ReoNa、8thシングル「R.I.P.」アニソ
ンルーツへの回帰と「怒り」への寄り
添い

絶望系アニソンシンガーReoNaが自身八枚目となるシングル「R.I.P.」を発売する。TVアニメ『アークナイツ【冬隠帰路/PERISH IN FROST】』のエンディングテーマとなるこの楽曲は、怒りをテーマとした新機軸となる一曲。カップリングも含めて、改めて絶望と寄り添っていくという自身のパーソナリティを強く打ち出したこの一枚について、ReoNaにじっくりと話を聞いた。

■“一緒に怒る”のも絶望への寄り添い方だと思う
――八枚目となるシングル「R.I.P.」が発売されます。これはTVアニメ『アークナイツ【冬隠帰路/PERISH IN FROST】(以下アークナイツ)』のエンディングテーマとなっていますが、新しい切り口の曲を持ってきましたね。古き良きアニメのエンディングを感じさせるような。
まさにそういう楽曲になりました。
――この曲はどういうコンセプトなんでしょうか。
私の中にあるコンセプトというか、軸としては「怒り」というのをテーマにしています。
――ゲーム版の『アークナイツ』をプレイしている方はわかるかもしれませんが、主人公であるアーミヤやドクターが属するロドスと同盟関係にある龍門、それに敵対するレユニオンの戦いはまさに歌詞に書かれている「正義のなすり合い」の様相を呈してきます。
まず「絶望系」っていう部分でいうと、怒りに寄り添うっていうのもまた、一つの絶望への寄り添いだと思っていて。共感も一つの寄り添い方なんですけど、一緒に怒るっていうのも寄り添う形なんじゃないかと感じているんです。
――共に怒る、というのは確かに今までなかったアプローチですね。
人って自分の思う“正しさ”に対して必死になっているだけで、他の誰かの物語の中では、必ず悪役になると思うんです。正義の形は一つじゃないので。それはすごくこの曲を歌う上で、なんか思い返したことですね。
――ご自身の活動やプライベートも含めて、“怒り”を感じる瞬間というのはやっぱりあったりするんですか?
私の中では怒りっていう方向に消化しないことも多いんですけど。悔しさだったりとか、「わかり合えないんだろうな」っていう部分だったりとか、っていうのはあるので、自分の中でもそういう気持ちが生まれてきたら、取りこぼさないようにはしようと思って生きてます。
――なんか僕の印象はReoNaさんは怒鳴ったりして発散する印象は全然なくて。どちらかというと溜め込むタイプだと思っているんですが。
そうだと思います。
――そのReoNaさんが「全部消えてしまえ」と歌っているのが印象的でした。『アークナイツ』のストーリーを媒介にしたからこその言葉というか。
怒り、という意味では「JAMMER」(6thシングル「シャル・ウィ・ダンス?」CW曲)とかもそういう曲ではあったんですけど、共通の敵がいることによって生まれる一体感というか、同じ方向に向かって一緒に怒ることによって生まれるエネルギーみたいなものはすごくあると思っていて。“敵の敵は味方”じゃないですけど。
――それはありますね。メロディーもアシッドジャズ✕ロックという事ですが、作詞がハヤシケイ(LIVE LAB.)さん、作曲・編曲の毛蟹(LIVE LAB.)さんから最初に来た時の印象はどんなものでしたか?
最初のデモを聴いた時に思っていたものを、遥かに上回ったアレンジが出来てきたのがとても印象的でした。実はこの曲、初期の印象があんまり残ってなくて。そこからアシッドジャズ✕ロックっていう軸を持ってアレンジが進み始めたんですけど、この出来上がるまでの過程が凄かったので、そっちのほうの印象が残っています。
――確かに取材の前に聴かせて頂いたものより、今の完成形のレベルの高さは凄い気がしています。全編にわたってベースがうねり倒して、ホーンがきっちりアクセント入れてくる。
そうですよね。
ちょっとビッグバンドっぽい曲って、「シャル・ウィ・ダンス?」とかでもやってらっしゃいますが、ちょっとまた違うというか。
そうですね。同じホーンセクションが入ってる楽曲だとしても、切り口は全然違ったものになったと思います。
――シンガーとしてこの楽曲は難易度いかがですか?
