さくら学院公開授業レポート1限目「
集合写真の中にタワレコ社長が!」

 さくら学院の2014年度5回目、そして年内最後の公開授業が10月11日東京・有明のTFTホール500で行われた。

 今回の講師は「次世代型エンタテイメント集団」である白A先生。2002年に仙台で結成され、エレクトロサウンドと映像にダンスやパントマイムを融合させたパフォーマンスを繰り広げ、ロンドンでロングラン公演を行うなど、ワールドワイドな舞台で独自の表現を行う彼らが、同様にステージでの表現者でもあるさくら学院とどう融合するのか? いつもとはまた違った期待感も膨らむ今回の授業をレポートする。 いつもより早く、開演20分ほど前に生徒会長の菊地最愛によるアナウンスが流れ、本日の授業の教材として使用する、来場者の写真撮影の協力をお願いする。するとステージ上に白塗りの男たち(白A先生)が現れ、父兄たちの写真撮影が始まった。1人1人両手を挙げたり片手を横に伸ばしたり、走るポーズをしたりと、様々な写真が撮影されていく。果たしてどんな教材になるのだろうか?

 14時半からの1時限目の授業の生徒は、菊地最愛、野津友那乃、大賀咲希、倉島颯良、山出愛子の5人。冒頭で担任の森ハヤシ先生は先週の俳句の授業に触れ、「講師であった夏井いつき先生のブログを見たら、さくら学院の生徒は本当にいい子ばかりだった。特に森先生は素晴らしい人だったと書いてありました」とドヤ顔で報告し、大喝采を浴びた。

 そして本日の講師である白A先生の紹介。アミューズ所属でさくら学院にとっては先輩に当たる次世代型エンタテイメント集団。ステージを見たことありますか? という森先生の問いに会場は誰一人手を挙げず、「みなさん本気ですか? 呼び込み辛いじゃないですか」と森先生を嘆かせた(笑)。

 ここで生徒たちが登場。菊地は、「今日は白塗りの先生なので、私たちも白いの付けてみました、どうですか?」。見れば顔に少し白いペイントを施しおり、観客の父兄たちからはビミョーな愛想笑いが起きた。

 菊地はさらに「久しぶりに身体を動かす授業なので準備体操します」と客席を起立させ、手を上に伸ばしてゆらゆらと海草ダンスを始める。これには森先生も「生徒会長が会場をどよめかせてどうするんだ」とツッコんでいた。

 続いては野津。「嬉しいことが2つ。まずは中間テストが終わりました! でも妹よりも遅くまで起きて勉強してたのに妹の方が成績良くて……」とぼやき節。続けて「ファンレターをまとめて受け取ったら、初めて見る名前が増えていて嬉しかった」と喜んでいた。

 大賀はなぜか「希望の花をいっぱい咲かせちゃわない♪」とやって父兄をどよめかせる。さらに「今日は映像パフォーマンスの授業なのでカッコ良くキメたい」と、ネコのような三本ヒゲの白いペイントで可愛く宣言した。

 倉島は「今日のメイクのポイントは気合いの1本ということで鼻に1本横線を引いたけど、メンバーに鼻の通りが悪い人が付けるやつ(鼻腔拡張テープ)みたいと言われた」と笑わせた。

 山出は「今日のポイントはハート型のメイク。(野津の星形のメイクの方を見ながら)ハートの地球(ほし)ってことで気合いを入れて頑張ります」と宣言した。


次ページ、野津さんの鼻息が荒くなったワケとは?大賀に触れると汗が止まらない!

 ここで本日の講師である白A先生がパフォーマンスで登場。ノリのいいエレクトロダンスミュージックとバックの白いスクリーンに映される映像に合わせてパフォーマンスを披露する。 全員黒い上下の衣装に白塗りの顔、両手には四角いボードを持っている。このボードを縦横無尽に動かしながら、客席後方のプロジェクターから投影される映像をキャッチしていくのだが、これが実に見事で、初めて見る観客たちもみな魅入っているのがわかる。

