Kælan Mikla / Sýnir ついに日本へ
。アイスランドが才腕を振るう!
そのゴシック・サウンドは融けてし
まうほどに美しい混沌を秘め、少女た
ちの心を――

Kælan Mikla(キャイラン・ミクラ)は、アイスランドの首都・レイキャヴィークを拠点に活動するダークウェイヴ/ポストパンク・バンド。BjörkやSigur Rósを輩出してきたこの町で、2013年1月に開催されたポエトリー・スラム(詩の朗読バトル)への参加と優勝を機に、3人は活動を始めました。そして音楽フェス”Iceland Airwaves”にてベストとも名高いパフォーマンスを披露し、2015年には早くも注目を集めていた彼女たちの日本盤が、とうとうリリースされます。
どこからともなく闇夜の陰が漂ってくるように、Sólveig(ソルヴェイグ)の操るシンセが先んじて鳴り始めると、最期への手拍子・黒衣の吐息とも取れる、かなりミニマルなマシン・ビートとウィスパー・ボイスが聴こえてきます。しかし本当に、これらの音が死の表象であると言えるでしょうか。
死とは解放や解脱であり、逃走であるはずです。そしてポスト・パンクやダークウェイヴなどが謳うのは、そうしたある種の特別な快楽ではありません。Joy Divisionのような憂いや虚ろ、哀しみに対する葛藤(または日常における普遍的で取るに足りない喜び:The Smithsなどに代表される)によって形づくられる”生きた”内面世界だと言えます。
それでは、より確かな解釈とは一体どのようなものなのでしょうか。
私が考えたのは、楽曲はエゴとの闘争であり、Kælan Mikla自身はそれを映す鏡であるということです。(ビジュアルが示す通りに)彼女たちは天使か悪魔か、判断が危うい存在とも言えるかもしれません。淡々としながらも心の痛みを匂わすLaufey(レイヴェイ)の歌唱は、弱い自分の告白として、唸るように鳴るMargrét(マルクリィアツ)のベースは自己に対する怒りとして、厳かに在るように聴こえました。
つまり、人間らしくはなくとも、人間の心を実によく描き出すのでしょう――この鏡は。
スクリームを交えたポエトリー・パンクが悲痛に響く「Kalt」は、アルバム『Kælan Mikla』をリードする一曲。こちらと同様に「Sýnir」の収録音源も(最初のパフォーマンス映像より)ストロングなビートとなっていますので、皆さまご期待ください。
彼女たちのサウンドは、80年代の音楽におけるその精神を表現するに不足無く、リバイバルとして現在のリスナーの手に取られるべきものです。質感に多少の違いはあれど、 The KVB(https://thekvb.bandcamp.com/album/of-desire-lp) や Ritual Howls(https://ritualhowls.bandcamp.com/album/into-the-water) 、 Boy Harsher(https://boyharsher.bandcamp.com/album/yr-body-is-nothing) や Lebanon Hanover(https://lebanonhanover.bandcamp.com/album/babes-of-the-80s-maxi) などと共に、ダークミュージック・シーンを創るバンドになってゆくのではないかと思います。
【リリース情報】

Kælan Mikla 『Kælan Mikla』

Release Date:2017.08.09 (Wed.)
Label:2670records
Cat.No.:TSSO-1028
Tracklist:
1. Kælan Mikla
2. Myrkrið kallar
3. Líflát
4. Sýnir
5. Upphaf
6. Kalt
7. Óráð
8. Glimmer og aska
9. Ekkert Nema Ég (Bonus Track For Japan Only)
10. Lítil Dýr (Bonus Track For Japan Only)
11. Mánadans (Bonus Track For Japan Only)
※M9.~M11. 日本盤のみボーナストラック
※ライナーノーツ:ヤマダナオヒロ(nAo12xu/†13th Moon†)

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