【ライブレポート】R指定、「君たち
の“死にたい”は“生きたい”だと思
って受け取っていく」
R指定が、5月5日(土)と5月6日(日)の2日間に渡って東京・Zepp Tokyoにて、マモ(Vo)の初となる生誕祭ライブを行った。
<命日~五月人形と鯉幟~>とタイトルが付いた1日目は、R指定が活動する上で音楽性の軸としている人間の深い部分、“病み”や“狂気”を全面に押し出した世界観で観客を魅了していった。また、生誕祭であるがゆえに、メンバーが徹底的にマモを主役として目立たせていたのも面白い。
R指定にとってマモは中心的存在。ボーカル兼メインコンポーザーでもあるだけに、マモの存在は必要不可欠だ。だが、彼自身は意外にも目立つことを嫌う。あくまで自分はバンドの頭脳であり、頭の中で描いた世界を具現化できるのは他のメンバーがいなければできないことだと認識しているからだ。それゆえR指定はマモのワンマンバンドと思われたくないために、生誕祭という派手な事柄も今まで避けてきた。とはいえ、日頃から応援してくれる指定女子・男子(R指定ファンの呼称)のために、たまには違った形で感謝の気持ちを表わしてみるかという彼なりの優しさで今回の開催に至ったわけだ。だからこそ、生誕祭をやるからには徹底的にというのもうなずける。
当日は“こどもの日”ということから、ステージ頭上には立派な鯉幟を立てて華やかに、アイドルのライブのようにセンターから真っ直ぐに伸びた花道は何ともまぶしく、オープニングでマモが黒い衣装を身に纏いステージ後方の高い部分から登場した際には割れんばかりの歓声が場内を埋め尽くした。生誕祭でなければお目にかかることのできないセットの中で演奏されていく「帝都に死す」や「ぼくらのアブノーマル」など、いつも聴いているお馴染みのものでさえ異なる表情を見せていく。曲の合間にSEを挟み込み、中盤では火のともったトーチに囲まれながら「カナリア」と「望まぬ生命」を演奏し、聴く者すべてを幻想的な世界へと引きずり込んでいった。
かと思えば、「病ンデル彼女」では、生誕祭のキャッチコピーとなっていた“俺の遺伝子は俺で終わらせる”という言葉をキュートな顔文字付きでスクリーンに流してしまうというお茶目な演出も。それにしても、すっかり温まった場内に向けて「今日がお前らの命日だ!」と言い放ってしまうマモは相当なもの。自分の生誕祭であるにも関わらず、曲中に何度もファンに向かって「死ね!」と連呼できるのは、ヴィジュアル系シーンを見渡してもこの男ぐらいだろう。といっても、彼にとって「死ね」という言葉は愛情の裏返し。死にたいと思っても、死ぬほど全力で好きなことに没頭すれば生きたいという感情が沸いてくるはずだという願いを込めて、こうした辛辣な言葉でファンを鼓舞している。圧倒的強さを覗かせる彼だが、どうやらこの日ばかりはいささか緊張していたようだ。その様子はアンコールで分かることとなる。
かと思えば、「病ンデル彼女」では、生誕祭のキャッチコピーとなっていた“俺の遺伝子は俺で終わらせる”という言葉をキュートな顔文字付きでスクリーンに流してしまうというお茶目な演出も。それにしても、すっかり温まった場内に向けて「今日がお前らの命日だ!」と言い放ってしまうマモは相当なもの。自分の生誕祭であるにも関わらず、曲中に何度もファンに向かって「死ね!」と連呼できるのは、ヴィジュアル系シーンを見渡してもこの男ぐらいだろう。といっても、彼にとって「死ね」という言葉は愛情の裏返し。死にたいと思っても、死ぬほど全力で好きなことに没頭すれば生きたいという感情が沸いてくるはずだという願いを込めて、こうした辛辣な言葉でファンを鼓舞している。圧倒的強さを覗かせる彼だが、どうやらこの日ばかりはいささか緊張していたようだ。その様子はアンコールで分かることとなる。
「マモお兄ちゃんの誕生日にライブってことで緊張するかなと思ったんですけど、緊張はしませんでした。まぁ、主役はお兄ちゃんなんでね。今日はあくまでR指定の一員として」とZ(G)が話している最中、ゴンッと鈍い音がマイクを通して広がる。どうやら、マモが持っていたマイクを手に思い切りぶつけたようだ。「ごめん、俺、今日緊張してるわ(笑)。何か、普段と違ってふわふわしてるのね。自分が主役だからほんと帰りたい」と言い場内の笑いを誘うと、その後には、オープニングでのマモの登場シーンを宏崇(Dr)が再現したり、自分のステージネームは昔マモが命名してくれたと感慨深そうに七星(B)が語ったり。
