西郷吉之助役を熱演する鈴木亮平

西郷吉之助役を熱演する鈴木亮平

【芸能コラム】鈴木亮平、渡辺謙、北
川景子… 視聴者を引き付ける俳優陣
の熱演 「西郷どん」

 放送開始から3カ月が経過した大河ドラマ「西郷どん」。視聴率も14パーセント台を維持し、幅広い人気を集めている様子がうかがえる。薩摩の貧しい下級武士の家に生まれた主人公・西郷吉之助(後の隆盛)が、藩主・島津斉彬に見いだされ、参勤交代に伴って江戸へ来訪。現在は、黒船来航に危機感を覚え、幕政改革のために一橋慶喜(松田翔太)を次期将軍に据えようともくろむ斉彬の手足となって働く姿が描かれている。
 そんなドラマを見ていて強く印象に残るのが、俳優陣の充実した演技だ。人情に篤い吉之助役で文字通りの“熱演”を見せる鈴木亮平を筆頭に、斉彬役の渡辺謙の重厚なたたずまい、“姫”の名にふさわしい篤姫役の北川景子など、ことごとく“ハマり役”と言える見事な演技を披露している。それ故、毎回、必ずグッと引き込まれる場面がある。
 3月25日放送の第12回「運の強き姫君」では、篤姫の将軍家御輿入れを巡るドラマが繰り広げられた。篤姫の教育係・幾島が、難航する輿入れの話を進めるために奔走。そのかいあって、ついに話がまとまるが、篤姫は斉彬から、将軍・家定(又吉直樹)の子を生む見込みがないことを明かされる…。幾島役の南野陽子のコミカルな芝居を交えたユーモアあふれる前半、自らの運命を知った篤姫がほんの一瞬、吉之助に本音を漏らすクライマックスと、両女優の好演により、見応えある展開が続いた。
 それと同時に印象的だったのが、その様子をそばで見守る吉之助=鈴木の抑えた芝居だ。すでに、家定に世継ぎが期待できないことを知っていた吉之助だが、輿入れの決定を喜ぶ篤姫にそれを伝えることはできない。かといって、性格的に愛想笑いもできない…。吉之助の苦悩を、言葉以上に雄弁に物語る見事な沈黙だった。
 この他、斉彬の父で前薩摩藩主・島津斉興役の鹿賀丈史やその側室・由羅役の小柳ルミ子の怪演とも言える芝居、吉之助の仲間である大山格之進、有村俊斎を演じる北村有起哉と高橋光臣のアドリブを交えた生き生きとした演技など、隅々まで充実した配役は、さすが大河ドラマだと言えるだろう。
 物語的には今後、奄美への島流しを経て明治維新へと向かっていく吉之助の姿が描かれるはずだ。今のところは受け身の吉之助が、いかに自ら行動を起こすように変化していくのか。その成長と共に、続々と登場する出演者たちの顔ぶれも楽しみだ。
 現在発表されているところでは、愛加那役の二階堂ふみ、小松帯刀役の町田啓太、勝海舟役の遠藤憲一、桂小五郎役の玉山鉄二、岩倉具視役の笑福亭鶴瓶といった面々がそろっている。彼らが吉之助とどうかかわり、どんな芝居を見せてくれるのか。また、現在は薩摩にいる大久保正助の動きも、鈴木に劣らぬ瑛太の熱演とともに気になるところ。今後も俳優陣の見応えある演技を楽しみに、物語の行方を見守っていきたい。(井上健一)

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