【BLUE ENCOUNT】ブルエンならではの
ネガティブを武器にした応援歌
L→R 江口雄也(Gu)、高村佳秀(Dr)、田邊駿一(Vo&Gu)、辻村勇太(Ba)
2015年7月に1stアルバム『≒』(ニアリーイコール)をリリースし、その人気を不動のものとしたBLUE ENCOUNTの最新作は、『94回 全国高校サッカー選手権大会』の応援歌。ここで終わりじゃない、全ての始まりだと、夢破れた選手にも響くリアルな言葉に注目せよ!
取材:フジジュン
現在、アルバム『≒』を掲げてのツアー真っ最中ですよね。
田邊
いや~、今回のツアーは本当に楽しいです!
高村
まず、アルバムの曲ですごく盛り上がってくれるのに驚きましたね。それだけアルバムを聴いて、僕らを好きになってくれた人が多いのかな?って、すごく感じています。
江口
新曲でこんなに盛り上がるという経験がなかったから驚いたし、聴いてくれてることにも感動したし。初日からZepp Nagoyaだったので不安もあったけど、いいモチベーションでスタートできて、前回のツアーからの成長もしっかり感じられてます。
辻村
今まで以上にお客さんと一緒にライヴを作れてる感もあるから、会場は広くなったのに距離はすごく近く感じるし、曲数も多いのにあっと言う間に時間が過ぎちゃって。
田邊
バンドとしての底力も上がってるのを感じるんですが、“自分たちを信じられてる”というのが大きいですね。今までは“俺らなんて…”みたいな気持ちもあったけど、今は“俺ら、思ってるより悪くねぇじゃん!”みたいな気持ちになれてるんですよ。『≒』を出せたのも大きかったけど、それがちゃんと届いてるというのが分かった時、すごく自信になりましたね。各地でお客さんとの信頼関係が生まれて、それによって自信も強まったというか。自分たちにとって本当に大きなツアーになってます。
そして、2016年一発目となるシングル「はじまり」が完成したわけですが、この曲は『94回 全国高校サッカー選手権大会』の応援歌なんですよね。
田邊
はい。僕らのライヴを観た番組スタッフの方から“こんなドンピシャなバンドはいない。好きなように書いてください”とオファーをいただいて、それが本当に嬉しかったです。その後、3日間の合宿に入って、20~30曲くらい書いてメンバーに聴かせたんですけど、どうもはまる曲がなくて…。“アップテンポでもバラードでも、泣ける曲を作りたいね”と話をしていて、「HANDS」や「もっと光を」に次ぐ、ブルエンならではのアップテンポの曲を作りたいと思ったんですけど、それって僕らが今までやってきた流れでやろうとしてただけだったんですよね。そこで“全部の流れを無視して作ってみよう!”と開き直って作ったのが「はじまり」だったんです。今までのものって、先輩目線で背中を押してあげるものだったり、マネージャー目線でキュンキュンさせる曲だったりだけど、僕らの場合はそれも“らしくない”なと。ブルエンは同じ芝生を泥まみれになって駆け回るバンドじゃないかと思って、自分の高校時代を思い出して歌ってみようと思ったんです。
なるほど。選手と同じ目線に立って歌いたいと。
田邊
高校時代にBLUE ENCOUNTを結成した時、周りには誰も味方がいなかったんですよ。そんな何もすがるものがない中、逃げる場所が音楽という状態でバンドをやってた時、“こんな曲があったら楽だっただろうな”と思う曲を作ろうと思ったんです。今まで僕らの応援歌って、“自分たちに向けて書いてる”と言ってたんですけど、今回は過去の辛かった自分に向けて書いてみようと。そしたらサビがスッと浮かんできて、“ずっとやってきたことは、今までと明日をつないでいるんだよ”という、伝えたいことが見えてきて。“応援歌なのに、そんな後ろ向きなことまで言うの?”という歌詞もあるし、最後は《今は泣けばいい》とまで歌ってて、もっともネガティブな応援歌なんじゃないかと思うんです(笑)。高校サッカーの映像に合わせてサビを聴いた時、すごい泣けたんですよね。
辻村
泣いたね。バシッとはまった感がありました。
田邊
で、そこから一気に作り出したんですが、根底に思ったのは、高校サッカーって勝つのは1組だけで、それ以外は負けてるということ。でも、勝ったチームにもその景色を見れなかった選手がいるはずだし、スタメンだって相当辛い思いしてそこに立ってるはずだから、僕らは“夢が叶ったね、おめでとう!”じゃなくて、負けた人たちも含めた、夢にたずさわる全ての人に向けて曲を書きたいなと思ったんです。もちろん夢を追ってる人は最高だけど、夢がない人にも届けたい。“夢が見つからないんです”と相談されることがあるんだけど、そう思っている時点で夢を見ていると思うんですよね。だから、夢を追ってる人だけじゃなく、夢を見たいと思ってる人にも届く曲を書きたいと。この曲では僕らならではのネガティブさを武器にした、ポジティブを描きました。
“大丈夫、俺もキミと一緒だから”という同じ目線からのメッセージに、『≒』の精神も感じました。
田邊
『≒』から一歩踏み出せたのは、ちゃんと抱きしめることもできているからだと思っていて。この曲では傷付いた人に、“大丈夫、俺たちがいるから”と言ってやれてると思うんです。最初のツアーの話でありましたけど、“思ってるより悪くねぇじゃん”と自分たちを肯定してあげることで強くなれたところがあったから、それは人に対しても言えることだと思ってるんです。“大丈夫”って言葉は根拠がなくても自信につながると思うので。俺らも“大丈夫”って言ってあげたいけど、逆に俺らがキツイ時にはお客さんが“大丈夫”って肯定してくれれば嬉しいし。この曲が“生きてる”ってことを、互いに共有することの“はじまり”にもなればいいですね。
サウンド面はシンプルだからこそ、自分の経験や景色、心象風景を当てはめて想像させる隙があると思いました。
辻村
あまり派手なことをすると耳障りになってしまうので、歌詞やヴォーカルのテンション感に合わせて何ができるかというところで、各々が細かいところでいろんな工夫をしています。
高村
これまではバラードもロックバンドっぽく、攻めのイメージでやってたんですけど、今回は曲のノリを共有できて、ちょうどいいところにまとめられて良かったですね。自分たちが今やれることを出し切った結果、今までやってきたこととも全然違ったバラード・ソングになったと思います。
曲選びからアレンジまで一切の妥協をしなかったからこそ、全員が納得できる曲に仕上がったのでしょうね。
辻村
最初に“応援歌”って話をもらった時は、さわやかな曲を想像したんですけど、自分たちが学生の時、そんなさわやかな曲は聴いてなかったなと思って。自分たちがそうだったからという考え方しかできなかったんですけど。でも、だからこそ偽善にもならなかったし、“こういう曲があったら良かったな”と思える曲が出せたんで、暗い学生時代で良かったです(笑)。
田邊
今、実際に試合の時にピッチでこの曲がかかってるという話を聞いたりして、本当に嬉しくて。この曲が頑張ってる選手たちの励みになったら嬉しいですね。
アーティスト
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