fripSide二年ぶりのアルバム『infin
ite synthesis 3』本人たちによる全
曲レビューインタビュー【前編】
南條:お願いします!
――アルバム発売おめでとうございます。
八木沼:ありがとうございます。
――2年ぶりですよね。フルアルバムという形では。
南條:はい。
――ということで今回は全曲聴きながら一曲ずつ、お話を伺えればと思います。
八木沼:わかりました!やりましょう!
――まず、アルバムの改めて、タイトル含めたコンセプトを二人から聞ければなと思ってますが、なんかコンセプト的な部分で二人でお話はあったんですか。
南條:その辺りは全部satさんが。
八木沼:コンセプトはないというか、逆に言えば、fripSideというものが、もうコンセプトなので、『Decade』っていうコンセプトアルバムが一個ありましたけど、それ以外の『infinite synthesis』に関してはもう、ナンちゃんと僕が、fripSideとしてやればそれがコンセプトなんで、だから今回はこれっていうのは特にないんですよね。
――なるほど、では聞いてみましょう!一曲目はインストの「Third cosmic velocity」これはもうsatさんに聞きましょう。僕これのギターが好きなんですよね。
八木沼:これ大変だったんです。
――大変だったんですか。
八木沼:カチッと感を出すっていうのに、スライスという技術を使ってて、波形を細かく切って、こういう風に聞こえるようにしているんです。実際に弾くとこうならないんです。
――かっちりとした和音が効いてるなと思ってて。
八木沼:そうなんですよ。うちのギタリストと色々とやりとりをしながら、ああしよう、こうしようとやったんですけど。
――で、この一曲目から始まって、次が「Luminize」TVアニメ『フューチャーカード バディファイト ハンドレッド』OPテーマですよね。
南條:そうですね。ライブとかでも、何度もやらせてもらっている曲になってるんですけど、実質歌だと一曲目という扱いなので、この曲で勢いづいて、アルバムの幕開けの感じが、さらに強まるかなという感じですかね。
――だいたいアルバムって2曲目ぐらいに、決め曲というか、強い曲を持ってくる印象があるんですけど。
八木沼:まあそうですね。
――歌詞も改めて読んだんですけど、バディファイトのゲーム部分を意識しているというか。作品を意識した歌詞になってて。現行のfripSideのいわゆる決め曲っていう感じなんでしょうか?
八木沼:うーん、僕はどの曲も決め曲だと思って作っているので(笑)。 これがっていうのはないんですけど、これに関してはドラムは生録りしたんです。サウンド的にはナンちゃんが歌った時に今のfripSideの最先端で行っている曲じゃないかなというところで、2曲目にしたんですよね。
――続いて3曲目が「1983-schwarzesmarken-(IS3 version)」これはなんとなくですけど、メロの作りが懐かしい感じがしたんですよね。
八木沼:うん、そうですね。
――いわゆる僕ら世代のダンスミュージックの印象があります。
八木沼:符割がそうですね。リズムが90年代テクノとか、ハウスとかその辺音感じはあるかもしれないですね。
――これは南條さん、歌ってみていかがでしたでしょうか。
南條:これもライブで盛り上がる曲なんですけど、今回、「IS3 version」ということで、一箇所、歌詞が新規に書き換えられていたりとか、アレンジもちょっと変わっていて、頭の部分とか。テンポ早くなってたり。
八木沼:そう。シングルのカップリングだったんですけど。テンポが0.5だけ早くなってる。
――その辺の速くしようと思ったこだわりには、理由はあるんでしょうか。
八木沼:ゲームの主題歌として使うときと、CDに収録するのって全く別物なので、CDだったらもうちょっと速い方がいいかなっていう感じですね。
――0.5って言葉で聞くとそうでもないかもしれませんけど、聞いているとだいぶ。
八木沼:違いますね。
――歌ってて違いますか? 0.5の速さの違いって。
