までにたくさん見てきました。僭越ながら筆者もそのひとりであります。毎回山ほど物語が生まれ、数多くの伝説が苗場に積み重ねられているのです。素晴らしい音楽と素晴らしいロケーション。そして色々な事情を抱えたオーディエンス。「事情」なんて言葉を使うとやや物騒ですが、フジロックではひとりひとりのパーソナリティや状況も大きく影響していると思います。「その場所でしか起こりえないたくさんのミラクル」。…まぁ、ほかのライブやフェスも確かに一回きりなのですが、苗場ではなおさら特別なことのように思えるから不思議です。

ミーティア公式プレイリスト第三弾は、「フジロック見聞録」。今まで見聞きしたフジロックにまつわるアレコレを、その年ごとのプレイリストにしてまとめました。どうぞお付き合いください。

フジロックの存在を知った2002年

(上段)L→R 『White Blood Cells』The White Stripes 『The Music』 The Music 『Endtroducing』 DJ Shadow (下段)L→R 『The Fat of The Land』The Prodigy 『ウワサの真相』 RHYMESTER 『Origin of Symmetry』 Muse

やはりカルチャーの類は上から下へ降りてくることが多く、自分の身を振り返っても音楽や映画の入り口は大人が作ってくれたように思います。フジロックの存在も、塾の先生(大学生)が教えてくれました。2002年、小学生の頃です。当時はMD全盛期ですから、その先生はいつもエミネムの『The Marshall Mathers』をMDに入れて持ち歩いていました。そんな人がこの年のフジロックに参加して以降、「The Musicヤベェ」としか言わなくなります。薦めてくれる音楽も、圧倒的にUKロックが多くなってゆきました。ちなみに元々は「DJ Shadowを観に行く」と息まいていたのを覚えています。

初めて苗場の地を踏んだ、2006年

(上段)L→R 『Pills ‘n’ Thrills and Bellyaches (Collector’s Edition)』 Happy Mondays 『You Could Have It So Much Better』 Franz Ferdinand 『Tyrannosaurus Hives』 The Hives (下段)L→R 『Blood Sugar Sex Magik』 Red Hot Chili Peppers 『Is This It?』 The Strokes 『SINGLES and STRIKES』 電気グルーヴ

フジロックが「どうやらヤベェところらしい」ということは、先述の先生のおかげで理解できました。その4年後、筆者にもフジロックデビューの機会が巡ってきます。と言っても当時まだ中学生でしたから、ラインナップの大半は知らないアーティストだらけ。それでも、この6組は今でも鮮明に覚えています。特に電気グルーヴ。その次がレッチリの出番だったのですが、正直「ヤベェ」度の高さは電気グルーヴのほうが上でした。このとき聴いた『虹』のライブアレンジによって、音楽を聴いて鳥肌が立つことを知りましたね。何ならちょっと涙目だったと思います。結果論ですが、筆者の音楽の趣味嗜好を決定付けたのは、もしかしたらこの瞬間だったかもしれません。

2011年、Coldplayに救われた福島出身の
先輩

(上段)L→R 『X&Y』 Coldplay 『I’ll take off you』 Jamie XX 『Within And Without』 Washed Out (下段 L→R) 『SBTRKT』 SBTRKT 『Long Player Late Bloomer』 Ron Sexsmith 『Ringer』 Four Tet

大学で出会った福島出身の先輩が、ゼミの飲み会でかつてこんなことを言っていました。「なんだかんだColdplayはすげぇよ。どんな状況でも、『Fix You』聴くと頑張れるもん」。「ウチぐらいの被災状況で『被災した』なんて言うと、本当につらかった地域には申し訳ない。だけど、あのときは結構しんどかった」と、彼は語ります。実際、彼の実家は半壊していたらしく、一時は経済的にもかなり厳しい状況にあったそうです。そんなとき、友達の粋な計らいでフジロックに行けることに。日本への渡航を断念するアーティストも少なくなかったですが、この年のフジロックには例年と変わらず一線級のミュージシャンが集いました。Coldplayもそのひとつ。「音楽なんて聴いてる場合だろうかとも思ってたけど、お金にも物資にもできないことを音楽はできるんだよね。このときそれを痛感したよ。すべての瑣末から解放されたというか、無根拠な自信が湧いてきた。参加できたのは1日目だけだったけど、結局夜中まで騒いでたね」。

フジロックの分岐点となった、2015年

(上段 L→R) 『Ryan Adams』 Ryan Adams 『 Lantern』 Hudson Mohawke 『Me No Do Karate.』 [ALEXANDROS] (下段 L→R) 『The Veldt』 Deadmau5 『Classical Curves』 Jam City 『VOID』 RL Grime
フジロックに限らず、2015年は音楽シーン全体が大きな分岐点を迎えていたように思います。後になってラインナップを見返すと、色々発見があるのが面白いですね。この年は先輩の音楽ライターと一緒に3日間参加しましたが、今も当時のフジロックを巡って議論になります。大きく分けるとテーマはふたつ。「この年のフジロックはEDMをどう位置付けていたのか?」、「日本のポップミュージックは『邦楽』という括りから脱却できたのか?」。この次の年にフジロックは20周年を迎えたわけですが、2016年以降はこれらの問いにはっきり答えていると思います。みなさんの目には、2015年のフジロックはどう映りましたか。ちなみに先輩はこの年がきっかけで[ALEXANDROS]を聴き倒すことになりました。

昨年も半端なかったフジロック

(上段 L→R)『Ology』 Gallant  『Humanz』 Gorillaz 『Flesh and Blood』 yahyel (下段 L→R) 『Migration』 Bonobo 『I See You』 The xx 『Wildflower』 The Avalanches

昨年の様子については、とりあえずコチラをお読みいただきたく…! 拙著ながら、フジロックの楽しさ・過酷さは伝わる内容かと思います。
降りしきる雨の中、体力の残りゲージを気にしつつ、右往左往しておりました。個人的な感想を言わせてもらえば、過去最高に楽しかった3日間でしたね。上に関連しますが、やはり2016年以降のフジロックはひとつ違うフェーズに移行しような、音楽とフェス、それら渦巻くシーンを一歩前に進めたと思ってます。

今年も、この物語は続いているような気がします。つらかった思い出は棚上げし、今年もそろそろ準備に取り掛かりましょうか。楽しみです。

FUJIROCK(フジロック)私的ベストアクトまとめはミーティア(MEETIA)で公開された投稿です。

ミーティア

「Music meets City Culture.」を合言葉に、街(シティ)で起こるあんなことやこんなことを切り取るWEBマガジン。シティカルチャーの住人であるミーティア編集部が「そこに音楽があるならば」な目線でオリジナル記事を毎日発信中。さらに「音楽」をテーマに個性豊かな漫画家による作品も連載中。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着