妊婦の腹を裂かない!殺人鬼は誰でし
ょうかゲーム『レザーフェイスー悪魔
のいけにえ』#野水映画“俺たちスー
パーウォッチメン”第五十一回

TVアニメ『デート・ア・ライブ DATE A LIVE』シリーズや、『艦隊これくしょん -艦これ-』への出演で知られる声優・野水伊織。女優・歌手としても活躍中の才人だが、彼女の映画フリークとしての顔をご存じだろうか?『ロンドンゾンビ紀行』から『ムカデ人間』シリーズ、スマッシュヒットした『マッドマックス 怒りのデス・ロード』まで……野水は寝る間を惜しんで映画を鑑賞し、その本数は劇場・DVDあわせて年間200本にのぼるという。この企画は、映画に対する尋常ならざる情熱を持つ野水が、独自の観点で今オススメの作品を語るコーナーである。
映画『悪魔のいけにえ』(74)に登場する怪人・レザーフェイスをご存じだろうか?若者を皆殺しにていくイカれた殺人鬼一家を中心とした同作の中でも、人間の皮膚で作った仮面をかぶり、190cm超えの巨漢で、チェーンソーを振り回す狂暴性を持ち、一家の末っ子ちゃん……という多数の属性を備えたキャラクターだ。ホラーゲームなどに本人が特別出演したり、彼をオマージュしたキャラクターも登場しているので、今やホラーアイコンとしても有名だろう。
『悪魔のいけにえ』は、続編やリメイクが多く作られているシリーズである。5月12日に公開される『レザーフェイスー悪魔のいけにえ』は、そんな中でも1974年の『悪魔のいけにえ』の“前日譚”を描いた作品で、レザーフェイスという殺人鬼が生まれてしまった理由が明らかになるという。まぁ、「もう殺人鬼一家の息子なんだから殺人鬼でしょ!」って感じはあるんですけど(爆)!!
殺人を日常的に行なう異常なソーヤー家。末っ子の少年は5歳の誕生日を迎え、母親からチェーンソーをプレゼントされるものの、その禍々しさに触れることを拒否する。やがて、一家の周りで少女の変死事件が発生。これに関わった少年は、保安官・ハートマンの手によって精神病院に送られることに。それから10年後、同じ精神病院で騒ぎが起き、5人の患者たちが看護師を人質にして逃走する。ハートマンは、脱走者の中にソーヤー一家の末っ子がいることを知り、5人を執拗に追跡するのだった。
「探せ!誰がレザーフェイスでしょうかクイズ」
(c)2017 LF2 PRODUCTIONS ALL RIGHTS RESERVED
ソーヤー一家の末っ子・ジェド(ジェディダイア)はのちにレザーフェイスとなる人物。しかし、病院に収監された後は新しい名前で生活をしているため、5人の若者たちの誰がジェド=レザーフェイスとなるのかは明かされずに物語は進む。なんとも新しい見せ方ではないか。名付けて「探せ!誰がレザーフェイスでしょうかクイズ」(ドンドンパフパフ)!

まず候補となるのは、院内きってのイカレカップルのアイク&クラリス。金を手に入れるために人を殺すこともいとわないこのふたりこそが、脱走計画の首謀者なのである。ソーヤー一家の血筋にいそうなキャラクターだ!
そして、太っちょで愚鈍な力持ちのバド。これまでのシリーズで描かれてきたレザーフェイス同様に巨漢だし、有力な候補になりそうだ。
続いては、バドをかばったりと優しい一面を見せる、ジャクソン。レザーフェイスのイメージからは最もかけ離れた少年である。
ラストは人質にされた美しき看護師・リジー。レザーフェイスは女装癖もあるというキャラクターだから、彼女がジェドである可能性もゼロではない(?)。
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まぁそんなこんなで、若者たちの逃亡劇がしばし続く。アイクとクラリスは、さながら映画『俺たちに明日はない』(67)の犯罪者カップル・ボニー&クライドのごとく、好き勝手に色んな意味で“やり”まくる。このふたりの破天荒さがあまりにも目立つので、他のメンバーの影が薄くなっていたのが少し残念だ。バドとジャクソンはイカレカップルに逆らえず、しばらくは振り回されるばかり。この辺りは、アイクとクラリスのターンということで、そちらを満喫するべきということだろう。
“妊婦の腹をハサミで裂く”ようなゴアはなし
(c)2017 LF2 PRODUCTIONS ALL RIGHTS RESERVED
だが、そんな逃亡劇も長くは続かない。何としても彼らを逃すまいとするハートマン保安官と、この機に息子を取り返そうとするソーヤー一家も絡んできて、いよいよ事態は血みどろのバトルに発展してゆく。お待たせしました。本作の監督を務めるジュリアン・モーリーとアレクサンドロ・バスティロは、これまでもタッグを組んでホラー映画を世に送り出してきた。本作でも、『屋敷女』(14)で見せた“妊婦の腹をハサミで裂く”ようなゴアゴアっぷりを見せてくれるかとワクワクしていたが、そこまでエグくなかった(私としては)。

話が戻ってしまうのは申し訳ないのだが、74年の『悪魔のいけにえ』で一番痺れたのは、レザーフェイスが若者の頭をハンマーで殴り、その若者が痙攣しながら息絶えてゆくシーンだ。痙攣。人の命が今まさに失われようとしている、その瞬間の描写にものすごく興奮したものだ。本作では、殺されるキャラクターの死に様がおとなしかったのが心残り。ホラーというよりは、“怖めなサスペンス”という印象を受けた。とはいえ、チェーンソーさばきや痛〜い見せどころはしっかりある作品なので、ホラーは好きだけど痛すぎるのはちょっと……という方や、『悪魔のいけにえ』シリーズに触れたことのない方のほうが素直に楽しんでもらえそうだ。
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私自身は恐怖ではなく、ゴアを求めすぎてしまったようだ。すまない皆。あとは、任せた……劇場で楽しんできてほし……(ここから先は読めない)。
『レザーフェイスー悪魔のいけにえ』は5月12日(土)より 新宿シネマカリテ他にて全国順次公開。

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