南條:それこそ、ライブで何回もやって盛り上がるっていうのは言ったんですけど、勢いもあるので、この速さで逆にむしろしっくりきているので、あんまり違和感みたいなの感じないですね。
南條愛乃
――続いて四曲目「determination」なんですけど、今作はアルバムの構成が凄いいいなと思ってて。ちょうど、オープニングがあって、2、3曲強い曲があって……という、これをそのままライブでやっても成立してしまいそうなぐらい。
八木沼:ありがとうございます。
――その辺は意識されている点はあるんですか。
八木沼:そうですね。なんか今、曲を配信で買う人も多いじゃないですか。
――そうですね。
八木沼:みんな単品で買えちゃうじゃないですか。
南條:そう。
八木沼:僕それ嫌いで(笑)。
――そうなんですね。
八木沼:アーティストってレコードやCDの時代も、曲順や流れって、表現の一つとして落とし込めた時代があったわけじゃないですか。
――はい。
八木沼:今、あんまりCD買わない、配信でつまみぐいするって言うのが、主流にあるなかで、僕はアルバムとして通して聴いて欲しいんですよね。だから、そこは毎回こだわっています。
――今回一曲一曲印象に残るんですよね。僕も正直配信で一曲買うことももちろんあるんですけど、アルバムで聴くとこんなに、一個一個繋がって聞こえるんだって言うぐらい構成が素晴らしいと思って。
八木沼:嬉しいな!ありがとうございます。
――では曲にいきます。この曲はいかがでしょうか?作った感じとして。
八木沼:これはもう肩の力を抜いて、バーっと作りましたね。南條さんが気持ちよく歌えることを予想しながら、僕は音で楽しんで、遊んで。それを歌ってもらったって言う感じがしています。
――それを受けて南條さんいかがですか?
南條:結構私の中では、fripSideらしいという感じの楽曲になっています。メロディもすごく覚えやすかったですし、歌詞の内容的にも閉じた場所からひらけた場所に向かっていくような内容になっているので、爽快感や開放感のあるものなので、歌っていて気持ちが良かったですね。
――開放感はたしかにありますね。
南條:なんか裏話的にはsatさんから聞いた話で、疲れたOLに聴いて欲しいみたいな(笑)。
八木沼:そう。そうなんです。これは。僕の中のお姉心が出たというか!(笑)。
南條:母性が働いてね(笑)。
八木沼:開花したんだよ(笑)。だからOLの皆さん、大人の女性に聞いて欲しいかもしれないですね。
南條:その話が結構印象的ですね(笑)。
――そして「magicaride」。これがversion2016と言うことですが。今回一期の曲を改めて入れようと思った意図をお聞きできれば。
八木沼:fripSideっていう冠でずっとやらせてもらっていますけど、前の曲をやるのもユニットとしては自然なことなのかなっていう風に思うんですよ。まあ、僕たちが古い曲をやるにあたって、賛否両論あるのはすごいわかっているんです。ただ、僕は今、南條さんとやらせてもらっている今が全てだし、僕らのfripSideなので。じゃあ、昔の曲もいいものがそこにあるんだったら、つまみぐいしようかなという感じですね。それによってみんなも楽しんでくれたら、それが最高にハッピーなので。
――南條さん歌ってみていかがでしたか。
南條:これはfripSide的にいうとセルフカバーになるんですけど。私からしたら普通にカバー曲になるので、プレッシャーも少なからずあって。
――そうですよね。
南條:昔から聞き込んでくださってる方が、曲にまつわる思い出とかエピソードもたくさんあると思うので。そういうのも大事にしたいという気持ちを持ちつつ、新規の曲だとしたら私はどうやって歌うのかっていう気持ちでしたね。まあ、難しかったですけど(笑)。
――やっぱり前の印象ありますもんね。
八木沼:僕がね、ナンちゃんのために作った曲じゃないっていうのがでかいと思うんですよ。
――うん、そうですよね。南條さんにこういう風に歌ってもらう、っていう前提があるのが、fripSideの今の形のような気がしているので。
南條:うん。
八木沼:そこです。そこで一つハードルがありますよね。あとは、僕が若かったというのもあって、あんまり歌い手さんのことを、考えないで作っていた(笑)。