怒りを歌にのせるっていうのは先程の「JAMMER」のときも思いましたが、難しいですね。でもなんだろうな……やっぱり私も一ドクター(ゲーム 『アークナイツ』プレイヤーの総称)として、『アークナイツ』に対しての解釈や思いがあるので、そういう意味では感情を乗せることには以前よりは苦労しなかったかもしれません。技術的な部分では、声に怒りを乗せるための手法というか、悩みみたいなものはあったと思います。
――印象として、「なぁ どうすりゃいいんだよ」って歌い出しが甘い声の出し方をしてると思ったんです。でもそれがだんだんサビに向かって強い感情を乗せるようになってくる、というか、ストーリー感がある歌い方をしてるなと思って。
そうですね、怒りを加速させていってるというのはあると思います。
■もう一つのキーワード「軍歌」、そして「アニメエンディング曲」への原点回帰
――加えて印象的なのは「di-li-pa-pa du-pa-pa」というスキャット的に繰り返される歌詞です。これは最初の段階から決まっていたんですか?
これはこの部分の歌詞を考え抜いたハヤシケイさんから、最後に上がってきた言葉なんです。この楽曲においては、なんか呪いの呪文というか、怨嗟の言葉というか。言葉にならない怒りみたいなものが入る部分だと思ってたので、そういうつもりで歌いました。
――怒りみたいなものを音楽で表現しようとすると、早かったり激しかったりする音の方がやりやすいんじゃないかと思う部分もあるんですね。ハードロックだったり、メタルだったりみたいな。
そうですよね。
――それをあえてアシッドジャズ的な楽曲でやるのは挑戦的でもあると思いました。
曲作りの始まりの部分で「軍歌」っていうキーワードがあったんです。軍歌ってこれから死地に赴く人を、鼓舞させて戦う気持ちにさせて、自分の正義を示させようとしなきゃいけない音楽。そのパワーを持っている曲だと思うんです。その時に改めて音楽が持つ力ってすごいなと思って。
――確かに、まさに歌詞通りの「正邪の行進」ですね。
これから自分の命が使い潰されるかもしれない場所に行くのに、それでも進まなきゃいけない。歩みを止めてはいけない。進軍しなければいけない音楽っていうところで、四つ打ちで横乗りのリズムで、足が一歩一歩進んでいくのを彷彿とさせるようなサウンドになったんです。なのであんまり私の中では“怒り”というキーワードに対する違和感はなかったです。
――確かに軍歌っていうワードを聞くと納得ですね。まさに『アークナイツ』というタイトルじゃないと出せないアニソンかもしれない。
はい、そうだと思いたいです。『アークナイツ』って、ロドスもレユニオンも最終目標として、鉱石病に感染したことによって傷つく人がいない世の中にしたいと思ってるんですよね。最後行き着くところはもしかしたら同じかもしれないのに、それに向かう手段と動機があまりにも違いすぎて、同じ傷、同じ痛みを持っているのに、争わなきゃいけないっていう……本当に正義と正義のなすり合いの戦いなので。そういう意味でもこの楽曲で作品に寄り添えたらと思います。
――加えてこの楽曲は少し懐かしさも感じるというか。昔のアニメのエンディングってこういう感じだったんですよ。オープニングはそれこそタイトルとかロボットの名前を言うけど、エンディングではその主人公たちの心情を書いている。
実はちょっとそういう部分も意識はしています。
――『超時空戦記オーガス』の「心はジプシー」や『銀河烈風バクシンガー』の「アステロイドブルース」、『太陽の牙ダグラム』の「風の行方」、『装甲騎兵ボトムズ』の「いつもあなたが」など枚挙にいとまがないですね。それこそ『宇宙戦艦ヤマト』の「真っ赤なスカーフ」もそうだし。
そうですね、私は後からその世代を知った身として、そういうイメージが確かにあります。
――“絶望系アニソンシンガー”であるReoNaさんがアニソンのルーツ的なものを呼び起こすような感じもあって、僕は痛快でした。
「シャル・ウィ・ダンス?」の時にも、やっぱり古き良きアニソンっていいよね、という所に立ち返るじゃないですけど、そういう思いはあって。今回は絶望形っていうルーツとアニソンシンガーっていうルーツのどっちもあるからこそ、出来た曲だと思います。
――アーティストとしてのReoNaの存在って確実に大きくなってると思うんですけど、その中で“アニメとの寄り添い方”みたいなものって、改めて考える部分ってあったりするんでしょうか?
