トリケラトプスの倒し方を知りたけれ
ば、わーすたの『うるとらみらくるく
るふぁいなるアルティメットチョコび
ーむ』を聴こう

わーすたは、エイベックスのアイドルレーベルiDOL Street通称アイストの第4弾アーティスト。2016年にこの曲が収録されたファーストアルバム『The World Standard』でメジャーデビューしたばかりの新星です。アルバムタイトルが示すとおり、わーすたとはワールド・スタンダード(世界標準)の略。世界に向けた活動という、かなり大きなコンセプトを持っているんですね。

作詞作曲は鈴木まなか。AKBグループにも楽曲提供経験がある若き音楽プロデューサーです。タイトルも独特で長いですが、歌詞の内容も王国でトリケラトプスを倒すというゲームの世界のようなストーリー。歌詞の中に「セーブポイント」などゲーム用語をふんだんに散りばめています。



ここの「上上右下右下下ABB」というのも、有名なコナミコマンドを連想させます。コナミのゲームは、上上下下左右左右BAと順にコントロールのボタンを押すとパワーアップできる裏技が多かったんですね。ここのフレーズは「うえうえみぎしたみぎ」「したしたえーびーびー」と表記すると分かりますが、「うるとらみらくるくる」「ふぁいなるアルティメット」と同様に10音ずつそろえています。そして、このフレーズには「左」がありません。これは、音数をそろえる意味もありますが、パロディ元のFFの戦闘画面における左方向が退却を意味することをうけ、「逃げずに戦う」意味が込められています。



「またたび」「にゃんこの学校」「にゃい」など全て猫しばりでストーリーが進みます。衣装で猫耳をつけているこのグループを反映しているんですね。

そして、「ネコのフリ」という単語も台詞で入れてきます。わーすたが、猫耳という可愛さを全面に出しつつも、それはあくまでもフリであり、本質ではないということを示しています。



伝説の剣エクスカリバーのパロディである「エクスカリにゃん」。しかし、ついに見つけたにも関わらず、重いという理由でこれを持ち帰りません。これはなぜか。「にゃん」という猫要素をずっと推していくのは重く、いつまでもこれには頼れないからです。では何で戦うのか。自分たちで発する、歌唱力や発言力や魅力の象徴である「びーむ」で戦うのです。



「びーむ」は「チョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコチョコびーむ」から「上上右下右下下ABBチョコびーむ」に変化し、最後に「うるとらみらくるくるふぁいなるアルティメットチョコびーむ」でやっと敵を倒すストーリー展開。なぜ前2つは効かなく、最後のタイトルのビームで倒せるのか。甘さ可愛さの象徴であるチョコの連発でも、技巧的な裏技でも敵は倒せない。可愛さと技巧を兼ね備えた究極の攻撃でこそ、やっと倒せる。

この曲は、可愛く見せたい箇所はひらがなで表記し、真剣に伝えたい箇所はカタカナを使っています。「アルティメットチョコ」がカタカナなのは、技も備えた究極の可愛さを目指すことの表れなんですね。



歌詞上で「トリケラトップス」だった敵は倒すと「とりけらとぷす」になり、ラストでは「とりお君」になります。「王国」はアイストのメタファー。「トリケラトプス」は普段は草食でおとなしいが動かすのは難しく、怒ると突進してくる「ファンを含めた聴き手」の象徴。この曲は、アイストに所属するわーすたが、自らの魅力で聴き手をファンにしていく歌なんですね。

この異常に長いタイトルは「ひっかかり」。出てきたばかりのわーすたは、まず奇抜なタイトルでも衣装でも何でもいいので「注目されること」が重要なのです。果たして、グループ名どおりのワールドスタンダードなグループになれるのか。わーすたの旅は、まだ始まったばかりです。



TEXT:改訂木魚(じゃぶけん東京本部)

UtaTen

歌詞検索・音楽情報メディアUtaTen

新着