Organic Call、Arakezuri、Bye-Bye-
Handの方程式、Atomic Skipper、リス
ペクトし合う同世代4バンドのスプリ
ットツアー『BEBOP!!!!』最終日レポ
ート

『BEBOP!!!! 2023』

2023.12.01 東京・新代田 Fever
イベントの打ち上げに最後まで残ったAtomic Skipper、Bye-Bye-Handの方程式Organic Callのメンバーたちの「スプリットツアーやらない?」という話からスタートし、彼らと親交の深いArakezuriも誘って実現した『BEBOP!!!! 2023』。リスペクトし合っているバンド同士ならではの温かさがあると同時に、「絶対に負けたくない!」という各々の真剣な気持ちも伝えてくれる空間だった。11月8日(水)愛知・名古屋 RAD SEVEN、11月14日(火)大阪・LIVE SQUARE 2nd LINE、11月16日(木)福岡・Queblickを経て、12月1日(金)東京・新代田 Feverで迎えたファイナル公演の模様をレポートする。
Atomic Skipper 撮影=白石達也
青色のライトで照らされたステージに中野未悠(Vo)、神門弘也(Gt,Cho)、久米利弥(Ba,Cho)、松本和希(Dr,Cho)が登場すると、開演を待ちわびていた観客が一気に沸き立った。そして「星降る夜」が始まるや否や、ものすごいエネルギーで満たされた新代田Fever。「幸福論」「間に合ってます」「1998」など、強力なナンバーの数々が活き活きと躍動し続けていた。
Atomic Skipper 撮影=白石達也
Atomic Skipper 撮影=白石達也
Atomic Skipper 撮影=白石達也
Atomic Skipper 撮影=白石達也
観客の胸の奥にまで想いを届ける気迫に溢れた中野の歌は、やはりライブハウスがとてもよく似合う。フロアで盛り上がる観客の真っ只中に度々飛び込み、リフトアップされながら歌っていた姿が雄々しかった。
「すごく楽しかった。でも、これが一生続けばいいなとは思ってなくて。もっともっとでかくして、もっともっと声でかくして、そうやって上に行くための企画だから。みんなの声と一緒に今日、すげえところまで行こうよ! 一緒に歌おう!」と彼女が呼びかけてスタートし、大合唱で彩られた「ロックバンドなら」は、バンドと観客が一緒に作り上げるライブの醍醐味を存分に示してくれた。
Atomic Skipper 撮影=白石達也
■Bye-Bye-Handの方程式
Bye-Bye-Handの方程式 撮影=かい
1曲目「風鈴」の時点で完全にアクセル全開だったBye-Bye-Handの方程式。汐田泰輝(Vo,Gt)、岩橋茅津(Gt)、中村龍人(Ba)、清弘陽哉(Dr)がバトルのように爆音を交わし合う様に刺激された観客は、興奮を露わにしながら応えていた。
Bye-Bye-Handの方程式 撮影=かい
Bye-Bye-Handの方程式 撮影=かい
「あの子と宇宙に夢中な僕ら」「風街突風倶楽部」「darling rolling」「ロックンロール・スーパーノヴァ」などの他、新曲「ラブドール」も披露される展開は、とにかく刺激的な場面の連続。無我夢中の手拍子がフロアから加わるのをメンバーたちは心から楽しんでいる様子だった。
Bye-Bye-Handの方程式 撮影=かい
「俺らはお前が好きなバンドの正真正銘友達なんで、これからもよろしくお願いします!」と途中のMCで言っていた汐田。仲間のバンドと一緒にかけがえのない空間を作り上げられたことへの喜びが伝わってくる言葉だった。アグレッシブさの内側から絶えず温かさを滲ませるサウンドは、初めて彼らのライブを観た観客も魅了したはず。全力の演奏を終えて、汗を滴らせながらステージを後にした4人はとても明るい表情を浮かべていた。
Bye-Bye-Handの方程式 撮影=かい
■Arakezuri