寄り添っていこうも、はみ出していこうも、私の中では変わってないです。元々私はアニソンを好きになった理由の一つとして、アニメを見てからその楽曲を聞くことによって、その楽曲の見え方だったりとか、解像度だったりが上がってきたり、変わってきたりする、というのがあるんです。アニメと楽曲の掛け算があることによって、より作品を好きになれるものでありたいし、あってほしいっていう思いは変わってないので、そういうものを目指して歌っていきたいです。
■見てる人が一緒に何か嫌なものをぶち壊してすっきりしてくれたら嬉しい
――そしてMVも公開されています。
彩度の低い世界で、バンドに囲まれて歌う。ミュージックビデオって目で見ててもリズムを感じられると気持ちいいっていうのがあると思っていたので、ReoNaも体を揺らしながら音を映像でも表現しました。
――確かに、今までのMVの中でも特にReoNaさん自体がリズム乗っているなと思いました。「シャル・ウィ・ダンス?」の時のように振り付けがあるというより、曲全体しっかり体を揺らしながら歌う姿は新鮮でした。
そうかもしれませんね。手ぶりもありつつ、歌わせてもらいました。
――バンドメンバーも全員女性でそこも世界観が強かったですね。撮影はいかがでした?
女子校の同窓会みたいでした(笑)。ずっとこの音楽の道で演奏され続けて来た方々と一緒でかなり緊張していたんです。曲がかかった瞬間滅茶苦茶かっこいいんですけど、普段はすごいフランクで。
――気さくなお姉様方だったんですね。
ギターの菅原潤子さんを始めとして、もともとお名前を伺ってた方とかもいたのでドキドキしていたんですけど、すごく可愛がっていただいて。でもやっぱり女性だからこそ出る独特な色気というか、ツヤっぽさだったり。女の人だけど、かっこいいってすごい強いなと思いました。
――鏡も割ってましたね。
はい、本当にハンマーで本物の鏡を割りました。割れた瞬間はすごい達成感がありました(笑)。でも割るのは一回勝負なんで、結構思い切りいきました。
――ほぼモノクロに近い世界の中で、鏡を叩き割るのは怒りの表現としても面白かったですね。
物が壊れたりとか、物が爆発したりとか、吹き飛ぶ姿って爽快感があるものだと思うので、見てる人が一緒に何か嫌なものをぶち壊してすっきりしてくれる気持ちになってくれたら、何よりだなと思います。
■ゲームの世界線だからこそ生まれた「VITA –The Days-」
――ではカップリングのお話も聞いていければ。二曲目はすでに発表されている「地球が一枚の板だったら」。NHK『みんなのうた』でオンエアされた曲です。まさかReoNaさんが『みんなのうた』に!と思いました。
そうですね、私も最初すごく驚きました。
――傘村トータ(LIVE LAB.)さんの作詞作曲の楽曲ですが、「みんなのうた」に流れる曲というのは、歌う時意識されたんですか?
していました。私自身も『みんなのうた』で育った世代なので。小さい頃なんかの番組で聞いた曲を改めて大人になって調べ直すと、『みんなのうた』だったことが結構あって。一つの作品を見ていて、その作品に対して主題歌を受け取る、というのとは違う形で、いろんな世代の方の音楽の入り口になる番組で流れるんだなというのは頭の中にあったと思います。
――これも寄り添いの曲だと思うのですが、やはり『みんなのうた』という事だからなのか、暖かい歌い方をしてると思って。
まさに「寄り添うってなんだろう」という部分を改めて考えたというか。背中も押さない、手も引かない。でもただ横にいるだけでも、癒されたり救われるときってあるよねっていう。なんかReoNaの原点を見つめ直しつつ、すごく暖かい楽曲にしていただけました。
――そしてここからは初回・通常盤と期間限定盤にそれぞれ収録される曲になります。まずは初回・通常盤に収録される「VITA –The Days-」。収録情報公開が最初隠されていた曲ですが、「VITA」の別バージョンということですよね。
はい、ストリングスアレンジというか。
――「VITA」自体がパワーのある壮大な楽曲なので、このどこか牧歌的なアレンジが似合うのにちょっと驚きも感じました。「VITA」という曲は、ずっと『ソードアート・オンライン』と寄り添ってきたReoNaが、ある意味決定打として出してきた曲だと思っていたので。
そうですね、「VITA」は生きていく、ということを歌っているので。同じ花だとしたら大輪の薔薇の花と、そこに咲くタンポポになるくらい印象が違うかもしれません。
――これってメロディーが普遍的な良さを持っているってことなのかなと。
もちろんそのメロディや言葉の強さは、信じて歌い続けてきたんですが、改めてこういう全く違う形になることによって、私もまだ見えてなかったこのメロディが持つ可能性や、言葉の持つ力をすごく感じました。
――最初に「VITA」を制作したときにはこのアレンジを作るっていう想定はなかったということなんですよね?
