ツッコミどころ満載の、愛すべき女優
・川島なお美:ドラァグクイーン・エ
スムラルダ連載67

エスムラルダの「勝手にワイドショー!」

連載第67回 ツッコミどころ満載の、愛
すべき女優・川島なお美

 アタシは昔から、川島なお美が大好き。
 なにせ16年前、自分のホームページを立ち上げた時、最初に書いた文章のタイトルが「川島なお美問題」だった――それくらい好きなの(わかりにくい基準)。

 アタシが「川島なお美」という名前を初めて知ったのは、小学6年のとき。クラスメートのY君が、卒業文集に「好きなタレント ジャッキー・チェン、川島なお美」と書いていたの。
 この二人を並べるY君もY君だけど、当時、芸能事情にうとかったアタシは、「なお美」の「なお」が平仮名だったりするあたりに、妙ないやらしさを感じ、「この女はきっと、水着系グラビアアイドルとか、そういうのに違いないッ」(30年前なので、「グラビアアイドル」なんて言葉はなかったけど)と思ったものよ。

 アタシが、ちゃんと「動いている川島なお美」を目撃したのは、それから10年後(遅!)。安達祐実主演のドラマ「家なき子2」を観ていたときだったわ。美貌と鼻にかかった声を駆使して美人秘書を演じるなお美の、過剰としかいいようのない色気と、そこはかとない安さに、アタシの目と心は釘付けに。
 でも、わりと本気で「なお美、すげえッ」と思ったのは、その翌年。ドラマ「イグアナの娘」でのなお美がとにかく美しく、演技が素晴らしかったの。
 このドラマでなお美が演じていたのは、主人公(菅野美穂)をいびりまくる母親の役。「いやもう、絶対地でやってるだろう」としか思えないような、憎々しいいびりっぷりと、終盤での泣かせ演技、どちらもハマっていて、アタシはすっかり、なお美のとりこになったわ。

 そのころからなお美は、次々に攻撃をしかけてきたの。
 菅野美穂と一緒に出たトークバラエティ番組で、「(菅野美穂がなお美のグラスにワインを注ごうとするのを手で制して)ダメよ、菅ちゃん。ワインはね、女の人が注いじゃいけないのよ。必ず男の人に注いでもらうものなの」とか「(出されたワインを一口飲んで)そうねえ。北欧の、ちょっと厳しい女子寮の、寮長って感じかしら」と言い放ってみたり。あるいは自分のヌード写真集を海外の映画監督に渡し、売り込みをかけてみたり(こちらは噂に聞いただけなので、本当かどうか知らんけど)。
 とにかく、なお美の言動の一つひとつが、アタシのツボに命中。

 6年前、結婚前後の(なお美の)盛り上がりっぷりもすごかったわ。「披露宴をテレビ中継させる女は、タダ者じゃない」と相場が決まっているけど、やはりなお美も披露宴の模様を日●レに独占中継させ、さらに著書「熟婚のすすめ」と11年ぶりのシングル(「鎧塚小々夏」のペンネームで作詞も!)を同時リリース。
 ただ、披露宴中継でインタビューを受けた芸能人客はみんな、「食事が楽しみ」としか言わないし、通常のニュース番組とバラエティ番組の枠の中に無理やり押し込めて放送してるから、合間にニュースや「長山洋子美川憲一の、くされ縁珍道中」なんてコーナーが入るし、扱いがちょっぴり雑。
 いつでもどこでも、ツッコミどころを用意することを忘れない(本人が意図しているかどうかはともかく)。それがなお美の魅力だと、アタシは思っているわ。

 ところが、そんななお美がいま、大変なことに……。シャンパーニュ「COLLET」の新商品発表会の動画観て、アタシ、本気で泣いたわ。「私、今まで(ワインを)さんざん、一生分の飲んできたので、見ただけで味がわかるんです」とか、相変わらずなお美を炸裂させてはいるけど、どうしたのよ、その、毒が抜けきったような表情は……! そしてなお美と鎧塚さん、なんて優しい目でお互いを見るのよ……。
 なんかもう、自分の涙の意味もよくわかんないわ。あの身体で「年末までに舞台2本、ソロライブ1本やる」というなお美のひたむきさに心打たれたのか、夫婦の絆みたいなものに、うっかり感動しちまったのか……。

 今までさんざん、なお美に笑わされたり泣かされたりしてきたアタシ。だけど、泣かされっぱなしは嫌よ!
 なお美、お願いだから、いつまでも元気でいて! 今後もアタシたちに、ちゃんとツッコミどころを用意して! 頼むわよ!

【エスムラルダ:プロフィール】
えすむらるだ…1972年生まれ。94年よりドラァグクイーンとしての活動を開始し、各種イベント、メディア等に出演。2002年、東京都の『ヘブンアーティスト』ライセンスを取得。脚本家・ライターとしても活躍している。
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メイン画像・川島なお美オフィシャルブログより

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