デビューから1年、真新宿GR学園の進
化はまだまだ止まらない『真新宿GR学
園 -1st Anniversary Party-』ライブ
レポート

クラブミュージックを基盤とした音楽原作キャラクタープロジェクト『電音部』。その新エリアとして2022年11月から活動を開始したのがカブキエリア・真新宿GR学園だ。そんな彼女たちの活動一周年を記念したライブイベント『真新宿GR学園 -1st Anniversary Party-』が2023年11月25日に開催された。

会場となったのは真新宿GR学園と馴染み深い場所・新宿BLAZE。出演者には真新宿GR学園に加えて各メンバーによるソロプロジェクトRINEEE(吉田凜音)、SONOTA、をとはが名を連ねる。ライブパフォーマンスの間には電音部楽曲のプロデュースで知られるDJたちがプレイを披露することも発表され注目を集めていた。果たしてこの記念すべき本ライブではいかなるパフォーマンスが披露されたのだろうか? その様子をレポートしていこうと思う。

ライブ当日、新宿歌舞伎町の通称“トー横前”には多くの人たちが集い、新宿BLAZEに向けて熱い視線を送っていた。開場時間を迎え入り口がオープンすると、集まった人たちは次々に会場へと歩みを進めていく。その浮足だった様子から、この日に対しての期待感を感じずにはいられない。
最初にステージに姿をあらわしたのはこれまでの『電音部 GR SQUAD』においてもオープニングDJをつとめてきたATSUKI。登場早々から会場にアンビエントなサウンドを響かせ、集いし人々に開演時間がきたことを知らしめる。ついに『真新宿GR学園 -1st Anniversary Party-』は幕を開けたのだ。
撮影:エド ソウタ

リズミカルな振動が寒さでこわばった観客の身体を解きほぐす。集まった人々はビートに合わせて身体を揺らし始め、心地よいグルーヴ感が会場に満ちていく。このグルーヴに乗りATSUKI自身も身体を揺らす。Anniversaryに相応しい最高の滑り出しがフロアに生み出された。
ATSUKIの選曲は徐々に力強さを増し、会場には一層の揺れが生み出される。そこにエレクトリカルな響きが添加されると、スクリーンには幾何学的な紋様が浮かび上がり、耳と目の両面から観客を酔わせる。ここに「禁言」をドロップされると観客からは歓声が上がった。
トラップビートを経て倍速の選曲へとプレイを展開させるATSUKI。疾走感溢れるプレイは聴く者のテンションを跳ね上げ、会場を熱気で包む。オーディエンスはヘッドバンキングを見せ、この場に溢れる熱気を堪能した。さらにここにATSUKIからこの日できたばかりのremix音源がドロップされると、会場は大いに湧き上がる。こうして大喝采の中、最初のライブアクトへとバトンが引き継がれた。
撮影:エド ソウタ

