【SUPER BEAVER】


取材:高橋美穂

過去と現在の自分がひとつになればいい

まず、「二つの旅路」は何かテーマがあったりしたのですか?

柳沢

「深呼吸」は俺らの中にあるものをそのまま出したんです。例えれば鋭角というか。それで言うと今回の曲は鈍角。

対照的にしたかった?

柳沢

いや、単純にこの曲の歌世界を見た時に、ただストレートに押していくよりも、細かいことも表現したいなと思ったんです。歌詞の中で起こってる感情の変化とか。

“一つ”じゃなく、“二つ”っていうのが気になりますね。

柳沢

“二つ”っていうのは、現在の自分と、少年時代の自分っていう意味なんです。そもそも「深呼吸」にも“一瞬の連続の中で”という歌詞が出てくるんですけど、最近“今”というものをよく考えていて。ただ、今の一瞬一瞬は過去になっていくじゃないですか。そうやって、今を必死で追っかけてるうちに、少年時代に大切にしてた思いとか、どっかに置いてきちゃってるものがある気がして。でも、それは消え去ったわけじゃなく、大切だったからこそ見えづらくなってるだけなんじゃないかなって。それに、今現在の自分は過去を生きることはできないですけど、過去の自分は今も並行して進んでると思うんですよ。だから、今は過去の自分が持ってないものを持ってるけど、もともと大切にしたものは奥まってたりしちゃってるのかなって。その、並行してるふたつがどっかしらでひとつになればいいと思うんですよね。そうなった時に、過去から今、今から未来が、揺るぎないものとして通じるんじゃないのかな。逆にいうと、“過去”と“今”のふたつしかないじゃないですか。未来って今から行くわけなんで。そこで“二つ”って言葉が出てきて。

なるほど。また、2曲目の「サイン」は、「深呼吸」の2曲目に収録されていた「満員電車」の続編なんですよね。

柳沢

続編にしようと思って作り始めたものじゃなかったんですけど、ふと「満員電車」で言いたいことが言い切れてなかったのかも、と思ったんですよね。「満員電車」では、大事なものが増えた時に、うれしい反面、それがなくなってしまうことを考える自分がいて、だからこそ大切に思えるってことを歌ってたんですけど、「サイン」では大切なものが当たり前になってしまった時に、当たり前を常に感謝して生きることは相当難易度が高いと思うんですけど、だからこそそれをどう思えるかっていうことを書いたんですよ。

3曲目の「Conto’nroll」には驚きましたよ。ダンサブルで。

渋谷

この曲は前の2曲とは派生の仕方が全然違ったんですよね。全員のジャムセッションから生まれたんですよ。

上杉

リズム隊が関わってくるとこういうナンバーができるんです(笑)。柳沢が持ってきた曲は、“曲の良さを出す+味付け”って考えるんですけど。でも、みんなで作るなら、それぞれ好きな部分をぶつければいいと思うし。

藤原

うん。この曲が一番自然にできました。1曲目は頭を使ったし、2曲目はあえて叩くなって言われたし(苦笑)。

上杉

でも、抜く美学っていうのがちょっとは理解できましたね。

また同時に、『心景』を新録してリリースするんですよね。

渋谷

根本的には古いも新しいもないなっていうのが俺らの中にあったのと、この1年で楽曲として肥えてきて…体型は変わってないですけど(笑)、また違う一枚ができたんじゃないかなって。1年後また再録して出すかもしれないですし(笑)。バンドとしては、どんどん太っていきたいと思います。

SUPER BEAVER

東京出身4人組ロックバンド。メジャーデビューから自主レーベル設立まで様々な経験をしつつも、 [NOiD]に所属してから人気が再熱。2018年4月30日には、日本武道館での単独公演を開催し、即完売で約10,000人を魅了した。同年6月30日には2年ぶりとなるフルアルバム「歓声前夜」をリリースし、過去最高のセールスを記録。ツアーも全公演即日完売。インディーズバンドながら、カンテレ・フジテレビ系10月連続ドラマ「僕らは奇跡でできている」の主題歌に「予感」が抜擢。2019年3月よりバンド初となるホール公演を含む全国ツアーを開催し、全公演ソールドアウトを記録。2019 年11 月には、神戸ワールド記念ホール 2Days と2020 年1 月に国立代々木競技場第一体育館でのワンマン公演も即完売。4月8日にメジャー再契約を表明し、ニューシングル「ハイライト / ひとりで生きていたならば」のリリースを発表。2020 年9 月からはライブハウス、ホールをワンマンで周り、さらに仙台ゼビオアリーナ2Days、大阪城ホール、日本ガイシホールとアリーナ公演も決定。12 月にはツアーファイナルとして横浜アリーナ2Daysを控えている。今最も注目のロックバンド。

アーティスト