実はキケンな職業!? アイドル過酷事
件簿・その3

　アイドルにとって、所属事務所は第二の我が家。芸能界という拠り所のない場所で生きていくためには、事務所社長やスタッフを、第二の父、家族として頼るほかない。しかし、当の父にとって、アイドルが“娘”であるとは限らないのが悲しい現状だ。彼らにとって、アイドルは単なる“商品”あるいは“玩具”なのかもしれない。　ジェイソンマスクを被った「アリス十番」、ガスマスクの「スチームガールズ」、鉄仮面の「アーマーガールズ」、3つのユニットからなる「仮面女子」。今年1月1日に発売されたシングル『元気種☆』はオリコン1位を獲得し、「最強の地下アイドル」との呼び声も高い。
　しかし、そんな人気アイドルの闇が、『週刊文春』2015年1月15日号で告発された。記事によれば、運営会社社長との交際要求や性接待を強いられているのだという。また、「貧乏アイドル」として密着を受けたドキュメント番組内では、ことさら極貧に見せるため、「自分で栽培した豆苗をおかずにしている」などのヤラセを指示されたとも。元カリスマホストの社長は記事の内容を否定しているが、複数の現・元メンバーの証言を元にしているだけあり、ファンならば無視しがたい報道だった。「数多存在するアイドルグループのなかで、とりあえず視線や関心を集めるために、より『過激』な方向へと舵を取る傾向が強くなっています。2014年７月に横浜アリーナで解散ライブを行った『BiS』も、過激を売りにしたグループでした」（前出・ライター）
　デビューシングルの『My I×××』のMVから、メンバーが全裸で樹海を走り回るという過激さ。次作の『primal.』では、内視鏡を使って全裸のさらに奥まで公開。その後も、通常の握手会では飽きたらず、「ハグ会」、「チュー会」「ローション握手会」など、アイドルとは思えぬ施策を連発。「キワモノアイドル」「お騒がせグループ」という扱いが濃くなるなか、過激な手法についていけるメンバーとそうでないメンバーの間には、「本当に本当に嫌い」「考えるだけで過呼吸になる」と罵り合うほどの確執も。解散決定後、メンバーのひとりは解散の理由を訊かれ、「疲れちゃったんですよね」と漏らしている。　アイドルを疲弊させるのは、事務所だけではない。日頃、「応援」というきれい事を並べているファンも、過激な手法に慣らされ、正常な感覚が麻痺してしまったのか、一線を越えてしまう者が続発している。
　2012年7月14日、神戸ワールド記念ホールで行われた、ももクロのコンサート。ライブ終盤、メンバーが客席の通路を通る演出がはじまると、玉井詩織のもとにある男性ファンが近づき、胸などを触ったのではないかという疑惑が、当日の目撃談などから巻き起こっている。
「いわゆる『降臨』は、近年、ハロプロなどでもたびたび行われています。簡単なロープが張られ、警備員も数人つきますが、実際にファンが押し寄せたらまったく役に立たないでしょう。見ているだけでヒヤヒヤしますし、やらされているアイドルの笑顔も引きつってますよ」（芸能事務所マネージャー）　2014年の3月2日には、歌手としても活躍する声優の田村ゆかりが、コンサート中にファンから携帯ラジオを投げつけられた事件も起こっている。その理由が「田村さんが好きすぎて、気持ちを断ち切りたかった」という個人的すぎる理由なのだから呆れるばかり。
　2人組アイドルユニット「バニラビーンズ」のレナが、「バス車内で隣に座った男からオ○ニーを見せられた」との内容をツイッターで告白したのもショッキングだった。前述の仮面女子（アリス十番）のメンバー・立花あんなは、ストーカーからの殺害予告に悩まされ、不慮の事故で亡くなった同グループの月宮かれんには、「GPSが仕込まれたプレゼントを送られるなど、精神的負担によるものだったのではないか」との噂まで聞こえてきている。　いつの時代も、アイドルになることを夢見る女の子は多い。加えて最近では、「自分がアイドルになれなかったから」と、子供に夢を託す母親も少なくない。
　このような現実が待ち構えていると知った上で、それでも愛する娘をアイドル業界に放り込みたいと考えるだろうか？　また安心してファンが応援できるように、安全面が改善されることを切に望みたいものだ。（文・小室哲太）オススメCD：妄想日記(Type-A)／アリス十番×スチームガールズ＠仮面女子（株式会社クリーブラッツ AliceProject）