O型の血液が誰にでも輸血できる理由
- 型の違う輸血をするとどうなる?

有名なABO血液型のほかにも実は数十種類もの血液型がある
自己紹介をする時に、「血液型は~型です」と言う人も多いことでしょう。実は、人の血液型は、ABO血液型のほかに数十種類もあります。でも、ABO型がよく知られているのは、医学的に特に重要な情報だから。A型の人に、B型や AB型を輸血すると、凝集が起きてしまうのです。
血液型は赤血球の膜が持つ目印(抗原)で決まる
血液は赤い液体ではありません。黄色の液体(血しょう)の中に沢山の血液細胞が含まれているのです。血液細胞のほとんどは赤い色をした赤血球。それで血液は赤く見えます。血液型は、赤血球の細胞膜にある目印(抗原)で決まります。
A抗原を持っているのが A型、 B抗原を持っているのが B型、A抗原とB抗原の両方を持っているのがAB型、どの抗原も持っていないのがO型です。
この抗原に対して、血しょう中には、自分と異なる抗原が体の中に侵入した時に反応する抗体があります。A型の血しょう中には、B抗原に反応する抗B抗体、B型の血しょう中にはA抗原に反応する抗A抗体があります。AB型にはどちらの抗体もありませんが、O型には抗A抗体と抗B抗体の両方があります。
A型に抗B抗体が、B型に抗A抗体ができる理由
通常、抗体は自分と異なる抗原が体に侵入した時に初めてリンパ球によって作り出されます。では、なぜB抗原が体の中に侵入したことのないA型の人が自然に抗B抗体を持つようになるのでしょうか? それは、B抗原に似た抗原は自然界にたくさんあるから。人はこれを食べたり吸い込んだりすることで自然に抗B抗体を作るようになるのです。このように抗A抗体や抗B抗体は生後間もなく自然にできる抗体のため、これを自然抗体と言います。
超緊急時の輸血にはO型血液を使う場合も
このように人の血液は、異なる血液型の赤血球に対する抗体を持っていますので、A型の人にB型やAB型の血液が入ると、赤血球が抗体で橋渡しされ塊を作ってしまいます(凝集)。輸血された赤血球が、輸血を受けた人の抗体で凝集するような輸血は決して行っていけません。ただし、O型の赤血球は抗A抗体や抗B抗体で凝集しませんから、血液型をチェックするのが間に合わないような超緊急時には、例外的に血清成分を除いたO型赤血球をほかの血液型の人に輸血する場合があります。
白血球にも赤血球と異なる血液型が
ほかにも重要な血液型には、Rh血液型があります。アカゲザル(Rhesus)のスペルからRh血液型と名付けられたのですが、赤血球にアカゲザルと共通の血液型抗原(通常は抗原性が最も強いD抗原)がある場合はRh陽性で、日本人の99%はRh陽性です。現在、判明しているRh血液型抗原はD抗原以外にも約50種類。通常検査が行われるのはこのうち3種類です。ちなみに、白血球にも赤血球と異なる目印があり、これはヒト白血球抗原(HLA)といわれます。HLAは白血球以外にも体のいろいろな細胞で見られ、移植の際の拒絶反応に深く関わってきます。
なお、いわゆる血液型の性格判断は、話題としては面白いものの、科学的な根拠はありません。

執筆:月刊『からだにいいこと』編集 -株式会社からだにいいこと

【参考】

アーティスト

タグ

    goo ランキング

    連載コラム

    • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
    • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
    • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
    • MUSIC SUPPORTERS
    • Key Person
    • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
    • Editor's Talk Session

    ギャラリー

    • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
    • SUIREN / 『Sui彩の景色』
    • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
    • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
    • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
    • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

    新着