【藍井エイル】夜明けをテーマにした
新境地開拓の革新的な一枚
実力派シンガーとして地位を築き上げている藍井エイル。声を張り上げて歌うようなこれまでのパブリックイメージを気持ち良く打破するカラフルな楽曲が詰まった2ndアルバム『AUBE』は、彼女の伸びしろを感じさせてくれる一枚となっている。
取材:吉田可奈
『AUBE』はとてもポジティブな空気感にあふれたアルバムになりましたね。
そうですね。この1年は海外に進出したり、新しい歌い方に挑戦したりと、刺激のある年だったんです。そんなふうに私を取り巻く環境がどんどん変わっていく中で、考え方も自然と前向きになっていったし、曲の幅も広がっていったんですよね。その集大成として、かなりいい作品ができたんじゃないかなと思っているんです。
シングルではリリースごとに新しいことに挑戦していましたね。
はい。「コバルト・スカイ」や「シリウス」では今までにない明るさを持っているだけでなく、青春感にも挑戦し、声を張り上げずに歌う「虹の音」では“表現”ということに対して改めて考えさせられました。作詞もこの曲で初めて全て担当したのですが、難しさと同時に楽しさも感じることができて。聴いてくれる人の反応もそれぞれまったく違うのですごく勉強になりました。
それにしても、世界観がしっかりとした一枚で、感動しました。
ありがとうございます。基本的にこれまでの藍井エイルは“大きな光を求めていく”というテーマがあるので、そこに重点を置いていた曲が多かったんですが、今回のアルバムはタイトル通り“夜明け”がテーマで。夜明けから始まって、陽が昇り、また落ちて、そしてまた夜が明けるというイメージの曲順になっているんです。毎日が繰り返すように、何度もリピートして聴いてもらえたら嬉しいですね。
アルバム曲の中で印象的だったのはどの曲ですか?
アルバムを聴いてくれた人がまず驚くのが、「Daydream」かな、と。
この曲は本当にビックリしました! こんなに元気でタテノリの曲を歌うんだって驚きました。
ですよね。私も驚きました(笑)。こんなに地声が低い人がこんなに明るい曲を歌っちゃうんだ、と(笑)。すぐにライヴが目に浮かぶし、みんなと一緒に騒ぎたいなって思える曲なんです。
曲も90年代を彷彿させるようなメロディーですよね。
私自身、小さな頃に両親の影響で歌謡曲をたくさん聴いていたんです。その時に体で覚えたポップスはやっぱり大好きだし、すごく印象的なんですよね。この曲はそのイズムを受け継いだナンバーなので、歌っていてすごく楽しかったんです。
歌詞もすごく開けていて、一度聴いたら忘れない!
そうなんですよね。どんなこともプラスに変えていくという歌詞は自分で歌っていても元気が出ます。落ち込んでいる人の背中を少しでも押せたら嬉しいですね。
個人的には、「惑星の唄」もすごく素敵でした。
うわ~! 嬉しい! 実は私もこの曲がかなりお気に入りなんです。ダークな印象のバラードなので、すごくカッコ良いんですよ。
さらに切なさが胸をギュッと締め付けてきて…。
そうなんですよ。私自身、いつも曲をいただく時は作家さんにどんな気持ちで作ったのかをうかがうようにしているんですね。そこで、この曲はずっと愛する人を待ち続ける歌だとお聞きしたんです。それを聞いてからレコーディングしたら本当に気持ちが破れそうになるくらい切なくなってしまって…。これまでしっとりと歌い上げる曲は少ないのでとても新鮮でした。さらに、サビになると気持ちも言葉も一気に爆発するんですよ。その盛り上がりをより強調したかったので、すごくこだわった曲になりました。
この主人公のように、愛する人をずっと待ち続けることってできると思いますか?
早っ!
私、すっごいせっかちなんですよ。基本待ち合わせの時でも、走っているみたいで、友達からも“走っているところを見たよ”って言われることが多いんです(笑)。
想像できます(笑)。
でも、最近待つことも大事だなって思うようになったんです。そういう経験がこういった曲を歌う時にすごく参考になると思うんですよね。
どんな経験も歌い手にはプラスになりますからね。そして、「A New Day」では共作ですが作詞に挑戦していますね。
はい。この曲は穏やかな気持ちで前を向いていくという決意を歌詞に託しました。今までは自分を好きになり切れずに欠点ばかり思い付いていたけど、今までの過去は全部ムダになっていないという意味も込めて、過去も全て受け入れて新しい陽が昇るというタイトルにしたんです。
まさに、このアルバムを代表するような曲ですね。
はい。“AUBE”というタイトルに相応しい曲になりました。
全部で14曲というボリューミーな一枚になりましたが、改めて聴いてみていかがですか?
これまでリリースしてきたシングル曲も、アルバムに入るだけですごく違う印象を持つんです。その違いも楽しめるし、さらに初回盤にはミュージックビデオが6曲も収録されているんです。
これは嬉しいですね。
中でも、私がずっとやりたかった頭からペンキを被った「クロイウタ」をぜひ観てもらいたいんです。
だいぶ斬新ですね…。
夢が叶った瞬間でした! あとは、なるべく大きな音で聴いてもらいたいんです。細やかな音まで気を使って制作しているので、音の奥の奥まで楽しんでもらいたいですね! ぜひ、ヘッドフォンで楽しんでください!
・・・
『AUBE』2014年01月29日発売SME Records
- 【初回生産限定盤A(Blu-ray付)】
- SECL-1450~1 3900円
- 【初回生産限定盤B(DVD付)】
- SECL-1452~3 3600円