クリープハイプ『ストリップ歌小屋
2017』東京編

クリープハイプが6/8、東名阪をまわる『ストリップ歌小屋 2017』ツアーの初日を東京・Zepp Tokyoにて開催した。本ツアーは、クリープハイプが主催する対バンツアーで、2011年から不定期で単発開催されていた「ストリップ歌小屋」がツアーになったもの。今回の『ストリップ歌小屋 2017』は、3年ぶりの開催となる。過去にはフラワーカンパニーズや千原ジュニアと対バン(?)するなど話題を呼んでいた。
本記事では、UNISON SQUARE GARDENを迎えた初日の様子をお届けします。

Text_Sotaro Yamada
Edit_司馬ゆいか


盟友・UNISON SQUARE GARDEN

この日の対バン相手はUNISON SQUARE G
ARDEN(以下、ユニゾン)。前日にはユ
ニゾンの対バンツアーファイナル公演に
クリープハイプがゲストとして迎えられ
ており、二日連続で同じ場所に同じバン
ドが立つことになった。両バンドは出会
ってから11年の付き合いだという。

この日のファーストアクトはUNISON SQ
UARE GARDENから。中央に赤い絨毯が敷
かれ、奥に「ストリップ歌小屋」と書か
れた幕が降ろされたステージに、鈴木貴
雄(Dr. & Cho.)、田淵智也(Ba. & C
ho.)、斎藤宏介(Vo. & Gt.)の三人が
現れると、『箱庭ロック・ショー』で演
奏スタート。



『シャンデリア・ワルツ』や『場違いハ
ミングバード』、大ヒット曲『シュガー
ソングとビターステップ』など踊れる曲
でオーディエンスを盛り上げる。斎藤の
美しい高音や田淵の野性味溢れる自由な
動きに、オーディエンスは大声援で応え
る。『ガリレオのショーケース』では鈴
木がスティックを投げて素手でドラムを
叩く場面や、タオルで目隠しをしてブラ
インド状態でパフォーマンスする場面も
あり、クリープハイプ主催のライブだと
いうことを一瞬忘れそうになるほどの勢
いを見せた。鈴木のブラインドプレイに
は会場が騒然となり、演奏が終わっても
しばらくザワつきがおさまらないほどだ
った。



斎藤宏介(Vo. & Gt.)



鈴木貴雄(Dr. & Cho.)



田淵智也(Ba. & Cho.)

普段はあまりMCをしないユニゾンだが、
この日は斎藤が、11年前のクリープハイ
プとの出会いを語る。
11年前、まだお互いが売れていなかった
頃、吉祥寺の小さなライブハウスで行わ
れたイベントに両バンドは出演。その時
目にしたクリープハイプの演奏がカッコ
良く、終演後に斎藤はクリープハイプの
物販に並んだのだそう。CDを買おうとす
る斉藤に、尾崎世界観(Vo. & Gt.)が
「ユニゾンの人でしょ? 交換しようよ
」と声をかけ、二人はCDを交換。その時
に交換したのがクリープハイプの『ねが
いり』とユニゾンの『新世界ノート』で
、これ以降、両バンドの交流が始まった
とのこと。

そして「次の曲はユニゾンスクエアガー
デンとクリープハイプに捧げたい」と『
アナザーワールド』を披露。この曲は、
両バンドが出会いの際に交換したアルバ
ム『新世界ノート』の1曲目に収録され
た作品。感動的な雰囲気でクリープハイ
プにバトンをタッチした。

勝ちにこだわるクリープハイプ

少しの間を挟み、小川幸慈(Gt.)、長
谷川カオナシ(Ba.)、小泉拓(Dr.)が
現れ、やや遅れて尾崎が登場。大歓声の
中で尾崎のMCからスタート。

「昔から、勝ち負けには縁がありません
。それでも今日は勝ちたいと思います。
……なあ、カオナシ?」
するとカオナシからは「勝ちに行くから
、ついて来いよ。」と男前な返事が。


これにはオーディエンスも大盛り上がり
で、熱狂の中、1曲目の『HE IS MINE』
へ。「ストリップ」という言葉を冠した
ライブでこの曲をやらないはずがない。
尾崎が大サビの前に「(Zepp Tokyoに隣
接している、お台場・ヴィーナスフォー
トの)観覧車に乗っているカップルにも
聞こえるような大きな声でお願いします
。」と言うと、満員の会場に「SEXしよ
う!」の大合唱が響き渡った。




小泉拓(Dr.)

2曲目は『愛の標識』を披露。これはメ
ジャー1stアルバムの1曲目に置かれた曲
。歌い出しの「死ぬまで一生愛されてる
と思ってたよ」という歌詞はアルバムタ
イトルにもなっており、クリープハイプ
の原点と言える。3曲目は『寝癖』。テ
レビ朝日系の音楽番組『関ジャム完全燃
SHOW』(4/16放送)に尾崎がゲスト出演
した際、同じくゲスト出演したいしわた
り淳治に「完璧」と絶賛された曲だ。こ
の完璧な曲に、オーディエンスも完璧な
盛り上がりで応えた。



小川幸慈(Gt.)

その盛り上がりを、尾崎らしい毒舌と愛
のこもったMCでさらに加速させる。
「(twitterのエゴサーチで)また同じ
セトリでとかうるさいから、そんなに言
うなら普段やらない曲でどれだけ反応が
あるのかテストします。みなさん、満点
目指して頑張ってください。」
そう言って演奏し始めたのは『ABCDC』
。初期の人気曲に、会場から絶叫に近い
声援が聞こえる。『蜂蜜と風呂場』『週
刊誌』と続けるとオーディエンスの熱は
さらに高まり、尾崎によるテストは満点
解答の結果になった。

アコギに持ち替えた尾崎は「本当に最高
に楽しいです。ありがとうございます。
機嫌が良いので、横にいるイケメンとデ
ュエットします」と、『グレーマンのせ
いにする』を演奏。カオナシの高音はこ
の日特に冴え渡っており、色気を感じさ
せた。



長谷川カオナシ(Ba.)

