【GLIM SPANKY ライヴレポート】
『GLIM SPANKY LIVE AT 日本武道館』
2018年5月12日 at 日本武道館
壮観。“武道館が小さく感じられた”という表現はよく耳にするが、この夜のGLIM SPANKYはその常套句とは真逆に、武道館そのものを壮大な景色が観える場所に変え、果てなく美しく広がる“ロック”ミュージックスケープを作り出していた。
光が放つ色で紫に染め上げられたステージから幕開けに鳴り響いたのは「アイスタンドアローン」。ずっしりとした重厚なサウンドが、魂を突き上げるように揺さぶり続ける。後のMCで松尾レミ(Vo&Gu)が“こんなにロックが好きな友達たちが集まったから、今日はそういうロックを楽しむ夜にしましょうよ”と語っていたが、まさに“そういうロック”の象徴が1曲目から次々と繰り出され、オーディエンスの心の高鳴りは止まることを知らず。
また、音楽と映像の相乗効果が素晴らしく、サイケデリックでドラッギーな映像はナチュラルなトリップ感をもたらし、“サマー・オブ・ラブ”(※1)の3rdシーズンを迎えたかのような幸福な感覚に浸らせてくれた。そして、それはこのバンドだからこそ生み出せる時空間だ。
沈みかけた気持ちを喚起させる。闇に希望を上書きする。理想を現実の音で鳴らし、新しい世界へと連れて行く。…そのクライマックスは鮮やかな覚醒感があった「リアル鬼ごっこ」。この楽曲での松尾の歌声と亀本寛貴(Gu)が奏でる旋律の突き抜け方は、震えるほど素晴らしいパワーがあふれていたから。そして、ラストの「Gypsy」ーー《分かっているのは君たちだけ》と最後のフレーズが変えて歌われた瞬間、武道館の景色は輝くような愛でいっぱいになっていた。
撮影:HAJIME KAMIIISAKA/取材:竹内美保
1967年夏にアメリカ合衆国を中心に巻き起こったヒッピー・ムーブメント。そして、80年代後半にはイギリスでダンスミュージックのムーブメントが起こり、“サマー・オブ・ラブ”の再来という意味で“セカンド・サマー・オブ・ラブ”と呼ばれた。
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