南條:あはははは(笑)。 でも、曲自体にファンの方がついてたりもするので、カバーしたことでお祭り感というか。
八木沼:そうだね。これやってくれるんだ!みたいな。
――ファン目線だとセルフカバーってありそうでなかったような気がしてて。
八木沼:そうなんですよね。やらないよりはやってた方がいいんじゃないっていう感じですよね。
――「やってもいいんじゃない?」っていうところまでfripSideが行ったんですかね。
八木沼:かもしれないですね。物理的には、やっぱり前任のボーカルがいた期間の長さを南條愛乃さんが突破しましたしね。
――では続いていきます。「Answer」。バラードになっていて、歌詞も切ない感じになっていますが。
八木沼:これがねえ、ナンちゃんがいい歌詞を書きましてねえ。今回。
南條:あはは(笑)。
――これ歌詞いいですよね。
南條:やったー。ありがとうございます!(笑)
――なんか表現力が上がっていますよね、南條さん。
南條:ほんとですか。
八木沼:いやーもうアーティストですよ。本当に。僕基本、彼女ダメなところないと思っているので。
南條:いやいやー!
南條愛乃
――これは歌詞を書いた背景だったりとか、どういう思いがあるんでしょう?
南條:私いままで歌詞書く時って、凹んだりしてても、最終的には前を向いて、希望を見据えてみたいな歌詞の書き方をずっとしてきたんですけど、これは希望を見出すところまでいけない歌詞っていうのを書いてみたんです。
――確かにそうですね。
南條:やっぱりそういう時って、誰にでもあると思いますし。そういう時、希望ばかり見据えられても、なんかなぁ、みたいな(笑)。
――あはは(笑)。
南條:実際私もそういう時ってありますし、その時に、聞いて寄り添えるじゃないですけど、辛いとかしんどいとか、先が見えないみたいな、そういうちょっとネガティブな感情にそっと寄り添える歌詞を書いてみたいなと思い立って。
――確かに、最後まで聞いても、なんとなく止まっている感じがしますよね。
南條:泣いてても明日は来てしまう。みたいなところの無情さだったりとか、切なさだったりとか、でもそんなしんどいっていっている中でも、周りにいる人からふとした時に、優しさをもらったりして、ちょっとホロってきてしまうなみたいな、その日常あるあるみたいなものを書きたいと思っていて。
――曲作りとしては、いかがですか。本アルバムで一番バラードですものね。
八木沼:そうですね。実はこういうの、一番僕は楽に作れる引き出しなんです。
――そうなんですね。
八木沼:でもコレのキモはピアノかな。気持ちよく弾けたんで。聞いて欲しいですね。
――そしてここでしっとりとしたところで、転じて。だいぶ印象が変わって「Two souls –toward the truth-」、これはTVアニメ『終わりのセラフ 名古屋決戦編」OPテーマ。です。
八木沼:僕この曲大好きです。
――先ほどのアルバムの流れで言えば、バラードが終わって、この曲の前奏でお客さんが立ち上がるみたいな流れが見えるというか。
八木沼:そうですね。閉じて、もう一回開くような感じ。
――改めてこの曲についてコメントをいただけたらと思いますが。
南條:そうですね。fripSideらしい疾走感とか、強さみたいなのがありつつも、新しいなと思いました。この曲を初めていただいた時に。なんかちょっと新境地なのかしらという感じがしましたね。
八木沼:そうだね。少しポップな部分も押し出してみた感じなんですけど。
――確かにちょっとポップさありますね。
八木沼:そうなんです。アニメの世界観もあったんですけど、結構fripSideってタイアップに関してはサウンドが男子っぽかったと思うんですよ。ちょっとフェミニンなイメージで曲に取り入れてみようと思ったらこうなったんです。
――サビなんかそうですよね。ちょっとフェミニンというか。
八木沼:すごい大変だったと思います。歌うのが。
南條:難しいです(笑)。難しいですね……。
――今回14曲ありますが、一番歌うのが難しかったのはどの曲なんでしょうか?
