【May’n インタビュー】
たくさんのMay’nを
ジャンルレスに見せていくのがテーマ
『Prismverse』を総括したり、
20周年に向けての宣言をしたかった
ボーナストラックとして収録されている「AMICITIA -2024 ver.-」は、どういう想いから収録することに?
もともと「AMICITIA」は2017年に発売したアルバム『PEACE of SMILE』のおまけ曲みたいなかたちでリリースされたんですけど、その後、ワンマンだけでなくイベントとかでもずっと歌ってきて、そのたびにMay’nのライヴが初めての人にも絶対に届く楽曲だと実感してきた曲なんです。ただ、この曲は配信がされていなかったので、イベントで気に入ってくれたとしてもなかなか辿り着けない曲になってしまっていたんです。なので、もっと多くの場所で歌いたい、もっとたくさんの人にきちんと届けたいという想いから、新録して収録させてもらいました。
ライヴになったらオーディエンスと一緒に歌える曲ですよね。
そうですね。作った当初からライヴで盛り上がるナンバーでしたが、リリースから7年経ったことで、ライヴで育ててきたという感覚も大きくなったんです。曲終わりではみんなが声を上げてくれるから、私も好き勝手にフェイクをするのが恒例になっていて、それも今回の音源では入れさせていただきました。オリジナルの音源にはフェイクは入っていないけれど、私たちがライヴで育ててきた「AMICITIA」なんだと、そこで伝えたかったんです。
しかも、海外も回る今回のツアータイトルは“Prismverse”で、アルバムと同じタイトルでツアーをするのは初めてだとか。
今までのツアーでは“昔の曲もたくさん歌いたい! アルバムを再構築してライヴならではのモノを伝えたい!”という想いもあったんですけど、今回はアルバムの制作とツアーの準備が同時進行だったので、“一番伝えたいこと=アルバムのメッセージ”だったんです。とにかく「カラフルスコープ」や「To the Prismverse」に込めた想いを掲げながら全国を回りたかったので、今回は絶対に“Prismverse”という名でツアーを回りたかったんですね。本当にカラフルなアルバムなので、セットリストもすごく作りやすかったですし、もちろんアルバムには入っていない楽曲も歌うので、よりカラフルな空間をお届けしたいです。
CD+Blu-ray盤には昨年12月24日に行なわれたクリスマスライヴの模様も収録されているのでツアーへの期待も余計に高まりそうですが、ライヴから2カ月足らずで映像化って早すぎません?
それも「To the Prismverse」の話と同じで、ステージで音楽を届けるという意味では、毎回最新のライヴが最高だし、そうでなきゃいけないと思っているんです。その想いにチームのみなさんも賛同してくれて、制作的には本当に大変なスケジュールだったんですが、収録が実現しました。年末年始休む間もなく編集に取り組んで、年明けに実家で映像チェックしましたね(笑)。
そこにも“最新が最高”というポリシーが反映されているんですね。
もちろんファンの方が“あのライヴが一番好き”とかって言ってくれるのには感謝しかないんですが、どれだけ音楽をやっていても自分としては“常に進んでいかなきゃいけない! 進化しなきゃいけない!”という想いが強いんですね。毎年やっているツアーでも自分自身が届ける想いの濃さとか音楽のパワーみたいなものは、確実に最高のものを届けていかなきゃいけない。ただ、それって常に何かをプラスし続けるってことだけじゃなくて、例えば「ダイアモンド クレバス」みたいに500回くらい歌ってきた曲でも、歌えば歌うほど発見があるんです。時にはマイナスが必要なこともあるし、音楽を届ける上での歌い方って本当に終わりがないんですよね。なので、このアルバムもレコーディングの時点で確実に完成された歌が録れていますが、ツアーではもっと良い歌になっていなきゃいけないし、そうなるはずだと信じています。
取材:清水素子