【宮野真守】どんなに離れていても想
    いはつながる―― 物語とリアルを結
    ぶ、大きな愛

    13thシングル「HOW CLOSE YOU ARE」は、自身が主演するTVアニメシリーズ『亜人』のエンディングテーマ。この壮大なバラードには、あまりにも運命的な成り立ちがあった。“僕にとって宝物と言っていいくらい大事な曲”と語る、その理由とは?
    取材:清水素子

    LAでサプライズがあったんです。“君の
    ために曲を作ったよ”って

    ご自身が主人公の永井圭の声を担当されているTVシリーズ『亜人』のエンディングテーマを担当すると決まった時、率直なところ、どんなふうに思われました?

    すごくびっくりして、すごく嬉しかったです。すでにアフレコは始まっていたので、この壮大な世界観を僕が楽曲でしっかり描けるんだろうか?と、最初は悩んだのも事実です。“亜人=死なない新人類”という作品テーマが、とにかく衝撃的すぎるじゃないですか。

    ええ。その亜人である主人公を取り巻く物語も、かなりスケールの大きなものですからね。

    そうなんです。亜人を取り巻く環境は政府や国家にまでかかわるもので…。そんな状況に陥ったら、人はどんな事態に直面して、どんな感情に苛まれるのか?という、非常にリアルなところも描いているんですよね。そんな壮大な物語の最後に流れる楽曲として、どういうものが相応しいだろうか? 主人公を演じている自分だからこそ、込められる想いがあるんじゃないだろうか?と考えて制作に臨んだ今回の「HOW CLOSE YOU ARE」には、実はとても運命的な経緯があるんですよ。

    その運命的な経緯とは?

    デビューからお世話になっているJin Nakamuraさんに作曲/編曲をしていただいた「Magic」(2014年11月発売シングル「BREAK IT!」収録)という曲をレコーディングする時に、初めてアメリカで制作をする機会をいただいたんですね。以前、「Happy Happy Birthday」(2014年2月発売シングル「NEW ORDER」収録)という曲を、Jinさんと一緒に作曲/編曲していただいたCJ VANSTONさんにも初めてお会いできるという記念すべき渡米で、慣れ親しんだ地から離れての挑戦や不安、恐怖感やプレッシャーの中にもワクワクを携えてLAに到着したら…おふたりがサプライズで曲を作って待っていてくれてたんですよ!

    ええ!! それ、カッコ良すぎません?

    ズルいですよね(笑)。“君のために曲を作ったよ”っていうシチュエーションを生まれて初めて経験して、そこで贈っていただいたのが、実はこの原曲となる「HOW CLOSE YOU ARE」だったんです。タイトルの通り、“どんなに離れていても君は僕の側に、いる”という意味を持った全英詞のラブバラードで、僕とCJさんの関係もそうだし、大切なものたちから離れて異国にやってきた僕自身の戦いを讃えてくれた歌でもあるんです。それがとても嬉しくて。でも、サプライズでいただいたものだからリリースの予定もないままで。いつかきちんと歌わせていただきたいと大事にしていたところ、エンディングテーマのお話をいただいた時に、ここに『亜人』の世界観を融合したら素敵なんじゃないか?と思ったんです。