楓(G)に至ってはマモに向けて特大サイズのプレゼントを用意するものの、その大きさから「人とか入っていないよね!?」と言われる始末。恐る恐る開けてみると、箱の中から出てきたのは、上半身裸の挙動不審な男性、いや、これは普段からR指定のスタイリングを担当している衣装さんではないか。これには、「人、入っとるやないか!」と驚いているマモを見て、「みんなマモさんが好きなんですよ、良い年にしてください」とサプライズを仕掛けた楓は嬉しそう。「ほんと、ありがとうございます。俺の生誕ライブとはいえ、このバンドは俺だけのバンドじゃないし、俺中心のバンドでもないから、メンバー5人でしかR指定ってやれないと思うので、アンコールはこの5人でブチ上げていくんでお前ら全員で付いてこい!」と扇って4曲を披露。本編と甲乙付けがたいぐらいに熱い盛り上がりを見せていった。
「東京、楽しかったかーい。早いもので残すところ2曲となりました。こうやって初めて自分の誕生日にライブできてみんなが集まってくれて本当に楽しかったです。ねっ、鯉幟もすごく綺麗で。あんまり不幸自慢とかしたくないんだけど、僕の家は小さい頃すごく家庭環境が複雑でして。僕が2才の頃に親が離婚して、兄は父親に引き取られて僕は母親に引き取られたんですけど、母親1人で働いていたからすごく貧乏な家庭で、小学校の頃とかすごくいじめられたんですよ。貧乏、貧乏って。だから、学校の人たちの裕福な家庭とか温かい家庭とか見ると、この時期ってだいたい鯉幟があがっているじゃないですか。それがすごく羨しいなってずっと思っていて。鯉幟を立ててもらったことって人生で1回もないし、だから今日こうやってステージに鯉幟を立ててもらって僕の夢が叶いました。でもこれはみんなが集まらないと立てられないものだから、本当にありがとうございます。こどもの日って僕の中ではあんまり良いイメージがなくて。自分がメインになるのがきらいだから誕生日も恥ずかしいといえば恥ずかしいけど、こうして初めて誕生日ライブをやって、祝ってくれる人がたくさん集まってくれて。自分の誕生日にライブをやるのも悪くないなって思いました」と想いを吐露する場面も。
「タイトルも命日で、さっきから“死にに来たんだろう!”と言っていますが、今日は僕が死ぬ日ではなく、“命日”と書いて“いのちのひ”です。僕がこの世に生まれてきた命の日であって、みんなが今日ここに集まった命の日です。本当に集まってくれてありがとうございます。ここに集まってくれた1人1人が僕への誕生日プレゼントだと思って、今日は温かく受け取らせていただきます。あとですね、バンギャルちゃんはいつも僕に死にたいっていうDMを送ってくるんですけど、僕は君たちの死にたいは生きたいだと思って受け取っていくし、命は大事にして下さいね。命がなきゃ、またこうやって会うこともできないから元気に生きて下さい!」指定女子・男子にとってはマモがいること、R指定が存在することが生きる糧となっているのだが、マモにとっては、ファンがいるからマモとして生かせてもらっていると感じているのだろう。自分のことを本当に好きな人が集まった生誕祭という場所だからこそ、こうして素直な想いを吐き出せたに違いない。そして、この日はやる予定ではなかった「殺したいくらい愛している」をダブルアンコールに。翌日もライブがあるとはいえ、メンバーを求める声の大きさに応えてくれた結果となった。それにしても、これから数時間後のライブで誰がトリプルアンコールまでやると想像しただろうか。
先にネタをバラしてしまったが、生誕後夜祭<命日~五月雨に恋昇り~>では、フロアからの止まない歓声にR指定はトリプルアンコールにまで応えた。そもそも、客席からのレスポンスがなければアンコールには絶対に応えないバンドが、3度もアンコールに応えたのはかなり珍しいことといえる。その予想外の結末に、一足早く会場を後にしたファンたちは知った瞬間、地団駄を踏んだはずだ。このことからも分かるように、2日目は世界観重視の1日目とは違い、マモが九州で活動していた時代から尊敬してやまない先輩(DIAURAやゴシップが所属する音楽事務所Ainsの藤岡社長)の登場や、MCでマモが噛んだらその都度モノマネをやるという、だいぶアットホームな感じで進んでいった。彼らにはファンクラブというものが存在しないが、あったとしてファンクラブ限定ライブをやった際にはこういったノリでもって展開してくれるのだろうなぁと観ていた人も多いだろう。
