【THOUSAND EYES インタビュー】
“これは想像を超えるものが
できてしまったな”と思った
ある意味でヘヴィメタルの歴史を
凝縮したような音楽性の作品
『GALLERY OF DESPAIR』はバンドとして初のライヴ盤ですが、そもそもライヴ盤を出そうと思ったのはなぜだったのですか?
もともとは2022年のツアーのファイナルを映像で収録してリリースする計画があったんですけど、ドラマーの不調だったりいろいろなことがあって映像を撮るのが取りやめになったんです。その後、ドラマーの不調も治ってきたので、2022年12月に10周年記念ライヴをやったんですけど、そこで音だけを収録したんですね。4thアルバム『BETRAYER』(2022年7月発表)のツアーの時に各会場で録り溜めていた音もあったので、それらをまとめて一枚のライヴ作品に仕上げる計画に変更して、今回のリリースに至りました。
複数のライヴからベストテイクの演奏を集められたっていうのは、逆に良かったんじゃないかと思うのですが。
おっしゃるとおりだと思います。
結果的に激しい曲ばかりが並んでいますね。
各アルバムに収録している曲自体も9割9分が激しい曲なので(笑)、そういう意味では普段のライヴもそうですし、こういうライヴ盤として十何曲も集めるってなった時に、どうしても激しい曲の集まりになってしまいますね。
ライヴ盤を出そうと思った動機には“自分たちはライヴバンドだ!”みたいな自負もあったんでしょうか?
ライヴ映像作品を作りたいっていうのは、実はそこまで強い熱意というか、能動的な意思は持っていなかったんですよ。でも、ライヴ音源っていうのは、僕は結構憧れがあったんですね。僕の好きなギタリストであるマイケル・シェンカーが在籍していたUFOに『UFOライヴ』というライヴ盤があって、ああいった存在の作品を目指したいと思っていて。特に何かを明確に参考にしたわけではないんですが、『UFOライヴ』はライヴ盤なんだけどベスト盤的な側面もあるじゃないですか。初心者が初めてUFOを聴くのにオススメのアルバムとされていたりするので、自分たちがリリースするライヴ盤もそういう存在になったらいいなと思っていました。
制作していて手応えはどうでした?
本当に手応えはすごくあって。初めてメールで音が送られてきて、その時は出先で聴いたんですけど、聴いた瞬間に“これは想像を超えるものができてしまったな”と思いましたね。もともとこのライヴ盤は3枚組の限定盤のボーナスディスクというか、リマスター2枚組にライヴ盤が付くみたいな、どっちかと言うとリマスターの2枚がメインで、ライヴは限定盤を買った人用のおまけぐらいの感じで考えていたんですけど、出来上がったものを聴いたら、さっきの『UFOライヴ』じゃないですが、再録ベスト盤ぐらいの感覚になったというか。なので、これは自信を持ってリリースできる作品だと思いましたし、おまけ扱いにするのはもったいないと思ったので、急遽計画を変更して、ライヴ単体の作品としてもリリースをしようということになったんです。
まさに完成度の高いライヴ盤だと思います。本作を聴いてくれるリスナーに何かメッセージを送るとしたら?
THOUSAND EYESの音楽のかたちっていうのが、ある意味でヘヴィメタルの歴史を凝縮したような音楽性でもあるのかなと思っていて。もちろん、THOUSAND EYESがメタルの全てではないし、メロディックデスメタルっていうひとつのジャンルではあるんですけど、その中にギターリフだったり、ドラムの速いビートだったり、シャウトするボーカルとか、泣きのギターソロとか、いろんな要素が凝縮されているので、ヘヴィメタルを聴くひとつのきっかけになってくれたらすごく嬉しいと思っています。意外とコテコテのメタル要素もたくさんあるんですけど、メタルを今まで聴いてこなかったっていう人でも受け入れてもらえる要素もあるみたいで。僕個人的にはごちゃごちゃしすぎていないところ…まぁ、激しいんですけど、シンプルで分かりやすいメロディーがあったりとかがメタラーじゃない人にも刺さる要素なのかなと思っているので、激しい音楽には興味があるけど何から聴いたらいいか分からないっていう方には、入門的な感じでお薦めできるんじゃないかと思います。
リリース後のライヴは決まってますか?
現時点では4月21日にリリース記念ライヴを予定しています。メンバーそれぞれ他の活動もしている中でのTHOUSAND EYESの活動なので4月のライヴ後にツアーとかをやれるかどうかはまだ検討中という状況で。ライヴの回数がそんなに多いバンドではないので、都合の合う方はぜひ来てほしいですね。
取材:舟見佳子