    そう思った理由は? 死なない新人類を扱った物語にラブバラードは、正直あまり重ならない気もしますけれど。

    CJさんが書いてくださった歌詞の奥底には男女の恋愛だけでなく、例えば絆だったり、大事な人に向ける想いだったり、もっと大きな愛のかたちが含まれていたんです。一方で『亜人』の物語の中でも、大事な人と会えなかったり、遠く離れて辛い立場にあったりといった人間関係や心情が、非常に丁寧に描かれているんですよね。生きていく上で人間がどう感じるか?とか、大切な人へどういった想いを馳せるのか?といったところが、実は物語の肝であったりもするんです。なので、人間の持つ普遍的な愛のかたちに、そういったキャラクターたちの愛のかたちを重ねて表現できればすごく素敵な楽曲になるんじゃないかと。それで原曲の英詞を一旦和訳して、そこに『亜人』の物語や、演じた上での想い…そして、この曲に込めたい想いを再度お伝えして制作したのが、今回リリースされる「HOW CLOSE YOU ARE」なんです。Jinさんが“これは大切なものたちから離れた場所で、LAで歌うことに意味がある曲だから”と勧めてくださったので、レコーディングも急遽LAで行ないました。同時に、LAという場所を1回切りの記念にしちゃいけない、ちゃんと戦える場所にしてほしいという言葉もいただいて…。そういった歌詞ともシンクロするストーリーを、Jinさんはすごく大事にしてくださっていたんですよね。

    つまり、歌詞は『亜人』の物語、そして宮野さん自身のストーリーと、全てが重なって生まれた作品であるということですね。確かに運命的!

    そうなんです。そして、僕が演じている永井圭の想いだけでなく、キャラクターを通して自分の中に染み込んだ世界観を踏まえ、イメージを膨らませて物語に登場するさまざまな人物に想いを馳せながら、自分がしっかり人として、どういう想いを抱けるか? 宮野真守が愛のかたちをどう表現できるか?が一番重要でした。やっぱり役者の仕事をしていると、人の感情というものについていろいろ考えるんですよね。そこで物理的なものだけじゃない心の距離感の存在にも気付かされるし、心のつながりとか人の心ってほんとに奥深いなぁって痛感するんです。僕自身、東京からLAという物理的な距離を経た時に、やっぱり引き締まる想いがあったりもして。そういった意味でも、いろんなチャレンジができた作品ですし、一歩踏み出すことによって新たに見えてくるものがあるってことを、また改めて実感させていただきました。

    LAでのレコーディングは、やはり日本と違いました?

    違いましたね。もちろんテクニカル面での違いもたくさんありましたけど、一番僕が感じたのは、やっぱり心情面で。先ほどお話ししたような向こうで歌う意味だったり、失敗できない状況だったり…滞在時間が限られている中でのレコーディングだから、いつもと違う緊張感がありました。そういうものと戦ったことは、成長する上で非常に意味のあるもので、いろんな経緯があって成り立ちが運命的だった分、出来上がった時にはすごく達成感がありました。録り終えてすぐにTDしていただいたものを現地で聴いた時にも、グッとくるものがあって…。その直後に「FRONTIER」(2015年9月発売アルバムの表題曲)のMV撮影でドライレイクに行ったんですけど、1日かけてシューティングして、撮影後の夜には何もない荒野に星空だけがバーッ!と広がる光景を見ることができたんです。その時だけは「FRONTIER」じゃなく、「HOW CLOSE YOU ARE」が頭の中に流れました。あまりにも曲にぴったりの情景で…。それくらい感動的な体験だったんですよ。

    いや、素晴らしく思い出に残る作品になりましたね。ちなみに「HOW CLOSE YOU ARE」のMVはどんな仕上がりに?

    MVでは、男女の愛や想いの心情をフューチャーしたものをアーティスティックに表現しています。女性のコンテンポラリーダンサーに入っていただき、心情を僕は歌で、ダンサーの女性はエモーショナルなダンスで表現するという構成です。心情を抽象化した大人な雰囲気のMVなんですけど、静かな中にグッと想いが込み上げてきて、撮影では初めて泣いてしまいました。ちょっと瞳が潤んだ感じも、観ていただいたら分かると思います。

    タイアップだとか楽曲の経緯を切り離しても、純粋に良い曲ですからね。聴いていると胸が熱くなるというか。

    CJさんと一緒に作っていることもあって、よりロックバラード的な方向性が強いんですよね。後半に向けてどんどんエモーショナルになっていく力強さのある曲だから、しっとり切ないだけじゃない。シングルの表題曲でバラードを歌っているのも4thシングル以来だったので、嬉しかったです。

    OKMusic編集部

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