キタニタツヤ「人間みたいね」歌詞の意味を考察!けだものに遊ばれる「わたし」の心理とは?

キタニタツヤ「人間みたいね」歌詞の意味を考察!けだものに遊ばれる「わたし」の心理とは?

キタニタツヤ「人間みたいね」歌詞の
意味を考察!けだものに遊ばれる「わ
たし」の心理とは?

アルバム「DEMAGOG」収録のダークなラブソング

TVアニメ『BLEACH 千年血戦篇』のOPテーマ『スカー』や『呪術廻戦』第2期「懐玉・玉折」のOP曲『青のすみか』など、話題のアニメ作品とのコラボを続々と実現しているキタニタツヤ
バンド活動やソロ活動、サポートベースや楽曲提供などで多岐にわたって活躍している大人気シンガーソングライターです。
今回考察するのは、2020年8月26日リリースのアルバム『DEMAGOG』に収録された『人間みたいね』。
MVでは、狂ったように愛情を注ぐ女性と人形のように動かない男性を取り巻く不気味な雰囲気で曲の世界観が表現されています。
▲キタニタツヤ - 『人間みたいね』【OfficialMusicVideo】
キタニタツヤの音楽センスとワーディングの技巧がギラリと光る『人間みたいね』。
ダークで色気あるその歌詞には、はたしてどのような意味やストーリーが見出せるのでしょうか。
「あなたまるで人間みたいね」
まずは1番の歌詞から考察していきます。
人間みたいね 歌詞 「キタニタツヤ」
https://utaten.com/lyric/mi20080705
『人間みたいね』の主人公は、恋人「あなた」の態度の変化を感じ取って失望している様子です。
昔は優しかったのに、今はまるで別の生き物のように見える「あなた」。
「それでも誰かの代わりで良かったのに」と語る主人公には、まだ「あなた」への愛情や未練が残っているように思えます。
2番目3番目でも構わないのに、それすらもわない。
いつからか一方通行になっている冷めた関係性が想像できる歌詞ですね。
続きの歌詞はこちらです。
人間みたいね 歌詞 「キタニタツヤ」
https://utaten.com/lyric/mi20080705
「悲しみの形がわかっていった」という表現からは、優しい「あなた」を喪失して心にぽっかり穴が空いたようなイメージができます。
そして「あなたに見合うのはもっと奥の、暗く深い地獄だよ」と、冷めた敵意がむき出しになっている様子です。
その根底には、自分が「あなた」に適合しなかったことへの失望感や諦観もあるのかもしれません。
「壊れたら元には戻らない」ことを確認している点にも、主人公のどこか諦めたような雰囲気が読み取れますね。
続いて、サビの歌詞に入ります。
人間みたいね 歌詞 「キタニタツヤ」
https://utaten.com/lyric/mi20080705
「あなたまるで人間みたいね けだもののくせにさ」。
「けだものみたいね」と言うのではなく、けだものであることを前提に「人間みたいね」と言い放つのは痛烈ですね。
次の「脳の奥が冷えていく」というのは、本能レベルで「あなた」を拒絶し始めているという意味合いでしょうか。
すっかり「あなた」を嫌っているように見える「わたし」。
しかし、この先「誰かを愛せた気になっても駄目」と語る彼女は、どうあがいても「あなた」が自分の心に残ってしまうことを予感しているかのようです。
「けだもの」に翻弄される主人公
続いて、2番以降の歌詞を考察していきましょう。
人間みたいね 歌詞 「キタニタツヤ」
https://utaten.com/lyric/mi20080705
「夾竹桃(きょうちくとう)」は初夏から秋にかけて咲く毒性のある花で、「危険な愛」や「油断大敵」といった花言葉で知られています。
「鮮やかな記憶の毒がまわり始めた」というのは、相手が優しかった頃の記憶を思い出して息苦しくなるようなイメージでしょうか。
「あなた」との過去と今は、主人公にとっては暖かい初夏と肌寒い秋に通じるものがあるのかもしれません。
美しい記憶がある分「あなたの優しさが涸(か)れてしまった日」も強烈に印象づいているようですね。
水を与えられず花が枯れていくように、優しさをもらえなくなった主人公の愛情もまた枯渇していったのでしょう。
続く歌詞はこちらです。
人間みたいね 歌詞 「キタニタツヤ」
https://utaten.com/lyric/mi20080705
優しさをもらえなくなった「あの日」から、主人公は誰一人愛せなくなったとのこと。
「暗く深い孤独」というのは、心のどこかに「あなた」が居続けることで他人が深く入り込めないような心理状態だと解釈できます。
そんな地獄のような孤独のなか「かじかんだ身体を慰めるもの」とは何か。
悲しいことに、それは紛れもない「あなた」だけであるように思えてきますね。
続くサビの歌詞はこちら。
人間みたいね 歌詞 「キタニタツヤ」
https://utaten.com/lyric/mi20080705
すでに冷めているはずなのに「心がまた満たされてしまう」のが許せない。
自分の孤独を癒すものが「あなた」だけである事実に、主人公は混乱を隠せない様子です。
一時的に満たされても、残るのは後悔や自己嫌悪。
「犬の骨のようにあなたの玩具(おもちゃ)で終わってしまった」というフレーズからは、心が満たされた後に「もてあそばれた」と気づくような虚無の瞬間がイメージできます。
ラストのサビは1番と同様です。
人間みたいね 歌詞 「キタニタツヤ」
https://utaten.com/lyric/mi20080705
「人間みたい」な「けだもの」の「あなた」。
MVの英語字幕では「けだもの」が「a brute, a sad existence(野蛮な奴で、悲しい存在)」と訳されています。
「わたし」にとって「あなた」は、文字通り野蛮な「けだもの」でありつつ、いなくなることで悲しみの形が見えるほど濃い存在でした。
「わたしと同じように誰かを愛せた気になっても…」という言葉には、自分も相手に大きな影響を与えたと思いたい人間らしい気持ちも読み取れます。
「あなた」の本質が「けだもの」で「わたし」の本質が「人間」なら、孤独に苦しむようなお揃いの悪夢で再会する未来さえ、もはや叶わないような気がしてきますね。
人間みたいな「けだもの」にご用心
今回は、キタニタツヤ『人間みたいね』の歌詞の意味を考察しました。
ハッとさせられる言葉が耳心地よく展開される、とても中毒性のある歌詞でしたね。
冷めた恋愛関係にもやもやした経験がある人にとっては、生々しくかつ痛烈に響く楽曲だったのではないでしょうか。
パートナーがいるという現状、とりわけ恋人がいるという状態はそれだけで居心地がよく、なんだかんだ安住しがちですよね。
その分、一方が「優しさ」を涸らしてしまったら悩ましい状況が延々と続く事態になりかねません。
人間みたいな「けだもの」に振り回されず、自分自身も「けだもの」にならないよう強く誠実に生きていきたいものですね。

UtaTen

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