INTERVIEW / 水曜日のカンパネラ ya
hyelとのコラボ曲をリリースした水曜
日のカンパネラ。海外ツアーやコラボ
など、グローバルな活躍の裏側を訊い

SHIBUYA TSUTYA内WIRED TOKYO1999にて、11月19日(月)までの期間限定で展開中の Airbnb Cafe(https://spincoaster.com/news/airbnb-cafe-at-wired-tokyo-1999-and-travel-music-night-supported-by-spincoaster) 。この企画と連動する形で、Spincoasterではツアーや制作などの遠征の宿泊先として、Airbnbを利用するアーティストへのインタビューを掲載する。その第一弾はアジア、欧米と活動の幅を海外に広げる水曜日のカンパネラ。香港、台北そして中国エリア4会場をワンマンで周った“ガラパゴス・ツアー”から帰国直後のコムアイにインタビューを敢行した。
本日11月2日(金)に配信リリースされたyahyelとの共作曲「生きろ。」についてはもちろん、海外ツアーの話や、海外アーティストとのコラボについてなど、国内外問わずグローバルに活躍する“水曜日のカンパネラのいま”を紐解くべく、様々な話しを伺った。
――中国と日本、それぞれ4都市を回った“ガラパゴス・ツアー”はいかがでしたか?
コムアイ:とにかく「中国最高!」って感じでした。チャイナ・ロスです(笑)。街がエネルギーに満ち溢れていて。30代、40代の大人の人たちもすごい元気で。10代、20代の人たちと同じような気持ちで未来に向かって生きているって感じがしました。何かを作っていこうっていう気概もあるし、いっぱい遊ぶし。クラブもアンダーグラウンドなシーンもしっかりあって。街並みも新しい建物と古い建物が共存していてSF感があっておもしろかったです。ご飯もすごく美味しかったし。
――ご自身のライブはいかがでしたか?
コムアイ:北京と上海は特にガッチリとハマった感じがしました。ライブは私のコンディション次第なので、お客さんがどうのという話ではないんですけど、すごくやりやすかったです。北京の女の子たちは美人な子が本当に多くて。黒髪で、眉毛が細くて、日本の80〜90年代みたいな感じで超可愛かったです。上海の方がカラフルでファッションに敏感そうな人が多かったですね。
――今回、中国でのライブは2回目ですよね。
コムアイ:今年4月にも中国の“Strawberry Music Festival”というフェスに出させてもらったんですけど、フェスだとライブ中にお客さんのところに行けなくて。中国ツアーのコーディネーターにも、「あなたらしくなかったね」と言われてしまいました。その時は中国で自分らしいパフォーマンスをすることの難しさを痛感したんですけど、今回はちゃんとリベンジできてよかったです。
――ステージ上に照明さんがいて、人力で光を反射させて当てるスタイルでパフォーマンスされたのでしょうか?
コムアイ:そうです。光を出す人と、反射させる人、あとは卓の人、照明だけで絶対に3人はいるんですよ。あと美術さんが2人いて、音響さんも3人いるんです。ウチはチームが多くて。ステージにはひとりしかいないのに(笑)。でも、中国は渡航費も高くないし、4ヶ所も組めたので、実りのあるツアーになりました。まだまだお客さんも増やせる気がしました。
――海外でのライブを重ねていく中で、日本との差異などを感じることはありますか?
コムアイ:どこの国だからとか、お客さんに合わせる必要はないんだなって思いました。まずは「自分はこういう人間です!」ということをさらけ出して、裸でぶつかっていくことが大事なんだなって。そうすると、どこの国の人もみんなおもしろがってくれるんです。そのポイントやリアクションは毎回違ったりするんですが、それは私が気にすることではなくて。今ではその反応の違いを楽しめるようになってきました。あと、海外だとカッコつけたり自分を隠したりしたら、何もコミュニケーションが生まれないんだなって思います。日本だと何ていうか、「隠すことの奥ゆかしさ」みたいなものもあるじゃないですか? そしてお客さんもそれを読み取る力があるんですけど、海外では「そんなことより、おまえは誰なんだよ!?」っていう感じだと思います。
