L→R 本東地 隆将(Ba)、DAI(Vo&三線)、YOU(Gu)、成(Dr)

L→R 本東地 隆将(Ba)、DAI(Vo&三線)、YOU(Gu)、成(Dr)

【おかん】最愛の人に贈る、18年間の
“人間讃歌”

昨年、念願の大阪城ホール単独公演を実現した4人組バンドおかんがついに1stフルアルバム『loved one』をリリース。結成から18年。血の通ったメッセージを発し、独立独歩を貫くおかん流の信念を真っ直ぐ語ってくれた。
取材:エイミー野中

“おかん”というのは大阪弁で母親のことですが、男性4人組でこのバンド名というのはユニークですね(笑)。

DAI
僕たちは中学校の同級生で、バンドを始めた当初はヴィジュアル系のコピーバンドをしてました。LUNA SEAとかX JAPANなんかに憧れていたので英語のカッコ良いバンド名が良かったんですけど、ライヴ毎にバンド名を変えてやっていたら、お客さんのウケが一番良かったのがこのバンド名だったんです。最初は嫌々だったんですけどね(笑)。でも、今はバンド名に沿った温かいバンドになってきたと思います。
YOU
ステージと客席って、最初はちょっと壁を感じる時があると思うんですけど、その壁をなるべく取りたいんです。家の食卓で、自分のおかんと喋ってるかのようにライヴも楽しんでほしいなと思って。今はそういうアットホームな意味を込めて、“おかん”と名乗っています。

今まで18年活動してきた過程で、解散などの危機に直面したことは?

DAI
2010年頃に1度だけありました。その当時はメンバーは5人だったんですが、音楽性の違いからキーボードが脱退することになったんです。その時に、メンバーの心がばらばらになりかけたんですけど、今考えるとそのことがきっかけで、よりバンドの結束が深まりましたね。それで昨年、ずっと目標にしてきた大阪城ホールの単独公演を実現することができました。

今回リリースされた1stフルアルバム『loved one』に収録されている楽曲にはメッセージ性を強く感じます。

DAI
そのきっかけとなったのが、4曲目の「向日葵」という曲なんです。“大切な人に伝えられる時に伝えよう!”っていうメッセージを込めて、僕が19歳の時に作りました。当時はメロコアが流行ってて、周りのバンドがみんな英語で歌うようになっていた中で、あえて日本語の歌詞にこだわって家族への想いを書きました。それをライヴで歌ったら、聴いてくれた人が涙を流してくれたんです。その時に自分たちがメッセージを発することで喜んでくれる人がいることを自覚して、歌を歌うことの喜びが自分たちの中で芽生えました。

歌詞は実話がもとになっているようですが、リアリティーを重視していて難しさを感じることは?

DAI
1曲目の「幸せのカタチ」という曲の歌詞には“車イスのカップル”や“盲目”っていう表現がありますが、そういった言葉はあまり使わないほうがいいというようなことをアドバイスされたことがあります。でも、胸に響く曲ってリアリティーが大事だと思うので、包み隠すことなくそのままの思いを歌詞やメロディーに乗せてきた結果、自分たちが発するメッセージはどんどん深くなっていってると思います。

メッセージがある限り、ストレートに歌い続けていくと?

DAI
そうですね。“次は武道館!”とか、CDを何枚売ったとか、そんなことは何も興味なくて。あくまでも僕たちがメッセージを発することで、世界中の人たちに何を届けられるかっていうのが大事なんです。

今まで数多くの曲を作ってこられたと思いますが、アルバムに収録されている11曲のセレクトはどのように?

DAI
いろんな人に寄り添える“人間讃歌”が中心になっていて、最近ライヴでやっていた曲からセレクトしています。タイトルの“loved one”は“最愛の人”という意味で、今まで僕たちを支えてくれた最愛の人への感謝、そしてこれから出会い、最愛の人たちになっていく人たちへの思いを込めています。このアルバムを聴いてくれた人も最愛の人に贈りたくなるようなCDであればいいなと思います。
YOU
今、人生悩んでいる方がこのアルバムを聴いた時、どれか1曲でも心を打つものがあり、人生がちょっとでも変わるように感じてもらえると嬉しいです。

ライヴで演奏する時と比べて、各楽曲のアレンジは変えているのですか?

YOU
今回のアレンジに関しては、みんなでアイデアを持ち寄って、全曲スタジオでギリギリまで作業をしました。
僕たちのお客さんは幼児から年配の方まですごく幅広いので、基本的にリズムはシンプルにして、どの年齢層にもメッセージや曲そのものの良さが伝わるようにしました。

「道-the way-」だけ英語詞ですね。

本東地
これは僕たちがこれから世界に目を向けていくという姿勢のひとつとして、英詞に挑戦してみました。
DAI
唯一ライヴではやったことがない曲なので、アルバムに伴うツアーのお楽しみとして初披露します。

ラストの「人間だから」は人間の全てを包み込むような曲で、温かい気持ちにしてくれます。

本東地
最後は自分を許し、他人も許せるようなメッセージの曲で締めたかったんです。人間なんだから、浮き沈みがあって当たり前やし、時に自分を傷付けることも、人を責めることもある。でも、“人間やから大丈夫だよ”っていう思いを込めて。
DAI
実はこれ、うちのおかんの言葉がもとになっています。作曲でスランプになって曲が書けない時や、バンドがうまくいかない時に実家に帰って話をすると、“毎月毎月そんなにいい曲書けるわけない。あんた人間やねんから、当たり前!”って言ってくれるんです。その言葉を聞いて、僕はすごい安心できるんです。

メンバー自身の体験をもとに、血の通った思いが歌詞の中に凝縮されているからこそ説得力があるんだと思います。

DAI
ロックバンドはこうあるべき!みたいな常識はとっくの昔に捨てているので。せっかく歌詞に言葉を乗せられるんやから、自分の思ってることをストレートに伝えれば、絶対に世の中の人に響くよ!っていうことをこれからも実証していきたいですね。
『loved one』
    • 『loved one』
    • PECF-3095
    • 2014.12.10
    • 2916円
おかん プロフィール

おかん:大阪を拠点に活動中。当時中学生であったDAI、YOU、本東地を中心に結成。コピーバンドを経て、バンドの一番のファンだった友人の突然の死をきっかけにオリジナル楽曲を制作するようになる。2004年9月に成が加入し、現在の編成となる。13年4月8日には17年夢見ていた大阪城ホール単独公演ライヴを実現。大阪城ホール翌日からは中国、台湾、マカオ、香港の4カ国をまたぐアジアツアーを実施。生きているからこそ実感できる、さまざまな気持ちを歌詞に詰め込んだリアリティーあふれる鼓動を込めた歌、言葉や文化、あらゆる壁すらも取り除くライヴにも定評がある。おかん オフィシャルHP

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