水曜日のカンパネラが『アラジン』で
歌う、ランプの精ジーニーよりも神秘
的な魔法

『アラジン』の物語に触れているパートがラップで登場します。『アラジン』は、特にディズニーのアニメ映画が有名ですね。自由と未来を求める青年アラジンが、王宮からぬけ出したお姫様のジャスミンと冒険する物語。ランプの精ジーニーが様々な願いを叶えてくれます。『アラジン』における魔法というのは、物語においてはこのジーニーの不思議な力を指します。しかしこの曲は、『アラジン』というタイトルでありながら、ジーニーの魔法にはスポットを当てません。

この曲は、いわゆる『アラジン』の物語から連想している歌詞が特徴。ランプはこするもの。こするものを売っているのはホームセンター。ホームセンターの歌になっているんですね。



冒頭からアラジンコンパウンドというフレーズが登場。コンパウンドは、研磨剤のこと。金属の傷や汚れを落とす際に使います。「こするだけで金属 光っちゃう」という歌詞が、コンパウンドを説明していますね。「それはまるで神秘的な魔法の力のようなのです」というフレーズで、コンパウンドが魔法のようであると表現。金属を磨いて光らせるというのは今でこそ当たり前のような技術ですが、これが登場した当時は魔法のように見えたはず。そういった身の回りにあふれているものへの神秘を歌っています。

「こぎたない そこのランプを ぴかぴかに してご覧に入れましょう。」ここで「。」がついて、強調させています。ランプをぴかぴかにすることそのものを神秘としている歌詞。「Shining」は輝きであり、「Scrub」も、ごしごし磨いて洗う意味です。「光っちゃう」「ぴかぴか」「Shining」という単語を、キラキラした音のアレンジに重ねます。こうすることで、曲自体の神秘的なキラキラしたイメージが強調されるんですね。



2番ではジャスミンが登場。バリアスコートも金属の洗浄剤です。アラジンが「こする」「光っちゃう」だったのに対し、ジャスミンは「なでる」と優しい表現になり「守っちゃう」に変わります。これは『アラジン』の物語で、アラジンがジャスミンを守る展開をかけているんですね。



後半でラップパートがきます。「サイザルバフ」「グラスターポリッシュ」など、普段金属を磨くことに縁のない人には聞きなれない単語が並んでますね。これらは大まかに言えばどれも金属を磨くためのもの。こういったホームセンターで売っているものを並べて呪文のように唱えています。この怒涛の金属磨きラップも、「神秘的な魔法の力のような」フレーズの一環なんですね。



この曲のテーマが中間のラップのラストと、曲全体の最後で示されます。「さび付いた人生」とあるように、さびとは人生の悲しさや苦しさの象徴。ホームセンターは、そんな人生を輝かせる魔法のような場所だ、と言って歌を終わらせています。

魔法というと、謎の力で色々な願いが叶うことを連想しがち。しかし、水曜日のカンパネラは、身近なホームセンターにこそ魔法があるのだと言っているのです。音楽の魔法も身近にあることに気づかされます。『アラジン』とホームセンターをかけた歌を歌うアーティストは、他にまずいないですからね。

こするものと言えばボーリング。MVでボーリング場にいるのは、そんな意味があります。Mステに出演次第際も、ボーリングを使って歌を披露しました。MVと共に、水曜日のカンパネラの不思議な世界に浸ってみるのもいいですね。



TEXT:改訂木魚(じゃぶけん東京本部)

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