 ボードには文字や映像が次々と映し出されていく。映像は楽器の演奏であったり、TVゲームの画面だったりと次々と展開していく。さらには後ろの等身大のスクリーンを用い、実際にスクリーンに出たり入ったりしながら、そしてそこに映し出される画像と融合させ、マジカルな映像世界を展開していく。わずか数分のデモンストレーションであったが、ちょっとでもタイミングがズレればすべてが台無しになってしまう、緻密に計算されたパフォーマンスに場内は圧倒されていた。

 パフォーマンスが終わり、壇上に戻った生徒たちも皆興奮の面持ち。菊地は「親近感を味わってます」と言い、森先生に「どこが!?」とびっくりされる。「BABYMETALの神バンドの皆さんが白塗りなので、親近感が湧くんです」と笑わせた。野津は「凄すぎて、鼻息が荒くなっちゃいました」と興奮の様子。

 続いては白A先生ひとりひとりの自己紹介。一番新しいメンバーは加入してまだ4ヶ月、事務所では大賀や山出より後輩ということで、山出から「深呼吸するといいですよ」と上から目線のアドバイスをもらっていた(笑)。

 いよいよ本題の授業開始。本日習うのはプロジェクション・マッピング。どんなものか知ってますかとの問いに、大賀は「みんなにプレゼントして……みんなを一体化させる?」とトンチンカンな解答で爆笑される。プロジェクション・マッピングとは、建物やスクリーンなどの物体にプロジェクターで映像を投影すること。

 そこに人間が表現を加えることで完成したのが白Aのパフォーマンスなのだ。進行役の白Aのパフォーマー・阿部俊紀さんは、「しゃべることには慣れてないので緊張しっぱなし」としどろもどろで、森先生に「パフォーマンスしてるときより今の方が発汗が凄いですよ」とツッコまれる。森先生は「緊張をほぐしてあげてよ」と菊地にふると、菊地は「海草ダンス?」と笑わせた。阿部さんは「やってみたけど緊張止まらなかった」と頼りなさげに発言し、森先生に「終わる頃には汗で顔が肌色に戻っちゃうんじゃない?」と弄られた。

 ここで先ほどパフォーマンスした「ムービーキャッチャー」という、手に持った白いボードでプロジェクターからの映像をキャッチする技術を学ぶことに。山出、倉島、大賀の3人が指名される。なぜこの3人に? と森先生が質問すると、「若いからですか!?」と選ばれなかった野津が切れ気味に反応。

 阿部さんは「あの……そうです……」と消え入りそうな声で答え、爆笑を誘っていた。実は事前に3人選ばれて予習していたということだったのだが(笑)。

 山出が下手、倉島がセンター、大賀が上手の位置に。練習用に格子の映像が投影され、電卓と同じに並べられた1から9までの数字をキャッチする練習を始める。そのやりとりの中で大賀がいきなり「なんでやねん!」と大阪弁でツッコんで笑わせるが、白Aの大阪出身のメンバーに、発音がちょっと違うとダメ出しされてしまう。阿部さんは「汗が止まりません……」とボヤき、森先生が「大賀に触れると汗が止まらない」と日頃の苦労をにじませて発言。これには場内大爆笑だ。


次ページでは見事なダンスパフォーマンスを披露!父兄とシンクロしたパフォーマンス


 さて、メンバー3人が実際に数字をキャッチしてみるが、大賀は数字の位置関係がわかってないのか、なかなか上手くキャッチできない。大賀どう思う? と森先生にふられた倉島が返答に窮していると、横から野津に「正直に言っていいんだよ?」と言われ、「凄いなって思います」と心にもない(?)返答で沸かせる。

 ここで演じる3名はフリの確認。その間になぜか阿部さんが弄られることになる。先週、俳句の夏井いつき先生にやられたことを思い出したのか、森先生は「阿部さんは結婚してるんですか?」と唐突な質問。野津が「あべっち結婚してる?」と重ねて笑いを誘う。

 阿部さんは「あべっち結婚してないんだ、彼女もいないね」と寂しい返答。忙しいからしょうがないねと森先生が言うと、なぜか大賀が「大丈夫ですか?」と優しく声をかけて拍手をもらう。しかし菊地がここで「結婚できない理由は身長が足りないから……」と追い打ち。

