L→R EBI、川西幸一、奥田民生、手島いさむ、ABEDON

L→R EBI、川西幸一、奥田民生、手島いさむ、ABEDON

【UNICORN リコメンド】
思いがけない音楽に
出会えることの愉悦

The Rolling Stonesの新作、The Beatlesの新曲が発表された2023年の後半。それに呼応したかのように、我が日本のレジェンドバンド、UNICORNが動き出した! 10月に配信されたEP『ええ愛のメモリ』に続き、ファン待望のニューアルバム『クロスロード』をリリース。ユーモアと革新性に満ちた本作は、彼らならではの驚きが隠された傑作だ。

UNICORNには
いつも意表を突かれてきた

 UNICORNというと、いい意味で我々の意表を突くことをやってくるバンドというイメージがある。しかも、そのセンスがいいので、意表を突かれたこちらとしても“こりゃあ一本取られましたな”くらいに楽しむのがマナーというか、それこそがUNICORNだという共通認識がファンの間にはあったと思う。古くは3rdアルバム『服部』(1989年6月発表)から「デーゲーム」がシングルカットされた際、“坂上二郎とユニコーン”名義でメイヴォーカルに坂上を起用したこともそうであっただろうし、4thアルバム『ケダモノの嵐』(1990年10月発表)でメンバー全員がヴォーカルをとったこともそうだろう。日本の音楽シーンにヒップホップが浸透して以降は特に他アーティストの客演は珍しくなくなったが、1989年当時はそれほど多くはない事例だったし、それをバンドがやるのはかなり珍しかった(歌謡曲でのデュエットはたまにあったが)。しかも、コメディアンであり俳優の顔を持つ坂上のフィーチャリングというのは前例のない出来事だったと言っていい。『ケダモノの嵐』以前もEBIやABEDONが歌うことはあったし、アルバム曲でギタリストやキーボーディストがメインヴォーカルを務めることは他のバンドでも見受けられたことだが、メンバー全員が満遍なく歌うというのは、おそらくGSの時代まで遡らないと似たケースは見つからないだろう。

 また、そうした他であまり見ないメンバー配置だけではなく、その音楽でも多々意表を突いてきた。それもやはり『服部』と『ケダモノの嵐』が印象的で、『服部』ではオーケストラの「ハッタリ」で始まって、ペーターなる少年に「ジゴロ」というナンバーを歌わせるというブラックユーモアもそうだし、『ケダモノの嵐』での「CSA」で当時の所属事務所住所と電話番号をハードコアパンクに乗せるという破天荒な楽曲をやってのけていた。その『ケダモノの嵐』のあとで『おどる亀ヤプシ』(1990年11月発表のアルバム)という、それまでとはまったく異質で、批評家には実験的と評されたコンセプトミニアルバムを発表したのもUNICORNならではの諧謔精神を表したものであっただろう。

 思えば、2009年の元日、それまで再始動の噂もほとんど流れてこなかった彼らが突然、シングル「WAO!」(2月発表)とアルバム『シャンブル』(2月発表)のリリース、さらには全国ツアー開催の発表があったこともまた、十分に意表を突かれた話だった。UNICORNが何かしらの動きを見せる時には必ずそこに驚きと喜びがあって、常に話題には事欠かないバンドなのである。
L→R EBI、川西幸一、奥田民生、手島いさむ、ABEDON
アルバム『クロスロード』

OKMusic編集部

全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」