【Plastic Tree インタビュー】
バンドっぽさ全開!
ちょっと夏感のある軽快な曲
L→R 長谷川 正(Ba)、ナカヤマアキラ(Gu)、有村竜太朗(Vo)、佐藤ケンケン(Dr)
今年3月に14作目のアルバム『doorAdore』を発表し、それに伴う全国ツアーを終えたばかりのPlastic Tree。彼らが早くもニューシングル「インサイドアウト」を完成させた。PS Vitaゲーム『Collar×Malice -Unlimited-』主題歌となる今作は、ドライブ感あふれる爽快なロックチューンとなっている。
2016年のシングル「サイレントノイズ」に続き、今作もゲーム『Collar×Malice』の主題歌なんですね。
長谷川
はい。『Collar×Malice』のスタッフさんのほうから“こういうイメージの楽曲が欲しい”みたいなお話しをまずうかがって、それもありきで作った曲ですね。前回の「サイレントノイズ」の時はどっちかって言うとちょっとシリアスなムードだったんですけど、今回はあくまでプラっぽい、抜けの良いバンドサウンドの楽曲っていうリクエストをいただいてたんです。『doorAdore』(2018年3月発表の14thアルバム)のツアーもひと段落っていうタイミングで出すシングルなので、バンドとしてもちょうどいいかなって。『doorAdore』ではバンドとして良い意味で癖の強い作品というか、自分たちの個性を前面に押し出せた作品が作れたので、ここでちょっとフラットな状態で作ってみたらどういうものができるのかなって自分の中でも興味があったし。そこはタイミング的にも本当に上手くリンクできたのが良かったと思いますね。
「サイレントノイズ」の歌詞は“終電後の新宿”が舞台でしたけど、今回は夜明けのイメージなんですね。
有村
その続編っていうのもあるんですけどね。先方からいくつかキーワードをもらってたんですけど、その中のひとつに“夜明け”っていう単語もあって。曲を聴いた時に浮かんだ情景描写にも合いそうだなと思って、それをひとつの指針にして作っていこうかなみたいな感じでしたね。
夜明けってグラデーションで変わっていく感じがするんですけど、タイトルの“インサイドアウト”って裏返しって意味ですよね。
有村
そうですね。俺もイメージはグラデーションなんですけど、単純に入れ替わって入れ替わっていって…なんか毎日が連続していくのが裏表裏表みたいな感じだなぁみたいな。すげぇ単純にそれだけだったんですけど(笑)。裏になったり表になったりするっていうだけの。でも、希望的な歌だなと思います、自分の中では。“こういうふうになったらいいのに”みたいな感じですかね。連続する毎日みたいな中で…大袈裟じゃなくて、何か信じられるものがあればいいなみたいな感じ。先に対して希望的観測が持てればいいなみたいな歌詞にしてあげたかったんですよ。軽快さだったり、ちょっと切ない感じだったり、青っぽい感じというか。そういうのがすごくあった曲だったので。
“インサイドアウト”っていうワードは竜太朗くん発?
有村
僕からです。一番エモーショナルというか、何か明快な…サビの一番残るフレーズとタイトルと歌詞の世界観を表現できるはまりのいい言葉を探そうみたいな感じでずっと考えてて。で、電車に乗ってる時に浮かんだんですけど(笑)、そこからワーッと書けた感じですね。そこを見つけるまでがちょっと時間がかかったかな。この言葉ありきで作りたかったというか、言葉のキメみたいなものですね。
確かに聴いた時に音の響きもパッとしてるし、意味も面白いし、印象的なフレーズになってますね。
有村
前に出した『doorAdore』がバンドのいろんなものを抽出できた、だいぶ味の濃い曲たちだったので、その次にこういう曲を書けたのはすごく価値があるなぁって思うんですよね。今回は曲の持ってる空気感みたいなものを120点で書くような歌詞にしたかったので、正解をずっと探してるような、そんな言葉選びにしたいなって思ってました。タイミング的にも今回の制作は『doorAdore』で一旦終えたところから新しいものに移るっていう感覚がすごく強くて。あと、これはたまたまですけど、夏前にこういうちょっと夏感のある軽快な曲を出せたのもすごく良かったと思います。
カップリング曲「灯火」はイントロからして新鮮でした。
長谷川
クラシカルな感じですよね。曲も3拍子だし。もともと俺の中ではどっちかって言うとアコギとかのイメージだったんですけどね。ピアノのアレンジはアキラのアイデアでこうなりました。「インサイドアウト」はバンドっぽさを全開に出せるので、「灯火」に関しては“このメンバーでこの作品に対してこういうサウンドトラックを作ってみました”みたいな立ち位置の曲になったら面白いかなぁと思って。曲としては単純に“あぁ、プラってこういうこともやれるのね”って楽しんでいただけたらいいかなって感じですね。
そんな今回のシングルですが、どんなふうに聴いてほしいですか?
長谷川
「インサイドアウト」は今のプラのバンドっぽさっていうのを感じ取ってもらえたら嬉しいですね。MVを撮ってくれた監督さんや写真を撮ってくれたカメラマンさんなど、一緒に関わってくれて作ったクリエイターさんもそうだし、メンバーはもちろんそうだし、周りのスタッフもわりとみんなリラックスした状態でバンドの良いところを表現できたと思うので、そこが伝われば一番いいかなと思います。
そして、9月にはツアーが控えてますね。
長谷川
この曲が持ってる風通しの良さみたいなところをライヴで表現できればいいなと思います。
ツアータイトルの“In the other side”とは?
長谷川
“ここではない場所”みたいな。そういうのも含めて今回の曲はわりと普遍性っていうのも若干意識してるんですよ。そういうテーマでライヴをやってみるのもいいかなと。
有村
「インサイドアウト」はあまり神経質にならずに楽しくやれそうな曲ですけど、「灯火」はかなり実験的な曲だなぁと思ってるんですよ。それによってPlastic Treeの新しい一面みたいなものを見つけられたらなって。何も考えず気楽に楽しんでやれる部分と、次が見つかる第一歩になるみたいな。その両方ができたらいいなぁ…っていうのを漠然と考えてるところです。
取材:舟見佳子
「インサイドアウト」MV
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