バンド隊を引き連れてステージに登場したのはRINNEEE(吉田凜音)。登場早々に披露したのは「Ride On Turtle」。リズミカルなビートに甲高いボイスをハメていくと、会場にはグルーヴィーな空気が満ち、オーディエンスはそれに合わせて身体を揺らした。
「みなさん声出せますか!」
そうシャウトすると続いてのナンバー「Party up」は走り出す。ハッピーなサウンドが会場のテンションをビルドアップし、オーディエンスの身体の揺れはさらに激しくなる。曲中ではコールアンドレスポンスも聴くことができた。会場にあふれる一体感は既に最高潮にまで至っていた。
撮影:エド ソウタ
「よし! もう最高だ!」
高揚した会場を空気を吸い込み、RINNEEEがそう感想を漏らす。するとここにエレクトリカルなサウンドが響き、続いてのナンバーが走り出す。「文句BOO」、そのダンサブルでアッパーなサウンドに対して時にスローに、時にスピーディに言葉を乗せるRINNEEE。会場に響き渡るサウンドに観客は大いに酔いしれ、会場はハッピーな空気に包まれた。
さらにここにドープなサウンドで構成された「NEWHEAD」が続く。静かな歌い出しから徐々に練り上がっていく彼女の歌声、その緩急あるパフォーマンスは観客を魅了せずにはいない。サビでは会場にいる全員が音に合わせて跳ね回り、そこに溢れるグルーヴ感を堪能した。
撮影:エド ソウタ
「最高にかっこいい曲ができたので聴いてください。」
そう告げると不規則なビートが会場に響き渡る。RINNEEEがそこに華麗に言葉をはめて観客を魅了すると、さらにゲストを呼び込む。登場したのはCharisma.comのメンバー・いつか。ふたりが息の合ったパフォーマンスで会場を魅了する。ラストにはそこにいる全員で手を天に掲げて大きく振り、最高の一体感を生み出した。こうして彼女のパフォーマンスは締め括られた。
撮影:エド ソウタ
続いてNUU$HIがDJブースに登場。クールでエレクトリカルなサウンドからプレイをスタートすると、独特な世界観を感じさせる選曲で観客の耳を魅了する。そのディープな世界観は曲をつなぐごとに加速していき、会場を自身の世界観で包み込んだ。
その世界観が臨界点に達した時、選曲にはポップさが添加される。ゲームミュージックをサンプリングした曲展開でオーディエンスの心を引き込むと、ジャンルレスな選曲で会場の空気を掌握。会場に大きな一体感を生み出した。
ここで「Hyper Bass (feat. Yunomi)」をチョイスすると会場から大歓声が上がる。続け様に「爆裂タウマゼイン (Prod. チバニャン)」やアニメソングのリミックスで会場を大いに沸かせると会場は更なる熱気で包まれ、度々歓声が上がった。会場に力強い空気を生み出すと、続いてのライブアクトへとバトンを引き継いだ。
撮影:エド ソウタ
「みんな! 叫ぶ準備はできてる!?」
続いて登場したのはSONOTAだ。シンセサイザーのサウンドにビートが乗り、さらに彼女の挑発的な声が加わる。一曲目に披露したのは「かわちい」、そのサウンドに乗せて観客全員が跳ね回る。ここにメロディアスなサウンドが魅力の楽曲「甘ったるいサイダー」を続け、ルードな歌声で観客を心地よく酔わせる。サビでは手を天に掲げ左右に降るオーディエンスの姿も見ることができた。その盛り上がり視覚的にも明らかなものだった。
「次はゆっくりとした曲を聴いてください。」
そう告げて披露したのは「Monochrome」。優しいトラックに憂いある声を乗せると、その姿をスポットライトが優しく照らし出す。ここまでの三曲で全く違った魅力を提示した彼女、その多彩さに感服せずにはいられない。
撮影:エド ソウタ
「新曲を持ってきました!」
そう話すと続いて、自信が演じる真新宿GR学園のメンバー・安倍=シャクジ=摩耶をイメージして制作されたナンバー「ぶっ飛びな?w」がスタート。和物サウンドと太いビート、高速で展開されるSONOTAの声、この3つが合わさることで心を昂らせる音楽が完成する。オーディエンスは身体を縦に揺らしてこの音楽を楽しんだ。
続けてラストナンバーが走り出す。チョイスしたのは「今日みたいな夜」。エモーショナルなサウンドが会場を魅了する。そこに心の声を乗せるSONOTA。会場中が手を空に掲げ、大きく振る。こうして彼女のパフォーマンスは締め括られた。
撮影:エド ソウタ
続いて株式会社バンダイナムコスタジオからShogo NomuraがDJとして登場。キャッチーな選曲で会場の視線を自信へと引きつけると、その選曲は徐々にテンポアップしていく。会場のテンションは呼応するように引き上げられていき、オーディエンスは大いに揺れた。
会場のテンションが上がりきったところでその選曲は一度エモーショナルな方向へと舵をきる。ダンサブルなテンポの楽曲が次々に展開されると、観客はビートに身を任せた。
さらにここからメロディアスな展開を見せ、会場を魅了するShogo Nomura。終盤に向けて再び選曲をアップテンポなものへと移行していき、フロアのテンションを再加熱する。オーディエンスからは力強いクラップが送られ、そのプレイを大いに歓迎した。こうして続いてのアクトへバトンが引き継がれた。
撮影:エド ソウタ
続けてをとはが「O108ROCKET」を歌いながらステージに登場、独自の世界観で会場を自信の色で染め上げると間髪を入れずに「jelly girl」を展開。そのキュートな魅力に会場は魅了されずにはいなかった。
「成長した私を見ていってください!」
そうシャウトすると続け様に「Digital Life Hacker」と「へるぷ!」を披露、目まぐるしく展開していく楽曲に観客のテンションは上がっていく。をとはもステージ上を駆け巡り、笑顔をオーディエンスに送る。止めどない多幸感が会場に溢れた。
撮影:エド ソウタ
「りむるがこのライブを乗っ取っちゃいます!」