――昨年、香港で開催された“Clockenflap Festival”でのライブを拝見しましたが、あの日のライブ・パフォーマンスはとてもクオリティが高かったように思いました。お客さんも沢山集まっていましたし、日本のイベントよりもずっと盛り上がっていて、感動を覚えたんです。「水曜日のカンパネラはアジアのスターになれるね」なんて話もしていたくらいで。
コムアイ:お~嬉しいです。確かに、初めてフェスでお客さんと合致したなって感じたのが“Clockenflap Festival”でした。あのフェスに出て、未来が明るくなったと言うか、可能性があるなって思って。それは私だけでなくクルーのみんなも感じていて。それが今回のツアーにも繋がったし、あのフェスは大きなターニング・ポイントになっていますね。香港は西洋人も中東圏の人もいてインターナショナルでおもしろいですよね。今回のツアーも一発目が香港で、いいスタートが切れたなって思いました。
――海外でのパフォーマンスを経た上で、改めて日本でのパフォーマンスにおいて感じることは?
コムアイ:日本でのライブの方が難しいというか、かなり神経を使いますね。海外でいっぱいライブした後に日本でやる時は特に危険で(笑)。「あれ?」ってなることも少なくありません。針に意図を通すくらい丁寧にやれば「バンっ!」と盛り上がるんですけど。日本のお客さんは本当によく見ているし繊細ですね。
――LAで開催される“CAMP FLOG GNAW CARNIVAL 2017”に出演した時に、Airbnb(以下:エアビー)を使って宿泊したそうですね。
コムアイ:はい。LAはホテルがすごく高いんです。アメリカとかヨーロッパのツアーは予算が厳しくて、渡航費はどうしようもないので、せめて宿泊先だけでも安い所を探そうってことで。ウチはクルーも多いので、本当に助かりましたね。あと、フェス会場の近くに泊まれたのも嬉しかったです。ホテルって、駅前とかに密集しがちじゃないですか? でも、フェス会場って結構駅から離れていることも多いし。そういう時でも、柔軟にエリアを選べるので便利だな~と思いました。
――確かに。本当に色々な場所にありますよね。
コムアイ:今回は(鍵の受け渡しなどで)ホストさんとは会わないシステムの所だったのですが、6人ぐらいでひとつの物件に泊まって、あとの5人くらいはまた別の物件で、という感じで。夜遊びして朝帰りしたら、まだみんなお酒を飲んでいて朝帰りがバレてしまったり(笑)。またそこに加わって一緒に飲んだり。
――ホテルだと、それぞれ個室になりがちですもんね。
コムアイ:そうですね。ホテルだと外で遊ぶしかなくて。誰かが買ってきた現地の変なお菓子をみんなで食べて騒いだりとか、現地の色々なお酒を回し飲みしたり、リビングで色々できるのでエアビーでみんなで泊まるのは楽しいですね。あと、その時に友達が借りていたエアビーの物件にも遊びに行ったんですが、屋上に大きなチェスのオブジェがあったりして、そこもすごく素敵でしたね。
――ちなみに日本でエアビーを使ったことはありますか?
コムアイ:日本でもありますよ。疲れた時とかに何もしないけど泊まったり(笑)。あと、東京に遊びに来た友達が借りている家に行った時はビックリしましたね。まず家がめちゃくちゃ大きくて、しかも地下室がお茶室になってたりして。変な物件もいっぱいあるし、東京のエアビーも楽しいですよね。
――yahyelとのコラボレーション・ソング「生きろ。」が配信限定リリースされます。今回のコラボの経緯を教えてもらえますか?
コムアイ:これは今までの企画の中で一番シンプルというか、本当にただ一緒に作っただけっていう感じで(笑)。昨年の後半ぐらいから、自分の感じていることや表現したいことを言葉やメロディとしてアウトプットするということをやりたいなと思っていたんです。yahyelは年齢も近いし大学生の頃から知り合いで、今でもプライベートで仲がいいんですけど、ちょうどそのタイミングでガイくん(池貝峻)に会った時、「一緒に何かやらない?」って言われて。他の人の楽曲制作のプロセスとかも見れたらおもしろいだろうなと思って、やってみることにしました。
――サウンド面もそうですが、リリックもこれまでの水曜日のカンパネラの作品とは大きく異なるテイストを感じさせます。
コムアイ:4、5年くらい前に、新宿駅のホームで見た光景をすごく鮮明に覚えていて、その時のことを歌にしています。人間はいつでも死ねるし、突然病気にかかって倒れるかもしれない。自分がいつ死ぬかなんてわからないし、考えても無駄だなとその時強く思ったんです。みんな崖っぷちを走っているんだなって。でも、崖っぷちにいることを自覚したら走れるなと思ったんです。死ぬのはなんとなく嫌なこと、怖いことだと捉えていたんですが、その形がわかって安心した、みたいな。
