ダンス新時代 〜職業「プロダンサー
」として生きる〜 dip BATTLES「KEN
SEI」

4年目を迎えた世界最高峰のプロダンスリーグ「第一生命 D.LEAGUE」。その中で活躍するDリーガー達の激闘の日々や苦悩、そして思考や価値観に迫る“ダンス新時代 〜職業「プロダンサー」として生きる〜”をDewsが独占取材。D.LEAGUE23-24シーズンを駆け抜ける全13チーム26名にフォーカスします。今回はキッズ時代から九州で頭角を現し22歳にしてチームのディレクターに大抜擢をされたKENSEI氏に迫る。
まずはじめに、ダンスのキャリアについて教えてください。
幼稚園からダンスを始めダンス歴は14年になります。途中、中学の3年間はバレーボールに打ち込んでいたのでダンスは辞めていました。高校でダンスを再開するのですが、そのきっかけは同郷のKOSÉ 8ROCKSのメンバーのTaichiやYU-KI、初代ディレクターのISSEIくんにバトルに誘われたことでした。彼らとは小学校の頃から仲が良く、クルーバトルに一緒に出たのですが、そこで僕自身が全く良い結果が出せず、とても悔しい思いをしたんですよね。その時に、ダンスに対して再熱し今に至ります。
現在もバトルに多く出場されていますが、D.LEAGUEのようなショーケースと比べて意識の違いはありますか?
“自分以外の人のことを考えるか”が違う気がします。誰に届けるのか。見ている人にどういう気持ちになってほしいのかはD.LEAGUEの作品づくりに必要な要素だと思います。僕は普段バトルのフィールドで闘うことが多いので、その違いを最も感じます。バトルってゲーム的な要素もとても大きくて、勝ちを意識し過ぎると良い結果に繋がらないことが多いです。戦い方とマインドは全く違うと思います。
今シーズンよりディレクターに就任されたと思いますが、その時の心境を教えてください。
初めてお話をいただいたときは自分だけでは決めきれないと思い、まず最初に周りにいる方々に相談をしました。人生において重大な分かれ道になると思い、親や他のディレクターの方々などに相談をし、その上で自分がディレクターになると決意することができたのは、チームオーナーの冨田社長の存在でした。僕が福岡から東京に上京して2年間ダンスだけで生きてこれたのは、Dリーガーとして活動をさせていただいたおかげです。dip BATTLESの社長とお話をする中で恩返しがしたいと思い決めました。
D.LEAGUEのステージと、他のステージでの踊り方や作品づくりにおいて意識の違いはありますか?
違くはしたくないと思っていました。というのも、アンダーグラウンドとD.LEAGUEのショーケースの乖離がそもそもあると思っていたので「それぞれに併せたものを作る必要があるのか?」と思っていました。「良いものは良い」と思うので、作品の作り方はなるべくどのステージだろうが、変えないように意識をしています。とはいえ、D.LEAGUEは毎回勝つことも意識しなければならないので、めちゃくちゃ葛藤があります。人に伝わるものと自分が良いとするものが同じとは限らない。メンバーや外部の方など色々な方の意見も聞きながら、調整するようにしています。特に今シーズンは新体制なので、dip BATTLESはメンバーそれぞれにも作品づくりを任せています。新体制になり、今のフェーズは誰がどれだけのものが作れるのかを測っている部分があります。作品のクオリティもそうなのですが、やってみないとわからないことってあると思うんです。作品作りの苦悩や責任というか。そういうものをメンバーがそれぞれ実感してほしいという想いも込めて、メンバーにも任せています。このチームは、オーディションなども行い地方からも集まった“初めまして”のチームです。野球やサッカーなど、いわゆるスポーツのプロチームはそういう成り立ちなわけで。誰がどのくらい何のスキルを持ち合わせているのかや、得意分野すらもお互いが自己紹介をしあっているような状況です。なので、中長期的に見た先を考え今はチーム作りを優先しています。
dip BATTLESのメンバーの方々のジャンルは多岐に渡ると思いますが、どのような色のあるチームだと思いますか?
そうですね、他のチームに比べると得意とするジャンルが異なるダンサーが多いチームだと思います。作品づくりにおいても毎回メンバーを変えて任せているので、基本的に作品ごとにジャンルやテイストが変わって見えると思います。ただ、正直今は迷っています。本当は「dip BATTLESはこう!」という軸があったのですが、それがラウンド3を終えた時点で最下位となり「これで良いのか?」と迷いが生じ、今は素直に迷う段階だと思いました。dip BATTLESの色を見つけるために、良し悪しを判断するために、色々と模索をしているのが本音です。この時期って結構苦しいのですが、そのステップを踏まずに大衆寄りに合わせたりすると、クリエイターにとってはマイナスと感じるんですよね。自分たちが良いものを自信を持って見ていただいて、それについて振り返りをすることが大事なことだと思います。なので、今はdip BATTLESのメンバーそれぞれが“自分が想う良いもの”を世に出していき、修正を重ねる段階と考えトライアルを重ねています。ディレクターの色に染めるのではなく、個々のメンバーの力量や個性をじっくりと見た上で、色を見つけていきたいですね。パズルのピースを少しずつ埋めている感覚で、まだ3分の1くらいに思っています。
Dリーガーになり、ダンスの向き合い方は変わりましたか?
D.LEAGUEに参加するようになり、生活も全てが一新されました。ディレクターになり、時間の使い方も変わりました。選手の時は練習も含めて自分が踊る時間が多いのですが、ディレクターになってからは頭を使う時間の方が多くなりました。ディレクターとして全振りする環境を整えて勝負に出なければ、と思っています。
最後にD.LEAGUEを応援してくださる方々に一言お願いします。
D.LEAGUEにいつも足を運んでくださる方へ思うことがあります。最後のお見送りの場などで皆さんのお顔を見ながらD.LEAGUEが成立しているのだなぁと思う一方で、まだまだ僕たちのチームは貢献ができていないという不甲斐なさを痛感しています。僕たちのチームのファンになってくれる方々に一人でも多く出会うためにも、気合いを入れ直して頑張っていきたいと思っています。そしてどんな状況でも、ずっと応援してくださっている方々に本当に感謝をしています。正直、今はまだ全然何も返すことができていないのですが、僕たちは全く諦めていません。これまでいただいた多くの方々の恩返しも含めて、実直に前に進んでいきたいと思っています。
KENSEI プロフィール

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