Arakezuri 撮影=イデタリク
「ライブハウスへようこそ! ここがあなたが素顔でいられる場所!」と白井竣馬(Vo,Gt)が叫び、「素顔」からスタートしたArakezuriのライブ。観客の大合唱がいきなりものすごいことになっていた。
Arakezuri 撮影=イデタリク
Arakezuri 撮影=イデタリク
『BEBOP!!!!』のために書き下ろされた新曲「ムーブメント」も手拍子の嵐。機材車が壊れてしまったことをぼやいたMCで和ませたりしつつも、演奏が再開されるとフロア内の熱気は上昇し続けた。白井の歌声はもちろん、石坂亮輔(Gt,Cho)、宇野智紀(Ba,Cho)椿佑輔 (Dr,Cho)の演奏も抜群の切れ味。フロアから押し寄せる興奮とステージから放たれる爆音のガチンコ勝負のようだった。
Arakezuri 撮影=イデタリク
「これから先、俺たちはもっとかっこよくなるし、大きくなるバンドやと思う。『BEBOP!!!!』の4つの“!”は1個も減らないと思う。俺たちが好きで選んだこのスプリットツアー。もう革命は始まってる!」という白井の言葉が添えられた「革命今夜」。そして「ヒーロー」で彼らのライブは締め括られたが、全編がクライマックスと言っても過言ではなかった。
Arakezuri 撮影=イデタリク
■Organic Call
Organic Call 撮影=タチバナジン
「茜色、空に灯す」からスタートしたOrganic Call。ヒラタナオヤ(Vo,Gt)、カワカミトモキ(Gt,Cho)、タカハシシモン(Ba)、フジノゲン(SpDr)によるアンサンブルが、瑞々しいメロディを浮き彫りにする様に引き込まれずにはいられない。新曲「少年少女よ」も空間系のエフェクトを利かせたギターサウンドと躍動するビートの融合が心地よかった。
Organic Call 撮影=タチバナジン
Organic Call 撮影=タチバナジン
アグレッシブな演奏も交えつつ多彩な表現スタイルを示した後、各地を回った『BEBOP!!!!』への想いを語ったヒラタ。「上手くいかないことの方が多いし、泣きそうになる日々ばかりです。でも、今いる大事な友達とならどんな苦難も、上手くいかないことも乗り越えられそうだって、3バンドのライブを観て本気で思ったんですよ。『BEBOP!!!!』の“!”がなくなんないって祈ってるよ。俺たちが再会できる大きい場所があると思っています」。その後に届けられた「最後の愛」と「さよならユートピア」は、力強く前に進もうとしている彼らの意志が刻まれているように感じられた。
Organic Call 撮影=タチバナジン
アンコールを求める観客の声に応えてステージに戻ってきたOrganic Callの4人。Atomic Skipper、Bye-Bye-Handの方程式、Arakezuriのメンバーたちも登場し、ヒラタの誕生日をサプライズで祝福した様子は、とても心温まるものだった。そしてArakezuriのギタリスト・石坂が加わった編成で、ラストに披露されたのは「愛おしき日々たちへ」。Arakezuriの白井が歌った後、Bye-Bye-Handの方程式の汐田、Atomic Skipperの中野も歌声を響かせた。彼らと一緒に歌ったヒラタの表情が実に嬉しそう。今回のスプリットツアーが、4バンドの確かな絆によって生まれたことを再確認させられる曲だった。
Organic Call 撮影=タチバナジン
終演を迎えた時に会場内に漂っていた余韻が爽やかだった。リスペクトし合っている4バンドによる全力のステージは、観客に清々しい何かを噛み締めさせたのではないだろうか。ライブハウスは単に音楽を聴くための場所ではなく、素敵な人間模様にも触れられる空間だと教えてくれた『BEBOP!!!! 2023』だった。
取材・文=田中大

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