妄想キャリブレーション インタビュ
ー “やりたいことをすべて詰め込ん
だ” メジャー1stアルバムが完成する
まで

“いま一番、日本中・世界中を駆け巡るアイドル”妄想キャリブレーションが、3月14日(水)にメジャー1stアルバム『妄想道中膝栗氣 ~moso traveling~』リリースする。日本だけでなく世界をまわり成長を遂げた彼女たちが放つ今作は、自らも制作に携わり、やりたいことをすべて詰め込んだものに仕上がったという。本記事では、そんな今作についてと、昨年行なったインタビューで語っていた野望の答え合わせをお届けします。
――SPICEでのインタビューは1年振りになるんですけど、前回はインタビューの最後に2017年の野望を語ってもらったんですよ。(過去のインタビュー記事は【こちら】)
星野:ええ~!
桜野:なんて言ってたんだろう?
――なので、今日はその答え合わせからやってみたいなと。まず……「47都道府県ツアーをやりたい」。
胡桃沢:叶っちゃった!
星野:素晴らしい!
――今、その47都道府県ツアーの真っ最中ですけど、いかがですか?
桜野:1年前に「47都道府県ツアーをやりたい」って言ってたときの想像を遥かに超える過酷なツアーを回ってます(笑)。でも、いろんなことはあるけど、全部まとめて言うと……楽しいです!
――どんなところが大変ですか?
桜野:まず、どこに行くにも移動は大体ハイエースで、10時間以上車内で過ごす日もあって、そのままライブパフォーマンスを3、4日連続でやるので、フルマラソンと同じぐらいの疲れ方なのかなって。
水城:連日ライブが続く日は心身ともに大変ですね。
星野:そこまで若くはないので、腰とかにキます(笑)。
――体力面はもちろん、気持ちの保ち方も大変そうですね。
桜野:大変ですね。
水城:ライブ前は緊張状態というか、ライブのことだけを考えて準備したりするので、それもけっこう体力を消耗します。
胡桃沢:47回もワンマンが続くので、マンネリ化を防ぐために日替わりの曲をやったり、それまで全然やってなかったような曲を掘り返してみたり、そういう取り組みをしています。それでもマンネリになりそうな日もあるんですけど、他の4人が支えてくれることで回避できたり、そういう持ちつ持たれつの関係でここまでやっとこさ来れてるのかなって思います。
――わかりました。では、去年のインタビューで掲げていた次の野望に移ります。
星野:なんだろう……。
――「海外でライブをやりたい」。
全員:おお~!
胡桃沢:やってる~!
雨宮:海外ツアー、めっちゃ楽しかった! さっき、アルバムの初回特典に入る海外ツアーの映像をちょうど観てたんですけど、ひたすらに楽しかったなって。
水城:あの映像を観てるだけで涙が出てくる。いろんなところに行ったし、いろんなもの食べたし、いろんな人と出会ったし。
妄想キャリブレーション  撮影=菊池貴裕
――海外ツアーで印象に残ってる街は?
全員:(即答で)ロンドン!
水城:ライブもですし、街並みとか文化とか全てにおいて、ツアーの1発目だったこともあってかなり印象に残ってます。
――イギリスのお客さんってどうでした?
胡桃沢:向こうはEDMがすごくウケるんですよ。で、向こうの人にとって、日本のアイドルは“かわいい”を体現したものみたいな存在らしいので、そんな子たちがこんなゴリゴリのEDMやるのかって驚いてました。
星野:アイドル自体が珍しいみたいだし、音楽に対しても声を出したり、手を挙げたり、自由にノッてくれるんですよ。日本では味わえない反応をたくさんもらいました。
水城:こういう楽しみ方があるんだっていう発見がたくさんあって、すごく新鮮でした。
胡桃沢:『HYPER JAPAN』っていう日本の文化を紹介するイベントで、お客さんがめちゃくちゃたくさんいたし、日本のアニメのコスプレをしてる方もいっぱいいて、道行く人もすっごい親切なんですよ。みんな、日本人っていうだけで優しくしてくれて、自分たちの国が誇らしくなりました。
――では、最後の野望に移りましょう。「冠番組がほしい」。
全員:おおー!
桜野:妄チャイ(『妄キャリのアジアでアイドルやっチャイナ』)だ。
星宮:すごくない? 言えばなんでもできるんだよ?
