Best Tracks Of 2017 / aoi キュレー
ター、aoiによる2017年の年間ベスト
・トラック!
5. The Orielles / Sugar Tastes Like Salt
まるでジェットコースターに乗っているかのようにスリリング、そしてサスペンス映画のようにドラマチック。彼らが敬愛するタランティーノの映画『デス・プルーフ in グラインドハウス(原題:Death Proof)』に捧げられたこの曲は、グランジやサーフ・ガレージ、サイケデリックな要素が混在する踊れるロックなナンバーとなっている。甘く気だるい女性ヴォーカルにかぶさる謎の不気味な笑い声がまた印象的だ。来年2月16日にはTemplesを輩出した〈Heavenly Recordings〉からデビュー・アルバムがリリース予定とのことで、注目している新人のひとつ。
4. GIRLI / Hot Mess
去年ぐらいから気になって気になって仕方のない、頭から足の先までどピンクの強烈なルックスのティーン・ラッパー、GIRLI。一度見たら絶対忘れないこのビジュアルだけでなく、ラップ × エレクトロ × 反骨精神 × カワイイをごちゃ混ぜにした音楽性はまさにHot Mess(むちゃくちゃ)!……ではあるのだけれど、最終的にはポップ・ミュージックに上手く仕上がっている。Charli XCXからポップ・クイーンの座を奪えるのは彼女だけかも、とか思ったり。全然音楽性の異なるDeclan McKennaとも親友だったり、今年はグライム・ラッパー、Lethal Bizzleともコラボしたりと、来年もその動向に注目したい。
3. yaeji / Raingurl
WWW Xでの新年パーティで初来日が決まったニューカマー・yaejiからの1曲を。アップ・テンポのヘビィなベースから幕を開ける韓国語と英語の行き来するオリエンタルな世界感。曲名が表すように、雨の気だるい感じがありながらも、とろけるようなハウス・サウンドが入り混じる。そうやって創り出されるエキゾチックで妖艶な雰囲気に、思わずトリップしてしまう……。
2. Dream Wife / Fire
1. Theme Park / Never Ending Story
Comment
今年の夏は2年ぶりに1週間ほどでしたがNYでどっぷりとブルックリンのインディ・シーンに浸かってきました。(と、言いつつベストはUKが中心になってしまいましたが)
3年前に開催した“SPIN.DISCOVERY vol.2”の出演アーティストであるHey Annaの一部のメンバーと再会したり、Surf Rock Is DeadやPoppiesなどのローカルなバンドのライブを堪能し、なかなかにエモい夏休みでした。友人の古着屋さんで昼間からだらだらガレージ・ロックをかけてお酒を飲みながら、Holy FuckのTシャツを着たドラマーのおじさん(初対面)と輪投げしたのも良い思い出……。
話は変わって、2017年は通訳を含め、数えてみると幸運にも15組ものミュージシャンにインタビューをする機会を頂けました。ジャンル、出身、年代は違えど、彼らとのカンバセーションでの議題は、「不安定な世の中での現実逃避としての音楽」と、「音楽でその状況を変えられるか」といった内容が多かったように思います。世界中で不穏なニュースが多かった2017年だったからかもしれません。そんな彼らを前にして、ライターである私は何ができるのか? そもそも音楽で世界は変えられるのか? 未だに明確な答えは自分の中で見つかっていませんが、ミュージシャンの考えをより多くの人に届けられるように、大きなスケールではなくて良いので、自分の記事を読んだ人の世界が少しでも変わるように、そして何よりおもしろいと思ってもらえるように、2018年も音楽について語っていけるようになりたいと思います。
番外編 マイ・ベスト
【ベスト・ライブ(妄想)】
HMLTD LIVE @ RABITZA, MOSCOW 01/06/2017
ベストには入れませんでしたが、彼らの「Kinkakuji」という曲が最近、夜頭から離れなくて眠れません。
■aoi 過去記事:https://spincoaster.com/author/aoi
Spincoaster
『心が震える音楽との出逢いを』独自に厳選した国内外の新鋭MUSICを紹介。音楽ニュース、ここでしか読めないミュージシャンの音楽的ルーツやインタビュー、イベントのレポートも掲載。