それほど、気負いなくラフな雰囲気が作り出せていたとだけあって、本編中盤のMCで「僕、今日の方が楽しいです」とマモは笑みを浮かべた。それほど1日目は緊張していたということか。また、本日のライブタイトルにも触れ、「今日は恋を昇らせるとのことで、マモギャと俺の記念日だから愛し合っていこうか!」と指定女子を喜ばせる。言うまでもなく、ここからフロアは一層盛り上がることとなるのだが、2日目のライブで印象に残ったのは、「太陽と月」「親不孝通は今日も雨」を始め、冒頭のアカペラ部分から魅せた「飴玉」など、今のR指定が演奏することによって、以前とは聴き触りが変わった曲に驚かされた。そんな中、新曲の「-ZANGE-」と「規制虫」を混ぜてきたのだが、まるで違和感がない。バンドは過去曲の方が美化されて良く思わがちだが、R指定の楽曲に関してはそうは思わない。彼らは時代に合わせて進化を遂げているからこそ、過去曲も今の曲もどちらも人気が高い。今となっては「八十八箇所巡礼」を聴くと懐かしいなと感じてしまうあたりも、そういったことからだろう。
2日目は「衝動」で終わるはずだった。演奏を終えたメンバーがステージからいなくなり、告知映像がスクリーンに映し出される。マモがアパレルブランド「himeyuri.secret」を立ち上げたことと、7月に新しいフルアルバム『死海文書』がリリースされること。それに伴い、全国ツアーが開催されることの3点だ。これらのことは1日目にすでに発表されていたのだが、さすがはR指定。さらに新情報を投下してきた。それは、2018年11月にR指定ファーストアルバム『人間失格』のツアーを廻るというものだった。どういったことなのか全貌はまだ明らかにはなっていないが、活動9周年を迎えて用意された“苦執念企画”をますます盛り上げることは間違いない。けれども、この情報を目にして指定女子・男子が黙っているわけもなく。本編で使い果たしたはずの力をさらに絞り、アンコールを求める。「生誕祭も今日で終わりということで、とことんやろうか!」マモの一声から、「ジャパニーズクラッシャー」「嗚呼、性春」「素晴ラシキ此ノ人生」が一気に畳み掛けられていく。
ここで終わりだと誰もが思った。それもそのはず、終演を告げるBGMは会場内に流れていた。しかし、生誕祭を終わらせる気配は一向になかった。というか、終わってほしくはなかったのだろう。いつまでもメンバーを呼ぶ声にステージに戻ってきた5人。「やる曲ねぇよ!」と悪態を付きながらもどこか嬉しそうなマモ。「1人でも(会場内)後ろ行ったら(演奏)やらんからな!」と言い、「ギラつく太陽」と「Last order」をご機嫌な様子で披露した。それでもまだまだ終わらせないという表情の指定女子・男子を見て、「今日はここまで! 続きはまたいつか会いましょう!」と、半ば強制的に締め括ったのだった。自由奔放なキャラゆえに発言1つで勘違いされることもままあるマモだが、誰よりもR指定のメンバーと自分たちを好きでいてくれるファンのことを考えている熱い男である。“俺の遺伝子は俺で終わらせる”と謳っていたが、遺伝子問題以前に、マモイズムがファンに継承されているのはライブを観れば一目瞭然だ。だからこそ、多くの指定女子・男子と同様、改めて言いたい。生まれてきてくれてありがとう。
取材・文◎水谷エリ
写真◎ゆうと。
写真◎ゆうと。
全国ワンマンツアー情報
7月07日(土) 品川ステラボール
7月14日(土) 京都FANJ
7月15日(日) 神戸VARIT.
7月16日(月月祝) 高松MONSTER
7月18日(水) 松山サロンキティ
7月21日(土) 熊本Be.9
7月22日(日) 大分DRUM Be-0
7月24日(火) 広島CLUB QUATTRO
7月25日(水) 岡山IMAGE
7月26日(木) 米子AZTiC laguhs
7月28日(土) 名古屋DIAMOND HALL
7月31日(火) 郡山#9
8月02日(木) 盛岡CLUB CHANGE WAVE
8月03日(金) 仙台Rensa
8月05日(日) 札幌PENNY LANE24
8月08日(水) 青森Quarter
8月10日(金) 長野JUNK BOX
8月11日(土) 新潟GOLDEN PIGS RED STAGE
8月12日(日) 金沢AZ
8月18日(土) なんばHatch
9月01日(土) 福岡市民会館
7月14日(土) 京都FANJ
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7月16日(月月祝) 高松MONSTER
7月18日(水) 松山サロンキティ
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8月12日(日) 金沢AZ
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<主催果し状ツーマン企画『首取り』>
5月28日(月)
渋谷TSUTAYA O-EAST
R指定主催果たし状ツーマン企画『首取り〜VS A9編〜』
Guest/A9
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