そうです。なんか一番最後まで読み終わったと思ってた物語に、第二章があったみたいな感覚ですね。
――解釈として面白いですね。あと、聴いていくとわかるんですが、「ANIMA」のフレーズも盛り込まれています。流石に心にグッと来るものがありました。ある意味、現時点のReoNaと『ソードアート・オンライン』の集大成なのかと。
主題歌をこう担わせて頂いている身、というだけじゃないところに置いていただいているっていうのは感じています。SAOという作品の底の深さだったり、製作陣の情熱を、ひしひしと感じているので、楽曲との向き合い方もまた変わってきているんじゃないかなと思います。
――「forget-me-not」、「ANIMA」、「Till the End」ともまた違う寄り添い方というか。
「Till the End」は『ソードアート・オンライン』原作10周年のお祝いのお歌ですし、「forget-me-not」と「ANIMA」は『ソードアート・オンライン アリシゼーション』シリーズに寄り添ったお歌、それぞれ立ち位置は違いますが、花束には花束の美しさ、一輪挿しには一輪挿しの美しさがあるという感覚はあります。
――『ソードアート・オンライン ラスト リコレクション』というゲームの楽曲というところでの寄り添い方という部分もあるのかもしれませんね。
はい、ゲームの世界線であるっていうことっていうのは、一つ要だったのかなと思っていて。アニメ、原作の中にはたくさんの別れもあって、取り返しのつかない、キリトたちが失ってきたものもいっぱいあって、それでもキリトは剣を取り続けるし、歩み続ける。
――はい。
でもゲームだから、失われたはずの命ともまた出会えるんですよね。サチだって生きてるし、ユウキだって生きてるし、ユージオだって生きてるし……ユナだってエイジだっている。それだけじゃなくて、ゲームの中だけで語り紡がれてきた人物もたくさんいて、キリトと出会う人の数がやっぱり原作アニメよりも多いんですよね。
――確かにそれはそうですね。
すごくたくさんの人とキリトの繋がりがあって。原作アニメでは描かれてない部分もいっぱいある。「ラスト リコレクション」っていう名前がついている通り、一つのたどり着く場所としての作品。そんなところに1輪花を添えられる楽曲であったらいいなと思います。
――是非「ラスト リコレクション」もしっかりプレイして、この楽曲を聴いてもらいたいですね。
本当にそう思っています。
■たまに自分がもの凄く不幸で仕方がないように思える日もある
――そして期間限定盤収録の「原作者」です。
これ、お好きなんじゃないかと思っていました。
――久々に本格的にヘビーな曲を持ってきたなと思いました。デビューから続く絶望系アニソンシンガーとしてのReoNaの真骨頂というか。
これは本当に毛蟹さんの曲ですね。歌詞もメロディも、今ある通りのままの状態で、毛蟹さんからまっすぐ上がってきた楽曲なんです。
――最初の印象をお聞きしたいです。
あの人、たまに一度も私のこと振り返らずに自分のことを全て書きって、それを託してくるっていうタイミングがたまにあるんです。『月姫』の時もそうだったし。
――確かに「生命線」の時はReoNaのことを一ミリも考えずに作った、って毛蟹さんおっしゃってましたね。
それが今きた、という感じです。でもちょっと悔しいのが、それをこう押し付けられた時に、私も「この気持ちわかる」って自分の思いを重ねて歌えちゃうんです。
――ものづくりをしている人間の端くれとしては、正直しんどい曲でした。
これを受け取った時のしんどさとか、希望と絶望の割合は、聴いてくれた人の抱えている夢の大きさや深さだったりとかで全く変わってくると思います。
――面白い部分としては、この重さの曲が「R.I.P.」のカップリングだからしっくりきているところだと思います。歌詞にもドクターという言葉も入っているし。