――制作のプロセスはどのような感じで進行したのでしょうか?
コムアイ:私やyahyelのみんなが感じていることとかを音にしていったっていう感じです。トラックをもらって、私が歌詞を乗っけて、足りない部分をガイくんが英詞で足して、ミルくん(篠田ミル)がビートを少し変えて、最後にモンちゃん(MONJOE)が仕上げてっていう感じでした。話しを始めたのは去年の12月にRyan Hemsworthの来日公演を観に行った時なので、1年くらいかかっちゃいましたね。単に私が寝かせすぎちゃったんですけど(笑)。すごいみんな気に入っているし、事務所やレーベルからのプレッシャーもないし、タイアップとか何かをするために作った曲でもないので、すごく純粋な作品なんですよね。なので「できちゃったんだけど、どうする?」って、今事務所とかレーベルが宣伝に困っています(笑)。
――今回はフィーチャリングという形ではなく、完全に連名でのリリースですよね。
コムアイ:そうなんです。配信だからフィーチャリングという形にするのではなくて、連名にして両方のアーティスト・ページに表示されることの方が重要かなって思って。どっちがオーナーとかは本当にどうでもよくて。
――ライブやMVなどの展開は考えていますか?
コムアイ:すでにyahyelとのライブでは2回やらせてもらっていて、私のライブでも今度やりたいなと思っています。MVも撮りたいんで、今、頑張ってスポンサーを探しています(笑)。でも、テーマが重いので難しくて……。私、スポンサーさんに言われたら歌詞とか変えちゃうと思うんで、先に作っておいてよかったですね(笑)。
――水曜日のカンパネラはこれまでにも海外アーティストとのコラボも色々とやられていますよね。
コムアイ:そうなんです。実はまだ世に出ていないものもいくつかあって。
――向こうからオファーが来ることが多いのでしょうか?
コムアイ:来ることのことの方が多いですかね。CHVRCESも向こうから声をかけてくれましたし。たぶん、「日本のアーティストとコラボしたい」っていうアイディアが出た時に、誰かが紹介してくれたんだと思います。Lauren(Vo./Lauren Mayberry)が連絡してくれて。
――海外のアーティストの方は水曜日のカンパネラやコムアイさんの歌や音楽をどう捉えていると思いますか?
コムアイ:パフォーマンスも含めた、私という“人間”を見ているように感じます。「この人はどういうことをしたくて、どんなことを伝えたいんだろう」っていう見方をされている気がしますね。あとは、「水曜日のカンパネラのバイブスをどんな風にこの曲に入れてくれるか?」みたいなことを期待して呼んでくれているんだと思います。
――なるほど。確かに、歌詞の意味とかおもしろ味とかは、理解し難いはずですもんね。
コムアイ:そうそう。歌詞の音のおもしろさとか響きを気に入ってくれる人は多いですけどね。Ryanが「マッチ売りの少女」っていう曲の「肉肉肉肉~」ってとこが好きとか言っていて(笑)。でも、もうそろそろ奇を衒わず英語で書いてもいんじゃないかって思うこともあって、コラボの時とかに試しているんですが難しいですね。やっぱり日本語が好きです。
――なるほど。水曜日のカンパネラは今後ますます海外での活動を本格化させることになると思うのですが、海外での活動において目指していることや何か具体的な展望があれば教えてください。
コムアイ:たぶん、海外の人にとって、水曜日のカンパネラはちょうどいい「気持ち悪さ」なんじゃないかなって思うんです。特にアジアの人って、妖怪とか魔界っぽい感覚が身近というか。神様もオバケも色々な種類があるし、タコやイカみたいな、欧米の人からするとグロテスクな食べ物も食べる。そういう意味で、アジアの人はテクスチャーが豊かですよね。私のライブではそういった日本とかアジアのお祭りで発生する、よくわからないトランス状態みたいなもの再現したいと思っていて、アジアでやる時はその「何かよくわからないけど、ちょっとわかる」っていう感覚を楽しんでもらいたいと思っています。逆に欧米圏でやる時は、まだしばらくは「ワオ!」「エキゾチック!」って感じだと思います(笑)。その違いもおもしろいなと思っているので、これからもブレずにこのままやっていけたらな、と思っています。
【リリース情報】

