【シド インタビュー】
一番好きな場所を思い描いて
制作されたシドのピュアネス
L→R 明希(Ba)、ゆうや(Dr)、マオ(Vo)、Shinji(Gu)
結成15周年を迎えたシドがキャリア初となるミニアルバム『いちばん好きな場所』をリリースする。インディーズラストツアー時に掲げられたこのタイトルは、シドとファンをつなぐ大事なキーワード。バンドの原点であるライヴハウスを再び回る今回のツアーに向けて生み出された曲たちは、瑞々しく温かく純粋だ。全5曲に込めた想いを4人に訊いた。
4人の中で制作やライヴに対する
意欲が高まっていると再確認した
ミニアルバム『いちばん好きな場所』は、1曲目の「VOICE」からライヴで一体になって盛り上がる光景が浮かんできました。シドにとって思い入れのあるタイトルを付けた作品を作ろうと思ったいきさつというのは?
マオ
ミニアルバムを出す予定はなかったんですが、前アルバム『NOMAD』のツアーをやってみて、4人の中で制作やライヴに対する意欲が高まっていることを再確認したんですね。それで“年間にCDを何枚出すって決まっているわけじゃないから、出したい時に出すのがいいんじゃないの?”っていう話になってリリースすることにしたんです。ちょうどその時にライヴハウスを回るツアー『いちばん好きな場所 2018』が決まっていたので。
“いちばん好きな場所”は2008年のインディーズラストツアーと2010年のツアーに付けられたタイトルですが思い出深い旅でしたか?
マオ
そうですね。インディーズラストツアーは行ったことがない場所も回ったのが嬉しかったのと、みんなでワイワイやっている日々が楽しかったですね。2回目はホールツアーをやっているぐらいの時期に改めて4人で車に乗り込んで回ったんですけど、初心に帰るという意味でも刺激的だったし、今もお客さんは待ってくれているんですよね。今回のツアーを発表した時の反響も大きかったです。
明希
僕らならではのシリーズ化しているツアーなので、自分たちもすごく楽しみだし、ツアーに合わせたタイミングで自分たちのコアな部分を表現できたミニアルバムになっているので、より期待して待っていてほしいですね。
Shinji
ライヴハウスツアーは全国くまなく回れるからいいんですよね。大きい会場になると遠くから足を運んでいただく方も多いと思うんですけど、こっちから会いに行くというか。近い距離で体感できるのもいいし、変化としては以前は機材が大掛かりだったからライヴハウスに入らなくて組み替えていたんですけど、最近はみんな機材をシンプルにしたいという気持ちが強くなっているので、ホールと同じ仕様でいい音で演奏できると思います。
ゆうや
マオくんも言っていましたけど、『NOMAD』のツアーへの取り組み方が今回のミニアルバムに活かされていると思うんですよね。例えば「XYZ」のようなテンポのロックって意外とないと思ったことだったりとか。今のシドにプラスになる、ライヴで映える楽曲を意識したのが今回の曲たちなんじゃないかと思います。
そんな『いちばん好きな場所』に収録されている楽曲たちの制作エピソードをぜひ聞かせてほしいのですが。まず「VOICE」はステージの照明やライヴの空気まで想像できるナンバーになっていますね。
明希
うちのバンドは聴かせるタイプの曲の割合が多いと思うんですけど、サビでお客さんが歌って参加できる曲がもっとあってもいいのかなって。ライヴ感を意識して作りました。「VOICE」だけ前回のツアーで演奏したんですけど、回を重ねるごとにどんどん浸透していって良かったなって。
勢い、疾走感を重視した感じですか?
明希
そうですね。速いテンポで全員が一生懸命やるというか。ドラムが一番大変なんじゃないかと。
ゆうや
この曲、ほんと台風の目みたいなんですよ(笑)。風速がすごすぎて一瞬で終わってしまうような。
3分切ってますもんね。
ゆうや
そのわりに具が多すぎるんですよ(笑)。
明希
リフとリズムとメロディーで駆け抜けるというか、一瞬で過ぎ去る勢いのある曲にしたかったんです。
歌詞はシンプルで、ライヴのMCで伝えたいことを歌っている印象を受けました。
マオ
まさにその通り。ライヴ中に歌いながらファンのみんなに伝えたいと思っていたことをそのまま歌詞にした曲ってないなって。MCで伝えるのと曲に乗せて歌で伝えるのは全然違うと思うんですよね。最初に聴いた時から“この曲は1曲目だな”と思ったので、そこも意識しています。
《どんな君だって 構わない》という箇所がグッときます。“どんな状況で来たっていいんだよ”ってことですよね?
マオ
そうですね。いろんな状況の人がいるだろうから。楽しめるような心境じゃないけど、それでもチケットを買って来てくれている人もいるかもしれない。でも、ライヴではひとり残さずしっかり連れて行くよっていうメッセージを込めています。
2曲目の「reverb」はリバーブを効かせたギターがフィーチャリングされたイントロから持っていかれますね。
Shinji
“縦ノリでハードロックに振り切った曲ってシドになかったね”ってメンバーと話して、だったらギターがうるさいぐらいのアレンジにしようと。
歌にもギターが絡み付いていますものね。
Shinji
そうですね(笑)。歌と闘うぐらいの勢いで。シドは16分刻みのクリーンなギターの曲が多いので、こういう汗の匂いがする曲はライヴハウスに似合うんじゃないかなと。
明希
ベースは小賢しいことをやらず、開放弦を弾き下ろしただけで“カッコ良い!”と思うような音、プレイを意識しています。こういうシンプルな演奏ほど難しいのでグルーブを大事にしていますね。
ゆうや
ドラムも細かいことは気にせず、音で一発勝負ですね。ノリが大きいのでドシャー!、バシャー!ってダイナミックに。
歌詞はエロティックなラブソングですけど、ライヴの快楽とも通じる部分があるのかもって。
マオ
はい。この曲も激しいセクションでライヴ映えするのかなと思いますね。歌詞は自分の中では《肉厚な愛を 流し込もう》というところが肝です。ふたりの関係性がそこだけで想像できるというか。
アーティスト
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