『アークナイツ』の世界観とのリンクを感じる人もいるかもしれませんね。戦っても道が開けるわけじゃないけど……でも、みたいな。今生きるために戦い続けるというか。
――期間限定版に入るのに相応しいですよね。ライブで聞いたらどうなるのか楽しみです。ReoNaさんの楽曲でたまに出てくる「伝えるというよりは、自分の思いを吐き捨てるタイプの曲」だと思いましたし。
聴いてくれるあなたを想い描いて、そのあなたに届けるよ、っていう楽曲と、ただ自分の内側をえぐることによって、初めて寄り添える誰かの痛みがあるっていう思いで作る曲というのは確かにあります。
――今のお話でいうと、届けようとする曲ってReoNaの曲として増えてきてると思っているんです。それはReoNaさんがアーティスト然としてきてるというか。成長の結果なんじゃないかと思っていて。
世界に自分だけじゃない、聴いてくれる人がいるっていうのを認識できるようになってきている感覚はあります。この楽曲的な世界観って、私の原点的なところの一つなんだなって、改めて歌ってて感じました。
――「怪物の詩」も「トウシンダイ」もどちらかというと、そういう曲だと思うんです。みんなに伝えるというよりは、ReoNaさんの思いを吐露することで生まれる音楽というか。そのリストに強烈な一曲がまた増えたなって。
鋭い曲だと思います。攻撃的なメロディーな訳でもないし、誰かを傷つける言葉を使ってる訳でもないけど、何かすごい深い絶望があって。
――確かに深いですね。
自分の人生という作品の筆を折るときって……なれなかったって結論づけて、終わらせようとしてしまう。でも、もしかしたらこの人も誰かから見たら、原作者になれてる人なのかもしれないんです。
――そうか、自己認識と他人の評価は違いますもんね。
自分がなれなかった、本当はなりたかった自分って、その人の中の世界にしかないから、周りがどう思っていようと、その人がどれだけ幸せかなんて、その人にしか決められなくて。
――わかります。承認欲求とかもそういう感覚に紐づいてますもんね。
何かすごいはっとしますよね。忘れかけてる時があるというか……。たまに自分がもの凄く不幸で仕方がないように思える日とかあるんですけど、そういう日は夜中とかに原稿用紙7~8分枚くらい、自分の嫌なところ、ダメなところ、できてないこととか、ブワーって書き連ねるんです。なんか私から幸せに見えている人たちにも、そういう夜ってあるのかなって、この曲を歌って思いました。
――救うことはできないけど、「そういう時もあるよね」というランプの照らし方はできる。そういう曲のような気がします。
そうだと嬉しいです。
――本当は誰だっていい格好したいじゃないですか(笑)。 でもそこをさらけ出してお歌として紡いでくのがReoNa的というか。
私だっていい格好したいとは思います。でもそれだけだと疲れちゃうよねって思うし、「こういう思い、私だけじゃないんだな。自分だけじゃないんだな。同じ気持ちの人がいるんだな」って 思ってもらえるんだったら。この格好つかなさも、やるせなさも、情けなさもさらけ出して、身を削るだけの価値があると思います。
――今現在のReoNaさんの着地点としてすごく大事な一枚になった気がします。
そうかも知れませんね。これを経て、じゃあ次のReoNaでは何が待ってるんだろうな、っていう部分も楽しみにしてもらいたいですし、「R.I.P.」はライブでどういう曲に化けるかも期待しているんです。それも踏まえてじっくりお歌を楽しんでもらえたら嬉しいです。
インタビュー・文=加東岳史

SPICE

SPICE(スパイス)は、音楽、クラシック、舞台、アニメ・ゲーム、イベント・レジャー、映画、アートのニュースやレポート、インタビューやコラム、動画などHOTなコンテンツをお届けするエンターテイメント特化型情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着