 場内爆笑の中、阿部さんが「身長伸ばしたい」と言うと、菊地は「煮干しがいいですよ」、野津は「牛乳は骨が太くなるだけで身長は伸びないんです。だから由結は無駄な努力をしてるんです」と、牛乳を飲んで身長を伸ばす努力をしている水野に痛恨の一撃を加えた。

 続いて森先生が「こういうパフォーマンスしてると海外でモテるでしょ?」と聞くが、阿部さんは「英語しゃべれないんです、勉強中」としょんぼり。そこへ菊地が「What's up?」といきなりの無茶ぶりをするも、阿部さんは沈黙。森先生に「今までで最弱の先生」の称号を付けられてしまった。

 さて、準備の出来た3人のパフォーマンスが始まる。さくら学院の『FLY AWAY』に乗せてのムービーキャッチャーのパフォーマンスは、予習時間が少なく多少のずれがあったものの、さくら学院のロゴや生徒の顔写真をキャッチ出来ており、なかなかの出来映え。父兄からも「さすが!」との声が飛んだ。

 阿部さんは「練習にそんなに時間を取れなかった中でのこのクオリティは筋がいい」と絶賛。本来はここで出来の悪い生徒に変わって白A先生のお手本という段取りであったが、生徒の出来が良かったので阿部さんも「プレッシャー感じてます」と笑わせた。

 とはいえ、白A先生のお手本パフォーマンスはさすがに完璧な出来。大賀は「フォームが凄いキレイだった」とだいぶ上から目線の感想で沸かす。野津は「ライヴでやってるさくら学院の『FLY AWAY』とは全然違って見えた」と賞賛。山出は「白塗りをしたい」と斜め上からの感想で笑わせた。

 次のお題は「フォトジェニック」。授業前に撮影した父兄たちの写真と、白A、さくら学院が一体となってみんなで作品を作ろうという試みだ。テクノミュージックが流れる中、スクリーンには父兄たちの写真がコラージュされた画像が映し出され、それに合わせてさくら学院と白Aのメンバーがパフォーマンスするのだ。

 野津、菊地と1人ずつ登場してはダンスパフォーマンスを繰り広げる。さくら学院のライヴとはまた違ったキレのあるダンサンブルなステージで、皆いつもよりもカッコ良く見える。バックの父兄の写真の動きともピッタリとシンクロしており、まるでステージ上で父兄と生徒たちが一緒に踊っているような錯覚を覚える。

 途中からは生徒5人と白Aメンバー全員が登場してのパフォーマンスに会場からも大きな拍手がわき起こる。写真で参加した父兄にとっても良い思い出になったのではないだろうか?

 森先生も大絶賛のハイクオリティで、阿部さんはドヤ顔で返答しようとするが、「共同制作というレベルまで」と言うべきところを「共同生活」と言い間違え、森先生に「共同生活だとしたら父兄さんたちが黙っちゃいないですよ」とツッコまれた。

 菊地は「何かをみんなで1つになって届けるのは、大変だけど凄いことなんだなと思った」と感想。さらに続けて「写真の中に森先生と、よく見るタワーレコードの社長もいたのわかりました?」と言うと場内は大爆笑となった。阿部さんは「みんな一生懸命ダンスを覚えようとしてくれていて、根性あるし将来が楽しみです」と生徒たちを絶賛した。

 野津は「ダンスの出だし間違えちゃった」と反省しつつ、「今後のさくら学院のダンスに学んだことを生かしたい」と前向きな感想。菊地は「客席の段差がなくて平だから後ろの人見えにくいかと思ったけど、みんな拍手してくれてて嬉しかった」と述べた。

 最後に森先生は、「グダグダのトークじゃなくてパフォーマンスでビシッと決まる授業も良かったんじゃないかな。これからも色んなバリエーションの公開授業を準備していきます」と締めた。

 森先生の言うとおり、さすがはさくら学院の生徒たちらしく、得意なダンスにまつわる授業で魅力を出し切った授業だったように感じる。続く2時限目はどんなパフォーマンスを見せてくれるのか、楽しみになった。竹崎清彦アイドル、ファッション、スポーツ、ゲーム攻略本など幅広く執筆。趣味はライヴ観戦。好きなアーティストを追いかけ世界中どこへでも行きます! 80年代モノに詳しい。

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