胡桃沢:ジンクスじゃない? SPICEさんの記事でやりたことを言えば叶う……みたいな。
桜野:えー! マジで!? じゃあ、寿司屋を開きたい!
星野:その隣に駄菓子屋さん開く! うわぁ、夢あるわぁ。
胡桃沢:妄キャリの夢でお願いしてもいいかな?(笑)
――この1年を振り返ってみて、みなさん成長できたと思いますか?
胡桃沢:私たち、前までは「恋しちゃいそうなアイドル」って言ってたんですけど、今は「いま一番、日本中・世界中を駆け巡るアイドル」になったんです。
星野:たくましくなった1年だったかもしれないですね。海外に行くと言葉も通じないから、人見知りとか言ってられないし。
胡桃沢:肝は据わりましたね。あと、47都道府県ツアーを通じてみんなが仲良くなったというか、なんでもかんでも喋るようになりました。
水城:グループの雰囲気がすごくよくなったと思います。変な気を遣うこともなく。
胡桃沢:暖房については気を遣ってるよ!
――暖房?
水城:ハイエースの車内の温度調節が……。
――あぁ、それは揉めるところだ。
水城:温風が直撃する席に座ってるメンバーがいて、そこの問題が。
星野:最近、解決したよね。
雨宮:でもぉ!(一同笑)
星野:解決したと思ってたんだけどなぁ(笑)。
雨宮:暑いんだったら寒い席に座ったらいいと思いませんか?
妄想キャリブレーション  撮影=菊池貴裕
――そうですね。
星野:違うんですよ! これにはワケがあるんですよ! 私はちゃんと伊織に言ったんですよ? 「席交換する?」って。そうしたら、「ううん、大丈夫!」って言うから!
雨宮:違う違う。だって、にぁ以外みんな寒いんだよ?
星野:だから、最近は(暖房を)止めてないじゃん!
水城:にぁちゃんは半袖で汗かきながら暖房つけっぱなしにしてるんですよ。伊織が凍えて死んじゃうと思って(笑)。でも、暖房消さないでってうちらからにぁちゃんを責めまくった手前、「やべ、暑い……!」ってなったときに、「ごめん、暑いから切って?」っていうひとことがどうしても言えなくて……。
――ということは、まだ言いたいことを言い合えてないっていうことですね。
桜野:いや、思いやりです!(笑) 楽しく過ごしてますよ!(笑) なんでも笑いに変えられるようになりました。
――そんな経験を経て、待望のメジャー1stアルバムがリリースされます。アルバムとしては2年2ヶ月ぶりですが、やっと出せたという感覚はありますか?
胡桃沢:逆にまだ早いかなって。
桜野:シンガポールにいる時に聞いたんですけど(昨年11月下旬)、なんか信じられないと言うか、現実味がないというか。
星野:もちろん、アルバムは出したかったですし、待ってはいたんですけど、結構びっくりしました。
――完成したものを聴いてみてどうですか?
桜野:好きなことをやらせてもらえてるんだなってすごく感じました。まだアルバムを発売する話が出てないときに、メンバーと「次は超かっこいいゴリゴリのEDMをやりたいよね」っていう話をずっとしていたので、「Hey Yo!!」は「これこれこれ!」っていうぐらいかっこいい曲になってうれしいです。あと、オタクとしては大好きなボカロPのDECO*27さんに曲を書いてもらえたり、アニソンのカバーをやらせてもらえたことも嬉しかったし、本当にやりたいことをすべて詰め込めました。
――メンバーのアイデアがかなり反映されてるんですね。
桜野:本当になんでもみんなで考えたし、スタッフさんも私たちを考える場所にいさせてくれて、話が勝手に進んでいくことがなかったので感謝してます。スタッフさんは私たちと同じ熱量と愛情を持って制作してくださって、みんな一丸となって制作できたことがすごく嬉しいです。考える力っていうのはソニーさんと一緒にやらせてもらうようになってからだいぶ身につきました。
雨宮:ね。それまで何も考えずにやってたんだなって。
星野:そのつもりはなかったけどね!