水曜日のカンパネラ × yahyel 『生きろ。』

Release Date:2018.11.02 (Fri.)
Label:Warner Music Japan
Tracklist:
1. 生きろ。
※配信限定シングル
【イベント情報】
ガラパゴス・ツアー

日時:2018年11月7日(水) START 19:30

会場:東京 STUDIO COAST
料金:前売り ¥4500
お問い合わせ先:ディスクガレージ 050-5533-0888 (平日12:00~19:00)

日時:2018年11月10日(土) START 18:00

会場:北海道 サッポロファクトリーホール
料金:前売り ¥4500
お問い合わせ先:WESS 011-614-9999

日時:2018年11月30日(金) START 19:00

会場:大阪 味園ユニバース
料金:前売り ¥4500
お問い合わせ先:清水音泉 06-6357-3666

日時:2018年12月8日(土) START 18:00

会場:沖縄県・ナムラホール
料金:前売り ¥4500
お問い合わせ先:ピーエムエージェンシー 098-898-1331
■ 水曜日のカンパネラオフィシャル・サイト(http://www.wed-camp.com/)
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“Airbnb Cafe“

期間:2018年10月26日(金)~11月19日(月)
営業時間:10:00~26:00
(ランチタイム:10:00~17:00、ラストオーダー:フード23:00、ドリンク25:00)
場所:東京・渋谷 WIRED TOKYO 1999

Airbnbとは

Airbnb(エアビーアンドビー)は、世界中の「ゲスト(旅行者)」と空いている家や部屋を宿泊場所として提供する「ホスト」をつなぐプラッフォーム。
世界各地のユニークな宿泊施設に泊まれたり、現地の人の家に泊まって暮らすように旅ができるAirbnbは、世界191か国以上、累計4億人以上が利用している。
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Travel music Night supported by Spincoaster”
会場:WIRED TOKYO 1999

2018年10月26日(金) 20:00〜23:00

DJ:
Seiho -DJ Set- (21:00〜22:00)
Spincoaster Crew

2018年11月2日(金) 20:00〜23:00

DJ:
okadada (21:00〜22:00)
Spincoaster Crew

2018年11月9日(金) 20:00〜23:00

DJ:
Licaxxx (21:00〜22:00)
Spincoaster Crew

2018年11月16日(金) 21:00〜24:00

DJ:
YonYon (23:00〜24:00)
Spincoaster Crew
※エントランスフリーですが店舗営業中のためなるべくお席をご利用下さい。
※プログラムは当日変更になる可能性がございます。

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