さっきまでの熱狂がぐっと大人っぽい雰
囲気に変わり始めたところで、新曲『N
O SWALLOWS, NO LIFE.』へ。タワーレコ
ードとプロ野球・東京ヤクルトスワロー
ズによるコラボ企画の一環として5/31に
発売されたばかりのこの曲は、新進気鋭
のトラックメイカー・STUTSと共作した
タワレコ限定シングル。観戦後に「勝ち
負けに関係なく聴ける曲を」というコン
セプトで作られた。勝っても負けても「
やっぱりスワローズだな」という、ヤク
ルトファンである尾崎の愛を表現してい
る。夜に合うメロウなR&B調の曲は、ク
リープハイプの新しい側面を垣間見たよ
うに思う。野球の試合には勝ち負けがあ
るが、クリープハイプのライブに負けは
ない。オーディエンスは「やっぱりクリ
ープハイプだな」と思っただろう。



尾崎世界観(Vo/Gt.)

さて、本当の「ストリップ」はここから
だ。
「対バンライブは苦手」と前置きした上
で尾崎が口にした次の言葉は、多くのオ
ーディエンスの心を撃ち抜いた。「やっ
てみてまず良かったことは、ユニゾンの
お客さんは真面目に聴いてくれる。あり
がたくて、心の底から嬉しい。だからそ
の分、自分たちのお客さんを本当に愛し
く思った。本当にありがとう。めんどく
さいメンヘラばっかだけど(場内爆笑)
……、大事な客をとられたくないんです
よ! だからそういう曲をやります」


そうしてイントロ部分にいつもより長い
タメを作って『百八円の恋』を演奏。「
痛い」と「居たい」を掛けたこの天才的
な歌詞、解説は省くが、他のどんな言葉
よりも尾崎の気持ちを雄弁に物語ってい
る。



百八円の恋 MV

続く『社会の窓と同じ構成』から『社会
の窓』への流れでは、会場にこの日いち
ばんの歓声がこだました。オーディエン
スの「最高です!」の大合唱が、1曲目
に演奏された『HE IS MINE』の「SEXし
よう!」の大合唱と対になっているのは
見事な構成だった。

それから菅田将暉主演の映画『帝一の國
』主題歌でもある大ヒットシングル『イ
ト』へとつなぎ、このライブをカタルシ
スへと導いた。最後の曲は『イノチミジ
カシコイセヨオトメ』。最高にエモーシ
ョナルな演奏に、涙をこらえきれないオ
ーディエンスも続出した。



イト MV

アンコールでは、オーディエンスのこと
を「離したくないと思った」と『手と手
』を披露。
こうして最初から最後まで大盛り上がり
の中、『ストリップ歌小屋 2017』東京
公演は幕を下ろした。



手と手 MV

「ストリップ」とは、服を脱いで裸にな
ることだ。この日の尾崎は驚くほど素直
で、オーディエンスの前で裸になってい
たように思う。
心の服を脱いで、ファンと裸と裸の付き
合いすること――それがこの公演の目的
ではないかという気がする。
いま絶好調のクリープハイプ、彼らは売
れれば売れるほど、オーディエンスに歩
み寄ってくれる。


「ストリップ歌小屋 2017」@ Zepp Tok
yo終了しました! UNISON SQUARE GARD
ENの皆さん、お越しいただきた皆さんあ
りがとうございました! 「ストリップ
歌小屋 2017」次は6/14(水)大阪です!
pic.twitter.com/LgqOfu6GLo

— クリープハイプ (@creephyp) 2017年
6月8日



なお、ツアーはこのあと6/14(水)に大
阪・なんばHatch、6/15(木)に名古屋
・Zepp Nagoyaへと続く。
ミーティアでは後日、大阪・名古屋、各
公演の詳細なレポートを公開する予定な
ので、お楽しみに。


セットリスト(UNISON SQUARE GARDEN)

1. 箱庭ロック・ショー
2. シャンデリア・ワルツ
3. マジョリティ・リポート(darling, I love you)
4. 流れ星を撃ち落せ
5. 場違いハミングバード
6. オトノバ中間試験
7. 何かが変わりそう
8. シュガーソングとビターステップ
9. ガリレオのショーケース
10. アナザーワールド

セットリスト(クリープハイプ)

1. HE IS MINE
2. 愛の標識
3. 寝癖
4. ABCDC 
5. 蜂蜜と風呂場
6. 週刊誌
7. グレーマンのせいにする
8. NO SWALLOWS, NO LIFE.
9. 鬼
10. 百八円の恋
11. 社会の窓と同じ構成
12. 社会の窓
13. イト
14. イノチミジカシコイセヨオトメ

En. 手と手

クリープハイプ『ストリップ歌小屋 2017』東京編はミーティア(MEETIA)で公開された投稿です。

ミーティア

「Music meets City Culture.」を合言葉に、街(シティ)で起こるあんなことやこんなことを切り取るWEBマガジン。シティカルチャーの住人であるミーティア編集部が「そこに音楽があるならば」な目線でオリジナル記事を毎日発信中。さらに「音楽」をテーマに個性豊かな漫画家による作品も連載中。

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