雨宮:私はこれまでインタビューで全然話せなかったんです。アイドルは作家さんに書いていただいた曲をやることが多いと思うんですけど、そうなるとインタビューってどういう気持ちで歌ってるかっていうことぐらいしか話せないんです。でも、制作から関わってると、どういう曲が欲しくてそういう曲にしたのかっていうところまでちゃんと話せるのですごく話しやすいし、ライブしてるのも楽しいし、本当に嬉しいです。
桜野:今までの活動がすべてあったからこそ、こういうふうに作れたのかなって思います。
――ただのメジャー1stアルバムではなく、もっと大きな意味のある作品なんですね。今作は様々なタイプの曲が揃っていて、どれもしっかりキャラが立っている印象なんですけど、そういう部分は意識していたんですか? それとも結果的にこうなった?
桜野:いろんなことを試してみたかったのと、ライブで似た曲をやってもつまらないし、メッセージが似てても胸に響かないと思うので、自分たちで作詞するときはもちろん気をつけましたし、作家さんに作ってもらう場合もそれは意識してました。例えば、「熱情 '18」は利根川さんに書いてもらっていて、今までは利根川さんに全ておまかせしていたんですけど、今回初めて事前に打ち合わせをして、「アルバムに収録される曲で既にこういう曲があって、自分たちではこういう詞を書いてるので、利根川さんにはこういう曲を書いてもらいたいです」っていうふうに話をしました。
妄想キャリブレーション  撮影=菊池貴裕
――僕は新曲の中だと「熱情 '18」が一番好きです。
胡桃沢:この曲、振りがめちゃめちゃ格好良いんですよ。ダンスの大会とかで使っても映える曲だと思います。
――フォーメーションダンスで有名な王道アイドルグループ的な空気を感じる曲ですよね。
星野:あ、やっぱりそう思うんだ。
桜野:ほら、そうでしょう? そういう話をメンバーともしてたんですよ。
星野:音の取り方が“ぽい”ですよね。
――そして、「五線譜」ですが、これは「back stage」に続いて伊織さんが再び作曲に挑戦した曲です。
雨宮:いやぁ、これは大変でしたね……。「back stage」より大変でした。
――それはなぜ?
雨宮:「back stage」のときは、最初に私がメロを作って、それに合わせてJUVENILEさんがトラックを作ってくれたんですけど、「五線譜」は「ゆっくりめに感じるBPMがいい」って私が言ったのに合わせてトラックだけ先に作ってもらっていて、そこに後からメロを乗せていくっていう作業に挑戦したので難しくて。だから、自分がこうしたいっていうメロがあっても、後ろの音と合わないといけないんですよ。
――なるほど。
雨宮:あと、歌詞に関しては「back stage」と被らないテーマを歌いたいっていう気持ちがあって。「back stage」はファンの方に向けた感情をみんなで歌詞にしたので、「五線譜」は、5人でツアーをすっごい回ったことでお互いがお互いのことをちゃんと見れるようになったので、メンバーに向けて歌える曲があったらいいなって。そういう曲は妄キャリにはなかったし。それで、一人ひとりのソロパートはその子に作詞してほしいっていう気持ちがあったので、言葉をたくさん入れられるように音数を多くしてみたり。あとは、サビのキーがかなり高いので下げようか迷ったけど、伊織はどうしてもこのキーがよくて。高い音ってきれいだし、そういうイメージの曲だったのでそのままにしました。
妄想キャリブレーション  撮影=菊池貴裕
――伊織さんが曲を書く詞はエモくなるという法則ができつつあるなと。
星野:だって、メロディがいいから。
桜野:伊織が曲を作ってるときに会いに行ったんですよ。きっと部屋に缶詰になってるだろうから、違うアクションが起こったら気が紛れるかなって。そうしたら、伊織のタイツが破けてボロボロになってて(笑)。
雨宮:イライラして破っちゃって(笑)。
桜野:そのときもキーが高いからって悩んでいて、「絶対最初に作ったものがいいってなるから大丈夫だよ」って伝えて帰ったんですけど、苦しんで作ってる姿を直に見れたので、より思いを込めて作詞ができました。
星野:でも、伊織の曲を歌うのが一番緊張しちゃう……。
桜野:たしかに! しかも、伊織の前で歌うのがね。
水城:楽曲のイメージが伊織の頭のなかにあるだろうから。
桜野:レコーディングのとき、いつもはスタジオで伊織と同じ席に座ってるんですけど、「五線譜」のときだけ伊織はスタッフさんと同じ机に座って、スタッフさんと一緒にチェックしてた!(笑)
水城:「もうワンテイク」みたいな(笑)。
雨宮:違うよぉ! (スタッフさんに)「やって」って言われたの!
