4月10日(日)@『commmons10 健康音楽』(高橋幸宏)

4月10日(日)@『commmons10 健康音楽』(高橋幸宏)

『commmons10健康音楽』最終日はあふ
りらんぽ、空間現代、高橋幸宏らが熱

commmonsレーベル設立10周年の記念イベント『commmons10健康音楽』の2日目が、4月10日に恵比寿ガーデンプレイスで行われた。
このイベントは「音楽」「食」「運動」「笑」「知」といった4つのテーマの元に恵比寿ガーデンプレイス内で2日間に渡って繰り広げられる、カラダにいい音楽フェス。 この日は、センター広場で「運動」カテゴリーのヨガや太極拳のワークショップが開かれ、「知」のカテゴリーでは坂本龍一と生物学者の福岡伸一のトークセッションがJ-WAVE「RADIO SAKAMOTO」の公開収録という形で行われた。

「食」のカテゴリーではシャトー広場/YEBISUマルシェで国内外の「カラダ」にいいフード&ドリンクを販売。センター広場では漢方茶や発行食品の試食など、様々な「食」に関するイベントは終日に渡って開催され多くの人で賑わった。

この健康音楽祭りの最大の特徴は「笑」のカテゴリーが組み込まれていること。2日目の「笑」は落語家の柳家喬太郎でスタート。通路扉を解放するほどの大入り満員。立ち食い蕎麦のマクラ(導入部トーク)から、演目「時そば」に移る流れは、音楽フェスに慣れたオーディエンスには鮮やかなDJミックスに見えた事であろう。ザ・ガーデンルーム、16時にはポカスカジャンが登場。椅子席を取払いスタンディング形式にしたにも関わらず、入場規制が出るほどの大盛況。テンポよい音楽ネタの連打で観客を煙に巻くあっという間の20分。続いての清水ミチコも「今日はTVでやれないネタやるわよ!」と宣言。前半は芸能人ネタ、後半はミュージシャン・ネタで耳の肥えた音楽ファンで溢れた会場を爆笑の渦に包み込む。ラストは時節ネタ(?!)の「ゲスの極み乙女。」で締め、大喝采を浴びながらステージを降りた。

ザ・ガーデンホールでは「音楽」カテゴリーのメイン会場。2日目は女性二人組ロックバンド「あふりらんぽ」を筆頭に6組みのミュージシャンが出演。このイベントの裏テーマは「お帰りなさい!教授!」。そんな裏テーマをもっとも具現化していたのは高野寛高田漣。なんと演奏した6曲全てが坂本龍一楽曲のカバー。ビートたけしや、矢野顕子、高橋幸宏への提供楽曲からYMOナンバーまでをギター2本で演奏するという暴挙に。これはテクノ・フォーク!高野が『正直、ギターでやるもんじゃないです…』と自嘲するほどの難題に二人は挑んだ。極めつけはラストの『禁じられた色彩(Forbidden Colours)』。あの戦メリのテーマ曲に歌詞をつけ、デヴィッド・シルヴィアンが歌った名曲。高田漣がボーカルをとり、ギター2本でハーモニーをつけていく。その美しさといったら、これがオリジナル?と見紛うばかり。是非、音源化して欲しいもの。

中盤の民族音楽コーナー、初日は北海道のアイヌ民謡系アーティストが出演したが、この日は沖縄の4人組女性ボーカル・ユニット「うないぐみ」。後半にはゲストで坂本龍一が登場。メンバーの古謝美佐子にとって坂本との共演は1999年9月に行われたオペラ「LIFE」ツアー以来、17年振り。同ツアーでも演奏され、両者にとっての思い出の曲「ちんさぐぬ花」を歌う。途中、鍵盤ではなく弦を直接叩く奏法で出す不思議な音に、演奏中の4人も思わず後ろを振り返る光景も。歌い終えた古謝は「(教授と廻った)海外ツアーが、走馬灯のように思い出してきた」と涙ぐむ一幕も。

そして「健康音楽」を象徴する「ラジオ体操」コーナー、本日はかけ声担当にやくしまるえつこが参加。教授の伴奏に合わせて、体操らしからぬテンション低めのかけ声でのラジオ体操は、シュール過ぎる異様な光景。