南條:全部難しいですよ!(笑)
八木沼:わはははは!(笑)
南條:まあ、でも、歌う回数が増えるごとに馴染んでくる感じがありますけどね。でもこれは特に難しいなって思いましたね。
インタビュー=加東岳史 撮影=岩間辰徳
後編ではトラック8から14までをレビュー。satが考える「英語詩」とは?なども語ってもらいました!
製品情報infinite synthesis 3【初回限定盤】
【CD+Blu-ray×2】GNCA-1490 \5,300(税別)
【CD+DVD×2】GNCA-1491 \4,800(税別)
【通常盤】
GNCA-1492 \3,000(税別)
<初回限定盤特典>(Blu-ray/DVD共通)
●クリアスリーブ&デジパック仕様
●Blu-ray(2枚)収録内容
・fripSide concert tour 2015 ~infinite synchronicity~
・fripSide オランダドキュメンタリー映像
・1983-schwarzesmarken-(IS3 version) PV
・PV Making
・SPOT(SPOT in Stores Now ver./SPOT Special ver.)
<封入特典>*初回生産分のみ(3タイプ共通)
fripSide LIVE TOUR 2016-2017 FINAL in Saitama Super Arena -Run for the 15th Anniversary- supported by animelo mix
チケット先行応募券(受付締切:2016.10.16(日)23:59)
■収録曲
1.2016 -Third cosmic velocity-
2.Luminize
(TVアニメ「フューチャーカード バディファイト ハンドレッド」OPテーマ)
3.1983-schwarzesmarken-(IS3 version)
4.determination
5.magicaride -version2016-
6. Answer
7.Two souls -toward the truth-
(TVアニメ「終わりのセラフ」名古屋決戦編OPテーマ)
8.white forces -IS3 edition-
9.crescendo -version2016-
10.Run into the light
11.Dry your tears
12.unlimited destiny
13.One and Only
14.Side by Side
全14曲収録
イベント情報fripSide concert tour 2016-2017 -infinite synthesis 3-supported by animelo mix
■2016/10/29(土)千葉 市原市市民会館大ホール(開場17:00/開演18:00)
■2016/11/13(日)北海道 千歳市民文化センター大ホール(開場17:00/開演18:00)
■2016/11/19(土)神奈川 神奈川県民ホール大ホール(開場17:00/開演18:00)
■2016/11/27(日)長野 キッセイ文化ホール中ホール(開場17:00/開演18:00)
■2016/12/04(日)大阪 オリックス劇場(開場17:00/開演18:00)
■2016/12/11(日)広島 広島上野学園ホール(開場17:00/18:00)
■2016/12/17(土)岩手 盛岡市民文化ホール大ホール(開場17:00/開演18:00)
■2016/12/18(日)宮城 仙台サンプラザホール(開場17:00/開演18:00)
■2016/12/24(土)福岡 福岡国際会議場メインホール(開場17:00/開演18:00)
■2017/01/07(土)愛知 名古屋国際会議場センチュリーホール(開場17:00/開演18:00)
■2017/01/21(土)岡山 倉敷市民会館(開場17:00/開演18:00)
■2017/02/19(日)福島 南相馬市民文化会館(開場17:00/開演18:00)
■2017/02/26(日)新潟 新潟県民会館大ホール(開場17:00/開演18:00)
■2017/03/05(日)石川 本多の森ホール (開場17:00/開演18:00)
イベント情報fripSide LIVE TOUR 2016 - 2017 FINAL in Saitama Super Arena - Run for The 15th Anniversary - supported by animelo mix
日時:2017年3月18日(土) 開場:14:00 開演:16:00
会場:さいたまスーパーアリーナ
出演者:fripSide
チケット料金:通常席 前売8,640円(税込)、当日 9,180円(税込)
e+プレオーダー
<お申込み期間:2016/11/16(水)12:00~2016/11/22(火)23:59>
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