桜野:それがかわいくて後ろから写真撮ったんですけど(笑)、そういうのもあったから伊織の前で歌うのは緊張しますね。一緒に歌詞を作ってるから譜割りも間違えずにスルスルいけるはずなんだけど、歌った後に「これ、大丈夫!?」ってブースから伊織に聞いたり。
雨宮:みんな最高でした。自分が作った曲をライブでやるのも嬉しいですけど、メンバーの声が入ったのを一番最初に聴くのが一番嬉しかったです。
――伊織さんの曲が妄キャリの新しい色としてしっかり存在してますよね。
雨宮:あ……ありがとうございます(笑)。
星野:照れてる照れてる。
桜野:「五線譜」は、みんな一丸となって制作したのでいい感じに仕上がりました。
――曲順もいいですよね。いいバランスだと思います。
桜野:曲順も「メンバーでも考えてみて」って言ってもらえたのでみんなで考えたんですけど、別々で考えたのに、みんなほぼ同じ並び順にしてたんですよ。だから「これしかない!」ってことでこうなりました。アルバムを曲順通りに聴くことって今はあまりないのかもしれないけど、よかったら最初から順番に聴いてほしいです。ライブを意識して組んでみたので。
――シングル曲を前のほうに置くのがセオリーなのかもしれないけど、このアルバムは決してそうはしてなくて、1枚の作品としてどう聴かせるかっていうことをちゃんと考えてますよね。
桜野:うれしい! よかったぁ……。
妄想キャリブレーション  撮影=菊池貴裕
――そういうちょっとしたこだわりって聴き手にも伝わると思いますよ。
桜野:実は、歌詞の表記の仕方もけっこう細かくこだわっていて、「旅は君連れ世は情け」もひらがなかカタカナか漢字か記号かとか、言葉のニュアンスとかもめちゃめちゃこだわりました。
星野:ね! <君がいればたぶんハッピネス!?>も「!?」か「?!」かどっちだ、みたいなね(笑)。
桜野:あとは、気持ちよく歌える語尾にするためにはここをイジらないとつながらないとか。
――一見すると、メジャーデビュー以降の集大成的な作品ですけど、ここからがスタートというか、「これから何をしてくれるんだろう」っていう今後の期待感も煽る作品ですよね。
星野:そのとおりです。
水城:まさに。
桜野:リード曲を決めるときに、「Hey Yo!」もふさわしいんじゃないかっていう意見もあったんですけど、47都道府県ツアーと海外ツアーを回っている今の私たちにとってのリード曲は「旅は君連れ世は情け」で、旅を終えた私たちが次の舞台に進むときのリード曲は「Hey Yo!」だなと思ったんです。それで、今の私たちと次の大きな舞台に進む私たち、どっちの気持ちも見せたかったのでこの2曲を並べたんです。
――今の話を聞くとなおさら、このアルバムタイトルが際立ちますね。
胡桃沢:これを思いついたのは伊織で。
雨宮:そうですね。旅ということで、「東海道中膝栗毛」とかけてみました。
――この「氣」にもこだわりが見えますね。
雨宮:私は「毛」のままスタッフさんに送っちゃったんですけど、アイドルのアルバムタイトルに「毛」が入るのはどうなのって話になって、「氣」になりました。
――「毛」の処理をしてくれたんですね。
星野:うまい!
――さて、そろそろ時間なんですが、また来年話を聞くときのために、今年の野望を聞かせてください。
胡桃沢:海外ツアー第2弾! NYに行かないと!
水城:私は中国に行きたいです!
星野:中華圏、全部回ってみる?
水城:中華圏ツアー!
星野:あと、大きいフェスに出たい!
胡桃沢:妄キャリとしてはライブをしたいっていうのが一番大きいから、海外だけじゃなく日本の主要都市も回って、今まで通り、ライブアイドルとして仲間を増やしていきたいです。
――わかりました! では、来年また答え合わせをしましょう!
全員:はい!

取材・文=阿刀“DA”大志 撮影=菊池貴裕
妄想キャリブレーション  撮影=菊池貴裕

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