【Plastic Tree インタビュー】
Plastic Treeの
シグニチャーサウンドを
表現したかった

L→R 長谷川 正(Ba)、有村竜太朗(Vo&Gu)、ナカヤマアキラ(Gu)、佐藤ケンケン(Dr)

約1年振りとなるシングルに掲げられた“潜像”とは主に銀塩写真用語で、感光したフィルムや印画紙にできている目に見えない画像のこと。薬品で現像処理をすると画像が目に見えるようになるのだが、これまでも写真や印刷などの表現にこだわってきた彼ららしいテーマの作品となった。

バンドの存在意義みたいなこととか
ちょっとした心情も出ている

“潜像”というワードは前から温めていたんですか?

有村

いずれそういう曲があったら使いたいなって感じでした。最初は違うタイトルを考えてたんですけど、結果的にこの曲のことを一番表しているのがこの言葉かなと思って。歌詞には直接出てこないんですけど。

確かに“潜像”という言葉そのものは歌詞にないですね。

有村

《暗薬を潜ったら現れる残像》という部分で、“潜る”とか漢字を使ってるくらいですね。

歌詞はどういうイメージで書いていったんですか?

有村

透明感とか、ちょっと時間が止まっちゃってる感じだとか…スローモーションな感じかな。そんな単語が自分の中に出てきたので、わりとそれを忠実に書いていった感じですね。

ただ、今の時代だと写真の現像作業とかプロセスを知らない人が多いと思うのですが。

有村

僕も詳しくは知らないですけどね。写真をやったこともないし。今回のMV撮影で初めて紙焼き作業をしたんですけど、写っているのに見えてないものが、ある過程をすると浮かび上がるっていうのが不思議だなぁって。写真っていうもの自体が不思議だと思いました。

感光した印画紙を薬品に浸けると画像が現れてくるんですよね。中和して、水洗いして、干して…あのプロセスは楽しいですよ。

有村

分かります。化学反応でしか画像が出てこないっていうのが、またなんかいいなぁって。

儚い気持ちみたいな歌詞とリンクしてますね。あるんだけど見えないっていう。

有村

結構自分のバンドのこととか、そういうものにも当てはまる内容かなって。自分の中に出てきた単語でお話しを作っていくようなことをやっていたんですけど、途中からバンドのことも歌っているような。バンドの存在意義みたいなこととか、そういうちょっとした心情も出てるなぁと思いながら書いてました。それこそ音楽だったり…僕ら一応化粧なんかしてビジュアル系としてやってますから(笑)。残していくものについてというか、こういう行為をバンドがしてるなぁって。そういう気持ちが入っちゃったっていう感じですね。

MVには竜太朗くんの暗室作業シーンがあるんですか?

有村

はい。普通の演奏シーンもありますけど、そういうシーンもやりましたね。監督さんと話す中、実際の暗室の作業も撮りたいってことになって。スタジオに暗室みたいなセットを作ったんですけど、それを作るために仲の良いカメラマンの方がいつも使ってる暗室に見学に行ったんですよ。そしたら、その暗室でも撮ろうってことになって。

暗室作業はどうでした?

有村

面白かったです。話で聞いたりしていて何となくは知ってたけど、実際やってみると、“本当にこうやって写真ってできるんだ”って。“こんなに手間が掛かるんだ”とか。勉強になりましたね。焼きすぎる…露光や現像しすぎちゃってもまた風合いが変わってくるし。今はデジタルが主流だけど、アナログ時代はこうやってやってたんだなぁって感じでした。

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