ラストは高橋幸宏。林立夫がカホン・パーカッション、高橋幸宏がスネアドラムをメインにした両者の「バスドラを意地でもおかない!by高橋幸宏」変則構成に、高田漣、堀江博久が参加したアコースティック編成。ボブ・ディランやスタンダード曲のカバーを中心にしっとりとオトナのムードたっぷりに歌う。中盤には高野寛が加わりpupa曲を。アンコールでは高橋が「よくぞ帰ってきてくれました!心から喜んでます!」と坂本龍一を呼び込み「教授は強力な生命力!僕はむかし(教授に)絶倫(!?)と言われたけど、教授はそれ以上!」と坂本の健康力を称え、トッド・ラングレンのカバーを共に演奏。

「最後は、この曲しかないなぁ」と紹介したのは高橋の1stソロアルバムに収められた「Saravah! 」。坂本が編曲で参加した同アルバムは二人が初めて共演した作品でもあり、当時レコーディングの帰りに毎晩飲み明かしたそう。演奏前には坂本が忙し過ぎて、この曲のリハーサルに全く参加してないことを高橋が明かしたが、そんな事を微塵も感じさせない完璧なコラボレーション。高橋の囁くようなボーカルに、坂本のピアノが触れるか触れないかのように静かに絡んでいく様は息を飲むような美しさ。ああ、この二人の長い友情はこの曲から始まったんだなと思わせる見事なコラボレーションで、前夜祭を含んで3 日間の「健康音楽」の全プログラムが終了。2000人に膨れ上った会場からの万雷の拍手に見送られ、ゆっくりとステージを降りた。

健康をテーマに、いい意味でゆる〜いイベントであったが、こんなフェスも中々お目にかかれない。ぜひ、来年以降も継続して開催してほしいものだ。

photo by 南賢太郎

【セットリスト】

■13:00〜あふりらんぽ@ザ・ガーデンホール
オープニング/ミラクルラッキーガールズ/マンノンタイム/あふりらんぽ
■13:30〜落語・柳家喬太郎@ザ・ガーデンルーム
演目:時そば/夜の慣用句
■14:15〜空間現代@ザ・ガーデンホール
数字/ズレ/可笑しい/来い/不通/誰か
■15:30〜音楽/高野寛+高田漣@ザ・ガーデンホール
Flashback(高橋幸宏 1982)/たかをくくろうか(ビートたけし 1983)/ONGAKU(YMO 1983)/ I Sing(矢野顕子 1981)/バレエメカニック(坂本龍一 1986)/
禁じられた色彩 Forbidden Colours (デヴィッド・シルヴィアン 1983)
※( )内はオリジナルアーティスト
■16:00〜ポカスカジャン、清水ミチコ@ザ・ガーデンルーム
16:45〜伊藤ゴロー@ザ・ガーデンホール
glashaus/Iluminescene/daisy chain/The isle
■17:45〜ラジオ体操・伴奏:坂本龍一、かけ声:やくしまるえつこ@ザ・ガーデンホール
18:00〜うないぐみ、ゲスト:坂本龍一@ザ・ガーデンホール
島ぬ言ぬ葉/童神/ちんさぐぬ花/弥勒世界報 -under cooled/安里屋ユンタ
■19:25〜高橋幸宏@ザ・ガーデンホール
Don't Think Twice, It's All Right(ボブ・ディラン)/Everybody Had A Hard Year (März)/ Stella(スケッチ・ショウ)/Blue Moon(スタンダード曲) with 高田漣+堀江博久+林立夫 /Let's, Let's Dance (pupa)/Homburg (プロコル・ハルム)+高野寛
Encore:I Saw The Light(トッド・ラングレン)/Saravah!(高橋ユキヒロ) +坂本龍一
4月10日(日)@『commmons10 健康音楽』(高橋幸宏)
4月10日(日)@『commmons10 健康音楽』(高橋幸宏)
4月10日(日)@『commmons10 健康音楽』(うないぐみ)
4月10日(日)@『commmons10 健康音楽』(ラジオ体操)
4月10日(日)@『commmons10 健康音楽』(伊藤ゴロー)
4月10日(日)@『commmons10 健康音楽』(坂本龍一&福岡伸一)
4月10日(日)@『commmons10 健康音楽』(清水ミチコ)
4月10日(日)@『commmons10 健康音楽』(ポカスカジャン)
4月10日(日)@『commmons10 健康音楽』(高野寛+高田漣)
4月10日(日)@『commmons10 健康音楽』(空間現代)
4月10日(日)@『commmons10 健康音楽』(柳家喬太郎)
4月10日(日)@『commmons10 健康音楽』(あふりらんぽ)
4月10日(日)@『commmons10 健康音楽』(ヨガ風景)
4月10日(日)@『commmons10 健康音楽』(太極拳風景)
4月10日(日)@『commmons10 健康音楽』(EBISU MARCHE風景)

OKMusic編集部

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