後編:マスコミや世論に追い込まれて
亡くなった有名人

自ら死を選んだ有名人を追悼

 事件の真相がうやむやになったり、暗殺説まで飛び出したり、マスコミや世論の追い込みに負けて自殺してしまった有名人はまだまだいます。

円谷幸吉
1962年、東京五輪のマラソンで銅メダルを獲得。次の五輪に向けて期待されていましたが、ケガで記録が伸び悩んだあげく結婚を約束した女性とも破談になり自殺。八方塞がりでのプレッシャーに潰された感じで、ホントに可哀想。

伊丹十三
飛び降り自殺。その理由も過去の襲撃事件に端を発する暴力団絡みとか、不倫疑惑に対する抗議だとか、映画の失敗だとか、色々言われています。妻の宮本信子は、朝ドラ『あまちゃん』で、夏ばっぱを演じて話題に。妻の今の活躍に、天国できっと喜んでるはずです。

新井将敬
児童期に帰化した政治家。株の不正取引がバレてしまい、証券取引法違反容疑者として逮捕される予定でした。本会議で「私は潔白です」と叫んだのは良いものの、結局首つり自殺。死によって汚職という罪を消そうとする潔さは、一般人には到底マネができません。

中川一郎
元衆議院議員。酔って国会議事堂に小便を引っかけたりと酒癖の悪さで有名。死後は様々な噂が流れ、ソ連のスパイから政治献金をもらっているのでは? という話まで(憶測の域は出ない)。マスコミを翻弄させるトリッキーさは、秘書の鈴木宗男に引き継がれました。

角田美代子
数世帯の家族を精神的にコントロール、暴力的に支配し財産を巻き上げた尼崎のおばさん。時には虐殺することもありましたが、警察に捕まった途端に自殺。徹底的に人を洗脳し自分に都合の良い世界で生きてきた人は、全くの別世界に入ると弱いんです。実はガラスのハートの持ち主なのでしょう。

荒井昌一
プロレス団体FMWの社長。興業の不振で経営が悪化し自殺。団体の為に消費者金融から親族、知人、闇金まで金を借りまくったあげく返済不能に陥り家庭まで崩壊。厳しい追いつめられ方でしたが、それでも限界まで金策に走った姿は賞賛に値します。ギャラは必ず渡していたので、選手からは愛されていました。

小泉みつお
岩手県議。病院を受診時、番号で呼ばれたことに怒り狂い、ブログに「刑務所に来たんじゃない」「会計をすっぽかして帰った」と器の小さい書き込みをして、非難の声が殺到し炎上。その後、遺体で発見された。相手を軽蔑することでしか自我を保つことができない、いかにも昭和のオジサンなところが憎めません。

青木伊平
竹下登の秘書で、賄賂として譲渡されたリクルートコスモス社の未公開株の名義人。竹下が追及を受け、退陣を表明した翌日に自殺。暗殺説も。どちらにしろ上司の為に死んだということです。当時は部下にこういうタイプが欲しい人も一杯いたことでしょう。

三輪田勝利
1998年のドラフト会議で指名したある選手が入団してくれなかったので自殺。球団上層部に怒られ、本人には面会拒絶されるわで心身ともに疲弊していた模様。イチローからも慕われる素晴らしい人間性の持ち主。「いい人こそ早く死ぬ」ということを身を以て教えてくれましたね。

宮崎勤のお父さん
性的暴行を目的とした埼玉連続幼女誘拐殺人事件。その容疑者である宮崎勤の父親。息子が殺人どころか、遺体に猥褻行為をしたり、相当変わった人間に育ってしまい、色々大変でした。財産を売り払い被害者の遺族に与えると、そのまま自殺してしまった。自殺の是非はともかく本当に優しいお父さん。ご愁傷様です。

  一見彼らは不幸な末路を迎えたようにみえますが、自ら死を選んで実行に移すという、ありのままの人生を過ごせた時点で、幸せ者だとも言えます。本人にとってみれば一番安全な場所ですからね。ただし、このようなことが是認されてしまっては、もともこもありません。この機会にマスコミや世論のあり方について考えてみるのもいいのでないでしょうか。

(文・編集部)

オススメ書籍:家族喰い――尼崎連続変死事件の真相(太田出版)/小野一光・著

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