そう宣言するとスピーカーからはドープなサウンドが響き出す。披露したのは桜乃美々兎が歌う「Do You Even DJ?」のカバーだ。歌声を挑発的なものへと移行する。その見事なまでの歌い分けに感動を覚えずにはいられなかった。
さらにここにNeko Hackerとのコラボ楽曲「だーいすきだよ」を続けるをとは。歌詞を存分に表現した歌声は聴くものの耳を奪わずにはいない。
続けてダンサブルなサウンドが響く。披露したのは「閻魔王の言う通り」。力強く骨太なビートに華麗に言葉をはめてオーディエンスを大いに踊らせると、ここで衝撃の発言が飛び出す。
撮影:エド ソウタ
「歌いすぎてMCの時間がなくなっちゃいました!」
曲合間に早口で告知をするをとは。そのトリッキーなパフォーマンスに見応えを感じずにはいられない。
ここに更にトリッキーな事態が巻き起こる。なんと、ゲストとしてRINNEEE、SONOTAの2人をステージに呼び込んだのだ。3人で披露したのは電音部シブヤエリア・帝音国際学院の楽曲「爆裂タウマゼイン」。巻き起こる大歓声の中、オーディエンスにマイクパスして共に歌うといったパフォーマンスも見せる。会場は激しい熱気に包まれずにはいなかった。
撮影:エド ソウタ
続いて本公演最後のDJタイムがスタート。ブースに姿を現したのはKOERU、EDMをチョイスして会場を大きく揺らすと、その後もシームレスな楽曲展開を見せてオーディエンスを揺らし続ける。その音に呼応するようにスクリーンは色とりどりの映像を映し出して観客を楽しませた。
サウンドは徐々にメロディアスな空気を孕んでいき、そのキャッチーな選曲に会場のテンションは一段階上がる。ここでフロアに「繚乱!ビクトリーロード」がドロップされると、さらにアニメソングリミックスを使ったプレイが観客を沸かせた。キャッチーさとグルーヴ感、その絶妙なバランス感を体現した巧みなプレイがそこにあった。
ここからラストスパートだと言わんばかりに一度楽曲のテンポを上げ、会場を激しく揺さぶる。続けてビートをハーフに落としエモーショナルな空気を作り出すと、しっとりとした空気を作り出して本公演の大トリにバトンを渡した。
撮影:エド ソウタ
照明が消えたステージに3つの影が現れる。ステージに登場したのはチャコールグレーのパーカーに身を包んだ真新宿GR学園の3人。そこに新たなトラックが走り出す。1曲目に披露したのは新曲「Anti」。囁くように歌い出した3人、徐々にその歌声には力強さと仄暗さが加わっていき、会場をダークな空気で包み込む。さらにここにデビュー曲である「禁言」を続け、会場の空気を早々に掌握した。
自己紹介に続けてソロパートに突入。ステージにはをとはがひとり佇むと、ダークでキャッチーなサウンドが会場に響き出す。披露したのは新曲「残酷りむる」。ハイトーンで魅惑的な声をトラックに乗せ、聴くものを魅了して見せる。
撮影:エド ソウタ
ここでバトンはSONOTAに渡される。続いた楽曲は「pHyCooo」、ローテンポのビートに対して言葉の疎密を華麗に使い分けながらバースをキックする。そのパフォーマンスにオーディエンスは大きく身体を揺り動かした。
続けて登場したのは吉田凜音、披露したのはこちらも新曲「KABUKI 03」だ。ドープなサウンドとグルーヴィで挑発的なボイスが一体となりオーディエンスの耳に届く。大きなグルーヴ感が会場に生まれ、集いし人々を魅了した。
撮影:エド ソウタ
MCも早々に再びソロパートが始まる。続け様に単独でパフォーマンスを披露したのは吉田凜音。ドロップされた楽曲は「神パラサイト」だ。エレクトリカルなサウンドに挑発的に声を乗せ、オーディエンスを骨の髄から魅了する。そのパフォーマンスはこれまで以上に聴く人の心をくすぐるものとなっていた。
撮影:エド ソウタ
続いて登場したをとはも負けじと進化したパフォーマンスを見せる。「焼ケ鮭」というたった一曲の中で目まぐるしく声色を変えていく彼女。その変幻自在さには息を飲まずにはいられない。聴き応え抜群の一曲で観客の耳を奪った。
撮影:エド ソウタ
ソロラストに登場したのはSONOTA、披露したのは「狐憑キ」だ。脳に直接響くような声で聴くもののテンションを煽り立てる。そのボイスはこれまで以上に揺れを含み、聴くものの感情をくすぐらずにはいない。三者三様に進化したパフォーマンスでオーディエンスを沸かせたのだった。
撮影:エド ソウタ
「ラストスパート楽しんでいきましょう!」
再びステージに揃う真新宿GR学園、そこに響き出したのは「Crush」だ。息の合ったパフォーマンスは会場の空気をこれでもかと高揚させる。曲に合わせてオーディエンスが飛び跳ねると、負けじと3人もステージ上を駆け回り、この瞬間を心から楽しんで見せた。
さらにここに「Siren」が続く。会場の熱気は一段階強さを増し、ステージの照明は色とりどりに明滅する。3人は各々全く違った個性の声を乗せ、オーディエンスの心を掴む。ラストスパートと呼ぶに相応しい空間がそこには生み出された。
「聴き足りないですよね! 新曲持ってきました!」
そしてラストナンバーが走り出す。新曲のタイトルは「AGARE」。3人がステージ上に横並びになると、全く個性の異なる声を重ねて独特のマリアージュを生み出す。このパフォーマンスにオーディエンスからは強大な歓声が湧き上がった。こうして記念すべき1周年ライブは締め括られた。
撮影:エド ソウタ
デビューからあっという間の1年、彼女たちは着実に進化を続けてきた。そのひとつの“到達点”をこの日のライブで見ることができたように思う。しかしこれは“到達点”であって“終着点”ではない。ここから先更なる進化を見せてくれるであろう3人、その活躍から目が離せない。
取材・文:一野大悟 撮影:エド ソウタ

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